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2話

 僕は目が覚めると何やら液体に浸かっていた。辺りを見渡すと球体の形の機械の中に居るようだ。僕は慌てずに自身の身体を確認すると、やはり赤子になっていたので想像通りゲームの中らしい。機械の中から外は見る事が出来無いから僕は暇だった。


 【インストール開始】と頭の中に声が聞こえてきて、何やら目の前に画面が現れて数字がどんどん増えていく。何かを僕にインストールしているようだが今の所何か分からない。数字が100%になると何やら画面が変わり【インストール完了】と頭に響く。


 変わった画面にはナノマシン容量100とサポートAI完全起動と表示されている。ナノマシンとは何かと思ったら声が響いて来て、【ナノマシンとは能力を使うのに必要な物で、それがある限り能力の使用が可能】と聞こえた。


 僕はこの声は何かと思ったら、【アマツチのサポートAIで脳内に存在する物】との事。どうやら僕のサポートをしてくれるらしい。具体的に何をしてくれるかと思うと、【ナノマシンの管理や掲示板への接続などそして戦闘などの支援】と言われた。


 掲示板と思うと【サポートAIが脳内にある者達が接続可能な情報提供場所】との事。おそらくは僕達プレイヤーの為の機能だろうと思った。フレンド機能もあるだろう。

 

 僕はサポートAIに今の状況を知りたいと思う。【現在は生命創造ポッドにて生み出された後で、サポートAIなどのインストールが終わった状況】との事なので僕はこれからどうなると思うと、【これから能力のインストールが行われる状況】らしく僕はそれを待つ。


 【能力インストール開始】と声が聞こえて画面が現れ数字が増える。それから程なくして【インストール完了】と声が聞こえて来た。画面には武器変換タイプと表示されていて、現在使用不可能となっていた。


 それからしばらくすると液体が段々と無くなっていき、それと同時に床から揺り籠みたいな物が出て来て僕はその上に置かれる。液体が完全に無くなってから生命創造ポッドが開き、大人の人が僕を抱えて違う機械に入れる。


 僕はその機械の中で1年経ってから外に出された。その間ずっとサポートAIに質問したり話しをしたり自身の能力などを確認したりした。ちなみに1年経ったとサポートAIに教わるまで気づかなかった。


 1歳となった僕は他の赤子と共に四つん這いで歩く練習をさせられる。思う様に身体が動かせなかったが、半年後にはマスターしてその後は二足歩行をしたりした。


 その間にサポートAIから読み書きや一般常識、そして世界情勢などを教わった。一般常識や世界情勢はリアルからだいぶかけ離れていて、大丈夫だろうかと凄く心配になった。このゲームを一言で言うならば格差の激しいディストピアだろう。


 3歳ぐらいになると毎日走らされる。1日10キロも走るのは歳を考えろと思った。僕は何とか走りきる事が出来ていたが出来無い子もいた。その違いはどうやら成長タイプによるらしく、膂力や耐久の数値が高い程に成長して余裕があるとの事。


 僕よりも余裕のある子が何人かいたから彼等は僕より数値が高いのだろう。


 5歳になるとかなり成長して体力アップ訓練が追加される。5歳ともなると成長タイプの数値による差が酷くなり、毎日30キロ走れる子と走れない子が出てきた。僕は一応走りきれる側だったが余裕は余りなかった。


 僕よりも余裕のある子は3歳の頃から変わらずにそのままだった。5歳になってもサポートAIによる学習は継続していた。


 10歳にもなると戦闘訓練と能力を使う事を毎日やる。その頃の僕は身長が150cmとなっており周りの子供達よりも高かった。


 戦闘訓練は格闘技や武器の扱い戦場での生き方などを教わり、能力はそれぞれのタイプによってやる事が変わった。


 僕のタイプは武器変換タイプなのでひたすら武器の構造を学習して、素材を武器に変換していた。


 この頃になると他の技能や容量といったものの数値が重要になっており、技能の数値が高ければ技術が高く成長も早い。容量に関しては成長するに連れてナノマシン容量が増えていき、能力の精度や発動などの時間が短かったりした。


 僕は現状ナノマシン容量は150となっており、余り高い方ではなかったと思う。


 15歳になって始めて自由に行動する事が許された。僕はゲームだから体感時間で15年過ごしていただけだろうと思っており、此処までチュートリアルだと思っていた。最も痛みや疲労感などもリアルと同等に感じれたのはこのゲームの凄い所だと思う。


