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おまけ Side:名もなきオタク令嬢

 エルシャロ尊い〜!


 最近の私は、そればかり言っていた。

 「ブティック・ヴィオラ」は今日も大盛況である。あまりにも美しい警備員の面々に、ティーサロンに集まった推し活令嬢たちが興奮した様子で推しトークを繰り広げている。


 中には警備員の殿方同士で仲良くしている様に、薔薇の咲き乱れるが如き耽美さを見出している令嬢もいるらしいけれど、私のイチオシはエルガディット様とシャーロット様の組み合わせ!


 エル様は言わずと知れたこのブティックの名物警備員さんで、その美貌の凄まじさと言ったら、そこらの令嬢が恥ずかしくなって扇に顔を隠したくなってしまうほど。

 そしてシャーロット様は、このブティックの花形モデルさんだ。時々ここの新作ドレスを着てお披露目のイベントを取り行ったりされている。


 今日も今日とてエルシャロのあまりにも美しい組み合わせを眺めながら、ティーサロンでお茶を飲んでいると、不意にエル様がシャーロット様の腕を掴んだ。


「遠慮するなんて君らしくないよ。僕が護衛するから、追いかけよう!」


 ティーサロンの喧騒を縫って聞こえてきた声は、凛と張り詰めていて、まるで姫君を守る騎士のようだった。


「でも、お父様に面会しているお義母様の邪魔にはならないかしら? 私が行ったことで余計に話が拗れたら」


「大丈夫だよ。君の気持ちはきちんと伝わるはずだ。ヴィオラ様は頭ごなしには言わない方だし」


「そう、ね。それじゃあ、エル。護衛をお願い」


 そう言って二人は、颯爽と去っていった。


 う、美しいー!


 何、今の! エルシャロじゃない? 確実にエルシャロよね?


 尊いものを見てしまったわー!


 その耽美に極まる光景を見た後ぐらいから、二人の距離は急速に縮まっているように見えた。


「シャーロット、持つよ」


 シャーロット様のカバンを代わりに持つエル様。


「エル、ありがとう」


 と言って微笑むシャーロット様。


 けれど、私の友人はなかなかこのエルシャロの尊さをわかってくれなかった。


「いやいや、やっぱり組み合わせといったらヴォルエルでしょう? 狼のように鋭い眼光を持つヴォルク様。悲しい過去を背負って一匹狼となっているヴォルク様の心を、エル様が溶かすのよ!」


 ヴォルク様って、悲しい過去とか背負ってるの?


「もちろん妄想よ!」


 もちろんじゃないわよ! もう、この友人はすぐに妄想の世界に羽ばたいていっちゃうんだから。


 それにしたって、エル様はシャーロット様と普段どのようなお話をされているのかしら? 一緒にお茶を嗜まれながら、「シャーロット、今日も君は美しいね」だなんて。キャー!


「あなたも人のこと言えないじゃない!」


 友人は呆れたように笑っていた。

ちょっとしたおまけですがお楽しみいただけたら幸いです。

それから、新連載を始めました。「彩なす恋の物語」という現代恋愛・青春小説です。こちらもぜひお楽しみいただけたら幸いです。

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