余分な助詞の検出方法について:「に」版
はじめに
本作はあくまで、「なろうで執筆を始めてみた初心者」が迷った際の情報まとめとして書いています。
私自身は文系では無いので、文系バリバリの方には劣ります。
なのでマサカリはやめて下さいね。
心をおおらかにしてお読み頂くか、無理そうならブラウザバックをお願いします。
こんにちは、あるいはこんばんは。
執筆している際に同じ助詞が多くなってしまい、ご自身でも違和感を覚えたことはありませんか?
多くの初心者作家を悩ますであろう助詞の「に」に今回はフォーカスを当ててみました。
───お品書き
・この題材を取り上げた意図
・助詞の重複による問題点
・「に」の助詞に含まれる要素
・強調表現で発生する重複問題
・読点を利用した問題発見方法のご紹介
・口語体での省略が厄介
・「に」の置き換えについて
・「に」と「へ」でも省略が大きく関わる点
・まとめ
───この題材を取り上げた意図
まず、多くの作家を応援したいため、この題材を取り上げたことを明記しておきます。
このような問題を取り上げると「マウント取りたいだけ」「正しい文法がそれだけ大事なのか?」みたいな厳しい批評を頂く事もあります。
ですが、そうではありません。
私自身、伝わりさえすれば文法が多少間違っていても良い派です。
伸び悩んでいる作家さんの文章を見て、「もう少し改善すれば伝わり易くなり、もっと伸びる可能性があるのにな……」と思ってしまい、勿体ないと思うことが多いのです。
ですので、特に改善の必要性を感じていない作家様はブラウザバックを推奨致します。
本話は「もう少し伸ばしたいけれど、どうすれば良いのか分からない」という作家さん向けに用意しました。
───助詞の重複による問題点
助詞の「に」「が」「を」「で」「と」は、一文内に2回以上登場したら注意する価値がある助詞です。
しかしながら、複数回出て来ても文としては正しいこともあるため、断定することは非常に困難と言えます。
とはいえ、初心者向けにはある程度の目安として伝える必要があり、その加減が難しいところです。
※「は」の重複については後日、投稿予定です。
───「に」の助詞に含まれる要素
主な用途は以下になります。
・場所(どこに)
・目的(なにに)
・対象(だれに・どれに)
多用途な助詞で、意味が多義的ゆえに曖昧さを招きやすい助詞です。
ですが、文が持つ「方向性」を指し示す助詞であるため、重要な助詞と言えます。
───強調表現で発生する重複問題
口語体の強調表現で「だけにしか」という言い回しがあるのですが、そこへ「に」の助詞を加えることで難解になるケース事例をご紹介します。
「その手紙は、本当に手紙が欲しいと思っている人にだけにしかあげないらしいんだ」
上記の例題は「人にだけにしか」は、前後だと前の「に」が余分となります。
本来は「だけにしか」の強調表現だったのに、助詞を加えたことにより違和感がある文となりました。
それぞれを独立した助詞として捉えると、「だけ」がかかる対象が変わり、前の「に」を省くと「人」にかかり、後ろの「に」の場合は「物」(ここでは手紙)にかかります。
言い換えると、「思っている人だけ」と「手紙だけ」の両方に意味がかかっている状態になります。
こういったケースの余分な方の見分け方として、助詞の後に読点を入れてチェックするのが良いと思います。
───読点を利用した問題発見方法のご紹介
読点を利用すると、問題点が見えやすくなります。
例題の助詞に読点を加えた文と、助詞を省いた文を用意して比べてみます。
「本当に手紙が欲しいと思っている人にだけにしかあげないらしいんだ」
①「本当に手紙が欲しいと思っている人に、だけに、しかあげないらしいんだ」
②「本当に手紙が欲しいと思っている人に、だけしかあげないらしいんだ」
③「本当に手紙が欲しいと思っている人だけに、しかあげないらしいんだ」
④「本当に手紙が欲しいと思っている人だけしかあげないらしいんだ」
こうして並べると①は違和感が浮き彫りになりますし、④は意味が変わってしまうので両方省くのはNGという事が分かり易くなります。
②は読点を入れることで省かれている単語があることが見えてきます。
そこに読点を入れると厳密には「思っている人に、(手紙)だけしかあげないらしいんだ」と、「物」にかかっていることが分かります。
よってこの場合、③が最もベターだと思われます。
───口語体での省略が厄介
前項でも少し触れましたが、助詞を整理すると意味が変わってしまい、意図しない省略が浮かび上がってしまうことがあります。
すなわち、②のケースがそれにあたります。
②「本当に手紙が欲しいと思っている人に、だけしかあげないらしいんだ」
助詞を整理したことで「だけにしか」の強調表現が解除されています。
そのため、「だけしかあげないらしいんだ」の文が不明瞭になり、何かを省かれたと読み手側が受け取ってしまう問題が発生します。
そこへ省略されたであろう言葉を埋めると「手紙」が妥当となるので「手紙だけしかあげないらしいんだ」となるのですが、原文の強調は「思っている人」のため意味が変わってしまいます。
───「に」の置き換えについて
助詞の「に」の問題は、他にもあります。
例えば、助詞の「に」は、「へ」に置き換えられるという性質を持ちます。
ただ、「に」と「へ」の使い分けに関しては、ある程度の傾向があるものの、どちらでも成立するケースが多々あります。
例題:
例①:「友人Aにコンビニへ行くことを勧めた」
例②:「友人Aへコンビニに行くことを勧めた」
これも省略が関わっている問題ですが、この文だけでいうと例①の方が妥当な文と言えます。
見えてなかった省略を明確にすると、逆転することも多々あるので、非常に難しいです。
───「に」と「へ」でも省略が大きく関わる点
前項の例題で敢えて省略していた「LINEで」「近くの」を追加してみます。
例①:「LINEで友人Aに近くのコンビニへ行くことを勧めた」
例②:「LINEで友人Aへ近くのコンビニに行くことを勧めた」
この場合は、例②を自然と感じる読者もいます。
元々の日本語自体が非常に曖昧なので、端的に言い切るのが難しいと思います。
使い分けの傾向としては、距離感で考えると分かり易くなります。
※絶対の正解では無いので注意が必要です。
省略したケースでは、対面だと想定されるので近いのは友人Aであり、遠いのはコンビニです。
明記したケースでは、物理的な距離が離れているからLINEを使っているのであり、友人Aへのアプローチが多少間接的になっています。
単純な使い分けとしては、より近い方に「に」を適用し、遠い方を「へ」で表現するとマッチするケースが多いと思われます。
───まとめ
助詞の使い方や、文の言い回しが少し変化するだけで読者の受け取り方が大きく変わると思います。
ただ、難しいと萎縮して欲しい訳では無く、「こう言い換えたらもっと伝わり易くなるかも?」と、ポジティブに受け取って欲しい思いから取り上げました。
一先ず書き上げてしまってから、読点を入れてみて違和感が無いのかをチェックするだけでも変わると思います。
そういった手法もあることを知って頂ければ充分です。
貴方の作品の向上に繋がれば幸いです。