 ナノマシン容量は175になり身長は225cmで周りと比べてもずば抜けて高かった。体型も筋骨隆々でまだ設定した体型には及ばないがそれでも凄かった。


 僕はチュートリアルでお世話になった施設を出て歩き始めていた。持ち物はナイフとライフルと弾薬と100万ポイントだけだった。ポイントはこのゲームの通貨で1000ポイントで綺麗な飲料水が500ml買える。高すぎではと思った。これでは100万ポイントなどすぐに使い切ってしまう。最も汚染水であれば500mlは100ポイントで買える。


 僕は早急にポイントを稼ぐ事にした。稼ぐ方法は色々あるが、僕は探索者になる事にした。探索者とは所謂ファンタジーゲームにおける冒険者にあたる。この世界は凄まじい技術を持った文明が滅んだ後の時代で、生き残っている旧文明の設備を使う事で生き永らえている。


 僕達はその中の1つであるアルマという都市で生まれている。アルマは元は研究所だったらしくそこの設備を使う事で僕達が生み出された。最も簡単にいくわけではなく、その設備を使用するには莫大なエネルギーが必要で外からエネルギーとなる物を持って来ないといけない。


 アルマの外は人類の生存圏ではなく、モンスターや暴走したアンドロイドそして食人植物などが跋扈している。その中のから使える遺物を都市に持ち帰らないといけない。それが探索者の仕事だった。


 僕は早速探索者組合に向かう。そこは都市の外周部にあり何かあれば真っ先に狙われる場所にある。僕達が生まれ育った施設は都市の中心部にあり、そこは権利者の住まいや企業の本拠地などがある。


 高く分厚い壁で都市は囲まれ壁の内側はまぁ安全だか、外側は危険地帯になっており、壁の内側に入れない人達が住むスラムと化している。探索者組合もスラムにある。


 スラムにある理由は探索者の地位が低く必要な職業なのに見下されているからだ。まぁ誰でもなれる探索者はあれくれ者が多く学が無い者が多い。壁の内側で生まれた者は基本的に壁の内側で暮らし外側には出て来ない。


 僕達生み出された者も基本的に自警団に入り壁の内側で過ごす事が多く外側に出る者は余りいない。


 僕はせっかくゲームをしているのだから外の世界を見てみたかったので探索者はうってつけだ。


 スラムの中を通るのでゲームお決まりの三下が絡んで来るというイベントなどがあるかなと期待していたが、何も起こらずに探索者組合に着き落胆してしまった。


 探索者組合は4階建てのビルで1階が受け付けになっていた。僕は扉を開けて入ると中は人々でごった返していた。僕はサポートAIによりもたらされた知識で早速探索者になる事にした。


 「すみません。探索者になりたいのですが。」


 と言うと受け付けの体型の良いオジサンが、


 「ほぉ えらいデカイのが来たな。探索者になるには1000ポイント貰うぞ。」


 そう言われたので僕は台座に手を置き支払いを済ませる。


 「確かに1000ポイント貰ったぜ。これがお前さんの探索者カードだ。これにランクが記載されてランク相応の依頼を受けれる。」


 「探索者について説明が必要か?。」


 「いや大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」


 「礼儀正しいねお前さんは。だがそんなんじゃ舐められておしめぇだぞ。いくら体型が良くてもリンチは起きるからな。」


 「ご忠告ありがとうございます。気を付けますがこればっかりは性分ですので。」


 「ふん まぁ良い精々死なないこった。」


 そう言ってオジサンは僕から視線を外す。僕は依頼がある電光掲示板に向かう。その途中で声をかけられた。


 「ちょといいかい。済まないね時間良いだろうか?。」


 そう言って来たのは180cmくらいの中性的な外見の男で柔らかな笑みを浮かべていた。


 「あぁ私はルシードエル、プレイヤーさ。君もプレイヤーだろうと思うのだが違うかい?。」


 「良く分かりましたね。僕もプレイヤーです。プレイヤーかNPCかを見分ける方法ありましたっけ?。」


 「いいや無いよ今の所は。私が君をプレイヤーだと思ったのは明らかに背が高く、造られた様な体型だったからだよ。」


 「というか今まで一緒に過ごしてきたじゃないか。」


 「そうだったんですね。分からなくてすみません。余り余裕がなかったもので。」


 「まぁ私もあの15年もあったチュートリアルは大変だった。リアルに戻って大丈夫かと不安になってしまったよ。」


 「そうですね。このゲームの常識に染まりそうですね。」


 「まぁ挨拶もそこそこに本題に入ろう。私と組んでこのゲームをしないかい?。」


 「僕達初対面ですけど良いんですか?。」


 「まぁ君は大丈夫そうだったからね。受け付けのオジサンとの話しも丁寧だったから。」


 「ありがとうございます。此方こそよろしくお願いいたします。」


 「ありがとう。早速フレンド登録しようか。」


 【ルシードエルからフレンド申請】


 僕はそれを了承した。


 「さてとフレンド登録もしたし、依頼を受けようか。」


 「何か良い依頼があればいいですが。」


 そう言って僕達は電光掲示板を見る。



 [アルマ周辺の敵性存在の排除]


