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R.P.巡察日誌〈その2:潜入調査〉




 ……しっ。


 声が 大きいであります。

 自分は リアン・ペイジ。

 現在 極秘任務で レギャン侯領の侯都ハイリシアへ潜入調査中なのであります。


 自分 本当は名誉ある王都騎士団(アークナイツ)の騎士見習いなのでありますが 身分を偽る為に この様に鳥打ち帽を被り 綿のシャツにオーバーオールを着込み 武器商人の小僧に変装しているのであります。

 

 自分 髪は短いのでありますが 実際には女でありますので この程度の変装では 見破られてしまうのでは? と王都ウェスティリアを出発した際には 内心ビクビクしていたのであります。

 なので 途中 街道を歩いていた際に 向こう側から 見知った顔が歩いてくるのが 見えた時は かなり焦ったのであります。

 ですが 師匠の教えを守り 努めて平静を保つようにしたのであります。


 そうしたならば 薬師のマリノアさんは もちろん 騎士団筆頭騎士のアリシア様 それどころか 斥候としても 剣士としても 自分が尊敬して已まない【闇剣の】紅瑠石(ガーネット)師匠まで 素知らぬ感じの会釈をして通り過ぎたではありませんか!

 

 自分は 痛く感動し 心に誓ったのであります。

 この変装の成果をもって 任務を成功させ 必ずや 重要情報を王都へと持ち帰ると。

 そして その調査内容なのでありますが……絶対に他言無用でお願いするでありますよ?


 実は 先日 ここハイリシアを根拠地とするリギャン侯爵配下の精鋭 翼獅子騎士団(グリフォナイツ)の特務部隊が隠密裏に王都方面に侵入しようとしたという事件が起こったのであります。

 幸いにも マーガル駐留の先輩方の活躍で侵入は阻止されたのでありますが。

 武装した翼獅子騎士(グリフォナイト)が 王都付近に無断で侵入しようとしたのは 不法行為でありますし 王家としては侯爵家に厳重に抗議したのでありますが 侯爵家は 当然のように『知らぬ 存ぜぬ』の一点張り。

 結局 公式には存在しなかった事件として処理されたのであります。

 その上で 我が王都騎士団(アークナイツ) 第七小隊に密命が下ったのであります……『事件の背景を探り 翼獅子騎士団(グリフォナイツ)及びレギャン侯爵家の動向を確かめよ』という極秘任務であります。

 


 ジンク・トゥーレ・レギャン侯爵殿下は 現女王アレクサンドラ3世陛下の又従兄にあたるお方。

 王位継承順位は11位で 直系の方々を除けば上位に位置する方ではあります。

 更には 20年前のアレクサンドラ陛下の王位継承を巡る事件の際には 最終盤まで 旗幟を鮮明にせず 漁夫の利を狙っていたとの噂も。

 ただ その後 お嬢様と王族の方との婚姻などもありましたので いきなりの反逆などは 考え難いというのが 騎士団本部の方々のお考えのようなのであります。


 ただ 王都から5日行程の所に 王国屈指の精鋭『翼獅子騎士団(グリフォナイツ)』と五千人を超える兵力が常駐しているというのは 少し気味悪く 王都騎士団(アークナイツ)としては ()()()()()()()()という状況らしいのであります……いまいち 意味が よく分からないのでありますが 分隊長が そう仰ってたのであります。

 


 そんな訳で ハイリシアを訪れた行商人と身分を偽り ここレギャン侯爵領で 何が起こっているのかを 探り出すのが今回の任務なのであります。

 フォージ分隊長が全体の指揮を執り 自分の所属する第七小隊の衛士8名も合わせ 計10名での潜入調査であります。

 現在は 2名ずつに分かれ 市内各所に投宿して 御用聞きのフリをしつつ情報収集にあたっている状況であります。


 分隊長と自分は 武器商人のヒムと見習いのリオンという偽名で ここ数日 市内の武器屋や鍛冶屋などを回って 情報収集に努めているところでありますが 今のところ 侯爵家や翼獅子騎士団からの武器の発注が増えたというような有力な情報はないのであります。

 本部の方々の見立て通り『武装しての反乱というようなことでは無いのではないか』と分隊長も仰っていたのであります。

 陰謀の尻尾を掴んだというような華々しい活躍ではありませんが 地道な裏付け調査ができているということでありますし 自分なりには 初めての潜入任務としては上々の首尾ではないかと思っているところであります。

 


 ……ただ 困り事も無い訳では無いのであります。

 


 先ほども言いましたように 自分 女なのであります。

 意外に思われるかも知れませんが 貴族身分(爵位)も持っていて 実家に帰れば『お嬢様』と呼ばれるような人間なのであります。

 なので 殿方と同じ寝室で寝るというのが 生まれて初めてで 目茶苦茶に 緊張するのであります。

 もちろん 任務中でありますし 分隊長は 人一倍 生真面目かつ任務に忠実な方なので 特段 困ったことが起こった訳ではないのであります。


 それでも分隊長が湯浴みされて 部屋に半裸で戻って来られた際とか 逆に自分が湯浴みしている際に 薄壁一枚向こうに分隊長がいらっしゃるのだと思うと かなり緊張するのであります……騎士団の訓練所でも 似たような状況になっているのでありますから 分隊長は 気にされていないのだろうと思うのでありますが。

 昼間の潜入調査中よりも 夜 宿所での方が緊張してしまうという 本末転倒の事態になってしまっているのであります。

 衛士のジョゼとデイルなども 男女のペアで潜入調査しているのですが その辺り どのようにしているのでありましょうか?


 騎士団に所属して初めての大掛かりな任務。

 是が非でも 成功裏に収めたいのではありますが 悩みは尽きないのであります……。

 ………。

 ……。

 …。


 

 

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