話者を見失わせないために
はじめに
本作はあくまで、「なろうで執筆を始めてみた初心者」が迷った際の情報まとめとして書いています。
私自身は文系では無いので、文系バリバリの方には劣ります。
なのでマサカリはやめて下さいね。
心をおおらかにしてお読み頂くか、無理そうならブラウザバックをお願いします。
こんにちは、あるいはこんばんは。
今回は、話者(セリフを発言しているキャラのこと)の扱いについて初心者が陥りやすいミスを取り上げました。
◆お品書き
・初心者にありがちなケース
・なぜ発生するのか?
・三人以上での読者負担は?
・会話テンポvs明確さ
・無意識で作る声のイメージ
・さいごに
──◆初心者にありがちなケース
テンポ重視の会話ベースで進む作品。
それを処女作に選ぶ作家に見られる傾向があります。
キャラが三人以上いる状況下で、テンポを重視するあまり地の文を抜き過ぎて話者が分からなくなるケースです。
キャラが二人であれば、地の文がなくても最初のセリフがどちらの発言か分かれば、するすると読み進められます。
ですが、三人以上になると話が変わってきます。
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ABCのキャラ(+モブ)がいる状況での例:
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「では、Aがギルティだと思う者は手をあげろ!」
Bが議長をつとめる会議で、今まさに吊し上げの状況。
「ほら、Aよ。目を閉じてないで現実を見よ。C以外、全員が手を上げてるぞ?」
「ぼ、僕、見えてないかな!」
「往生際が悪い! しっかり目を開けろ!」
「わたくしが悪いのですわ! 責めないで下さいませ!」
「そうだそうだ!」
「そろそろ話を進めたいんだがな」
「ならそうしようよ。防衛の方が重要案件だと思うし?」
「ですわ! ミスばかり指摘していても意味がありませんわ!」
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作者にしか話者が分かっておらず、読者が置いてけぼりとなる典型例となります。
──◆なぜ発生するのか?
作品に触れた時点でのキャラの理解度に、作者と読者では大きな差があるためです。
作者としては「話の流れで分かるでしょ?」「口調でわかるよね?」と思うかも知れません。
ですが、作者が瞬時に把握できることも、初見の読者には難しいことを見落としています。
・呼称(自称も含む)や敬称、口調や語尾など。
それらを初見の読者は明確に振り分けられません。
じっくり読めば特定は出来ますが、「これは誰だろう? この口調だとこっちかな?」と推理をしなければならない作品は、その時点で〝疲れる〟〝読んでいて頭を使う〟作品となり、昨今の主流からは離れます。
また、見えている情報だけしか判断材料がないのも、読者側からの特定が難しい点です。
より噛み砕いて言うと、作者が考えている〝Cは絶対にこの口調をしない〟という前提条件が読者にはありません。
だから、セリフに対しても「これはCではない?」のワンクッションが必ず入ります。
──◆三人以上での読者負担は?
二人の場合は、セリフが変わったタイミングで話者が切り替わる前提で読むため、読者も引っ掛かりません。
問題は三人以上の場合です。
ABCのキャラがいて、最初のセリフがBと確定する場合、次のセリフはAかCとなります。
そこは50~99%の幅があり、口調などを使って可能な限り99%に近づける工夫をしていても、前述の読者側の理解度の問題で50%になってしまうこともあります。
セリフが5回以上連続するケースで、Aの確率の例を示します。
※確率は分かりやすくするため、ざっくりの表示としています。
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Bが口を開く。
Bの確率99%のセリフ。
Aの確率50%のセリフ。(A又はC)
Aの確率33%のセリフ。(ABCの可能性がある)
Aの確率33%のセリフ。(ABCの可能性がある)
Aの確率33%のセリフ。(ABCの可能性がある)
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一度、話者を迷うと後ろがどんどん分からなくなっていきます。
これに中継点を仕込むことで格段に改善出来ます。
Cの発言と分かる地の文を差し込んだ例を示します。(分かりやすくするため、空行を差し込んでいます)
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Bが口を開く。
Bの確率99%のセリフ。
Aの確率99%のセリフ。(A ※1)
いきなりCが会話に割り込んでくる。
Cの確率99%のセリフ。
Aの確率50%のセリフ。(A又はB)
Aの確率33%のセリフ。(ABCの可能性がある)
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この例の場合、直前の文(※1)のCの確率が極端に小さくなり、Aと確定しやすくなります。
誰だか分からないという箇所が減るので、流れや口調で特定できる読者が格段に増えます。
──◆会話テンポvs明確さ
では「毎回差し込めば良いのか?」と言われるとそれも違います。
それでは会話テンポ重視の作品の長所を殺してしまいます。
省いて話者が伝わるのなら省きたい、けれど省き過ぎると伝わらない。
常にその狭間で悩むと思いますし、作品によって答えは変わります。
また、序盤なのか、それとも百万文字続いた後なのかでも読者のキャラ理解度が変わります。
あくまで作品や作風にもよりますが、序盤は明確さに重きを置いた方が良いと思います。
テンポ重視で得られる没入感と、話者が特定できることで得られる没入感を天秤にかけ、作品にあったバランスを選んでください。
話者が明確になることで声のイメージが作りやすい恩恵については、次の項目で述べます。
──◆無意識で作る声のイメージ
私たちは作品を読む際に、無意識で声のイメージを作って読んでいます。
そのため、アニメ化などで「声のイメージが違う!」や「イメージぴったり!」の反応に繋がっています。
話者が特定できない作品の一番の問題点は、声のイメージが作りづらく、ぼやける点です。
読者の没入感を高めるためテンポ重視にしたのにも関わらず、話者が特定できないことで没入感を損ねるという逆転現象が発生します。
また、声のイメージを重視する読者にとっては離脱に繋がってしまいます。
朗読配信や演劇の方に作品を持ち込んだ際に、「これは誰のセリフですか?」と質問される作品だと、かなり致命的と言えます。
そういう作品は「誰だか分かんないけど、まいっか」で流し読みされている可能性が高いです。
──◆さいごに
地の文での話者補強は塩梅が非常に難しいです。
ですが、難しいことを知っておき、分かりにくさを解消するための手段・選択肢を作家として増やしておくことは武器になると思います。
本エピソードが何かしらの力やヒントになれば幸いです。