 [遺物回収]


 [タンガイを排除]


 などと色々あったが僕達のランクでは受けられる依頼は少なく、報酬も余りなかった。


 「うん。ひとまず[遺物回収]を受けよう。これは歩合制だからね。」


 「良いですね。そうしましょう。ただ依頼を受ける前に2階で装備品を買いましょう。」


 僕達は2階に上がりショップに入る。そこにはあらゆる武器や道具が揃っていて買い物が出来た。


 僕は店員さんに、


 「すみません。ポイント払うので構造を確認してもよろしいでしょうか?。」


 「お前もしかして武器変換出来るのか?。」


 「ええですからさせて貰えないでしょうか?。」


 「武器変換の能力を持っている奴がなんでこんな所にいやがる。自警団や企業が欲しがるだろうに。」


 「あはははは。僕は自分の意思で探索者になったんです。」


 「そうか悪い事言ってしまったな。返答はOKだがポイントはしっかり払って貰う。値段はその武器などの3割で良い。」


 「たった3割で良いんですか?。」


 「お前が勝手に構造を解析していてもこっちは気づかないし立証も出来無い。それなのにお前はわざわざ確認して来たからその誠実さによるもんだ。」


 「うん。よかったね。アマツチ。」


 「ありがとうございます。早速させて貰います。」


 そう言って僕は装備品などを解析する。そのつどポイントを払った。


 ルシードエルは店員さんにおすすめの武器や解説を聞いていた。僕は合計48万ポイントを払って解析した物を持っているナイフから合金ナイフに、ライフルをラヴェントという機関銃に変換した。弾薬も解析させて貰い幾つか購入もして爆弾も解析し購入もした。


 ルシードエルは50万ポイント払って拳銃のアブと散弾銃のブライを購入して、それぞれの弾薬を買い持っていたライフルを売り払っていた。


 続いては防具を購入する。防具は武器変換能力により変換出来無いので購入するしかない。


 防具はボディアーマーとパワーアーマーの2つに別れる。分かりやすく区別するなら動力があり装着者を強化出来るか出来無いかの違い。動力があるのがパワーアーマーないのがボディアーマー。アーマーは大きく軽装級、中装級、重装級に分かれておりそれぞれ異なる性能をしている。


 僕達は40万ポイントするパワーアーマー、メトロを購入。余り性能は良く無いがルシードエルが中装級、僕が重装級を装着。装着する時に装着者の体型に合わせてフィットするらしく僕はギリギリだった。僕はルシードエルに、


 「どうしようか。僕300cmまで身長伸びるんだけど。」


 「君は馬鹿なのか?。300cmはやり過ぎだよ。色々と不便になるとは思わなかったのか。」


 「デカイ方が良いと思って。」


 「呆れてものが言えない。ログアウトした時にキャラメイクがもう一度出来るか運営に聞いてみよう。」


 僕達は手持ちのポイントがかなり少なくなったが、食事や寝る所は僕達が生まれ育った施設で出来るので野垂れ死ぬ心配は無い。


 僕達は装備品を新調した後依頼の[遺物回収]をおこなう為にスラムから離れ行く。スラムの周りは探索者が依頼や自主的に敵性存在を駆除しているので比較的安全だ。


 「ポイントが殆ど無くなってしまったしある程度稼ぎたいから少し遠くに行こう。」


 僕はルシードエルの提案を受け入れて道を歩く。幾ら動力があるパワーアーマーでも中装級と重装級の違いにより歩くスピードが異なるが、僕は歩幅が大きいことにでついて行けていた。


 辺りは荒廃しており戦闘の跡が残る。建築物は植物に覆われておりまさに人類滅亡後の世界だった。まぁ滅亡はしていないが。


 「やはり此処までは何も無いね。敵性存在もいなければ遺物も無い。」


 ルシードエルの言葉に僕は頷いてふと疑問に思った事を口にする。


 「ルシードエルは能力何にしたんですか?。」


 「あぁ私は召喚タイプにしたよ。サマナーが好きでね大体のゲームでこの職業にしていたからね。」


 「そうですか。なら敵性存在を倒さないといけないですね。」


 「うん。ありがとう。そろそろ何かあってもいいんだろうけど。」


 そう言った矢先前方にモンスターを発見した。そのモンスターは此方に向かって来ていた。


 「言ったそばからか運がいいね僕達。早速狩ろうか。アマツチ。」


 その言葉の後僕達は銃を構えた。

 

 

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