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家が建てられなかった土地

作者: かわ
掲載日:2026/01/14

なあ、ちょっと聞いてほしいことがある。

今、正直かなりヤバい気がしてるんだけど……俺、大丈夫だよな?


話す。


俺、ある外構工事で駐車場の工事を請け負ったんだ。

場所は立地もよくて、車で5分以内に高速道路のインターがある。

歩けばすぐバスにも乗れる。


最初に現場を見たとき、俺は元請けに聞いたんだ。

「なんでここ、家にしないんですか?」


40坪以上あって、形もきれいな長方形。

変な癖もないし、普通に見れば家が建つ土地だ。


でも元請けは、なぜか歯切れが悪くて、

「いや……ここは家にできない場所だから」

そう言うだけだった。


宅地転用してない農地?

いや、周りを見渡しても家は普通に建ってる。

何より、最初に見たときからもう整地されてた。

農地なわけがない。


まあ、やれって言われればやるのが俺たちだ。

現場は広いし、条件も良くて仕事はやりやすかった。


2週間ほどで外構はほぼ完了。

ブロックで囲って、コンクリートで土間打ち。

正直、拍子抜けするくらい順調だった。


ただ……一つだけ、変な点があった。


作業に入る前、その土地の端にゴミが置いてあったんだ。

コンクリートガラとか、割れた側溝のフタとか。

まあ、よくある残骸だ。


でも――

なぜか、壊れた水槽だけがぽつんと置いてあった。


ガラスは半分割れていて、

他のガラとは明らかに雰囲気が違う。


「なんで水槽……?」


違和感はあったけど、当時は気にしなかった。

仕事は楽だったし、珍しく元請けの部長まで現場を見に来たくらいだ。


工事が終わってしばらくして、

道具が壊れたから、馴染みの金物屋に修理に出しに行った。


そこで、店員のAさん(女性)に言われた。


「俺さん、あそこの土地で作業してますよね」


Aさんは、あの辺が地元らしい。

何か知ってる口ぶりだった。


「え、あそこ何かあるんですか?」


俺の声は、今思えばちょっと上ずってたと思う。


Aさんは、少し怪談めいた口調で言った。


「あそこ、前に家が建ってて……

 住んだ人が、結構な頻度で亡くなってるんですよ。

 いわゆる、呪いの家です」


「げ……でも、駐車場なら大丈夫ですよね?」


「さあ……それは、分かりません」


冗談めかしてはいたけど、

俺はそこでようやく理解した。


――ああ、だから家を建てなかったのか。


その瞬間、

現場に置いてあった“水槽”のことを思い出した。


そういえばあれ、

撤去したあと、俺の土場に持っていって捨てたんだ。


それからだ。


頭から、水槽が離れなくなった。


しかも、壊れてない水槽のイメージが浮かぶ。

透明な水の中で――

亀が、ゆっくり泳いでいる。


見たこともないはずなのに、

やけに鮮明なんだ。


俺、おかしくなってるのか?


怖くなって、水槽はすぐ業者に頼んで処分させた。

ちょうどゴミも溜まってたし。


でも……

今でも、水槽と亀の映像だけが、頭から消えない。


これ、ヤバいやつか?

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