雪隷物語
昔々、ある所に。一人の冒険者がいた。
その冒険者は、特に何の目的もなく家を飛び出し、一日一日生死を彷徨いながら旅をしている。
雪が降りしきるある日。
そんな冒険者の前に、ある村が見えてきた。
近づくにつれて益々増えていく家の影に驚きながら、村へと進んでいった。
その村の人々は、珍しい物を見ているかのような目で冒険者を眺めると、いつの間にか辺りの表情は歓迎へと変わっていた。
その冒険者は、一人の村人の家に招かれ、お邪魔することになった。
その村人の家には、何とも言い表せぬ姿をした幼き男子と、それと同じくらいの女子が1人ずついた。
これは何事か。
と、問うと。村人は、過去の呪いでござる。と、応えた。
この冒険者は、この事態にいたく悲しみ、その村一体を治める神社へと訪れ、これにお祓いをするように伝えた。
すると村では、この冒険者の好感度はうなぎ上り。
中には、見惚れる者さえいた。
その後、この冒険者はお祓いが成せたのか確認をしたいと言って、一定期間滞在をした。
年月にして、10年。
この流れた時に、冒険者は結婚をし、村の人々と助け合い、尚且つ子宝に恵まれ、幸せな暮らしで日々を過ごしていた。
そして、滞在から10年が経ったある時。
この平穏な時が流れていた村に、激震が走る。
突然。木々は燃え、村が炎に包まれる。
人々は生きて逃げることを第一に考えたが、逃げる隙もなかった。
しばらくして、炎の中から複数の禍々しい鬼が姿を現した。
鬼は逃げ惑う人々の長子を除いて全員から魂を抜こうと鬼は動き出す。
鬼がある男の子の魂を今にも抜き去る時、滞在していた冒険者がそこに参上する。
「10年に一回わざわざここに下りてくるのか。!中々、マメな野郎どもだ。 魂をとって何をする気なのか知らないが、許す訳にはいかない!」
そう鬼に言い放つと冒険者は太刀を抜くと、それはまるで流れる川のような刀さばきで鬼を切り捨ててゆく。
その後、鬼が全員地に伏した時。雨が降りだした。
そして、鬼を切り捨てた冒険者は雨をも降らせる〝神〟と讃えられた。