フェヅス街 市場
ナージベルク帝国、アルミナ平原にあるフェヅス街
かつてこの地は多くの魔物が生息する魔境の一つだった。
開拓する際に帝国は、多くの戦士を集め、非常に多くの犠牲者を出しつつもこの魔境を攻略した。
その後、この地を安定させるために何年も戦士たちは魔境に残り、魔物を撲滅していった。
魔物が生まれてきては倒し、また生まれてきては倒し……。
死者は多く出たが、いつしか魔物は出なくなっていた。
地面には多くの死体が散乱していたが、捜索隊がそれらを一つの場所へ集め、戦士たちは埋葬された。
その上にはアナイア塔が建ち、戦士たちの勇姿をたたえている。
その周辺にはいつしか人々が集まり、今のフェヅス街が出来た。
――ナージベルク帝国書「アルミナの勇士達」より
売りに行くといったが、いったい何を売るのか?
それは、ウサギ肉だ!
いや、他の魔物の素材でもいいけどさ、ゴブリンとかの素材っている?
それなら、普通においしい肉でいいと思うんだ。
大事なのは、お店側が『買い取りたいな』って思うやつを提供してあげることだと思う。
ちなみに、今どこに向かっているのかというと、肉屋だ。
『肉を扱っている店なのに、肉を売りに行くの?』っと思うかもしれない。
だけど、肉を一番よく扱っているのは肉屋だ。
売り上げがいい時なら、喜んで買い取ってくれるだろう。
まあ、逆に売り上げが悪い時なら買い取ってくれないと思うけど……。
着いた!! おお、見た感じ結構賑わっていそうだ。
(ふむふむ、この状況、雰囲気、これは売り上げがよさそうなところだな。)
今なら売りに来てもきっと買い取ってくれるだろう。
でも、その前になんか買っておくべきかな?
よし決めた。
この『レッドバードのもも肉』にしよう。
じゃあ、行くか!
「すみませ―ん、この『レッドバードのもも肉』を2キログラムください。」
おー、結構ガタイの良いおっちゃんが出てきた。
めっちゃ優しそうな人だなー。
こっから見ても、笑顔がめっちゃすごい良い。
「おう、銀貨3枚だな。」
「あ、あとここってお肉の買い取り受け付けていますか?」
「もちろん受け付けているぜ! 嬢ちゃん、何の肉を買い取ってほしいんだ?」
よかったぁー、買い取りを受け付けているところで。
自分の買い取ってほしい肉を『収納空間』から取り出してと……。
「こちらのお肉を買い取ってほしいんです。」
ウサギ肉を肉屋のおっちゃんに渡した。(押し付けたともいえるかも)
あれ、何かおっちゃん驚いてね?
「こ……これは、オプティミラーラビットの肉!? お、おい……嬢ちゃん、これはいったいどこで手に入れたんだ。 いや、どうやって捕まえたんだ!」
……なんか、ただのウサギだと思っていたものがここまで驚かれるとは、変わったウサギなんだな……。 (現実逃避)
「い、いやー……そこら辺にいたウサギを狩っただけですよ?」
「ッ! 特殊アイテムも、スキルも何も無しで、素で光学迷彩を見破っただとー! この肉は、大金貨8枚で買い取らせてもらう――いや、買い取らせてくれっ!」
そんなに大金が付くの!?
って、おおー、肉屋のおっちゃんに頭を下げられてしまった。
ど、どうすればいいのこの状況?
ん? 今おっちゃん光学迷彩がどうとか言っていたけど……。
え! あのウッサーあそこまで凄いものだったの!?
「あ、あのー。 なんでこのウサギ肉にそんな大金が、そんな大金がつくの?」
「このウサギ肉はな、ドラゴンの肉に並ぶほどとっても美味なんだが、光学迷彩があるから見つけにくいし、そもそも個体数が少ないんだ。 だからこそ、ここまでの価値がこの肉につくのさ。」
個体数が少ない……、昨日10匹以上狩ってしまったが大丈夫なんだろうか?
ちょっと調べてみよ……。
オプティミラーラビット 個体数 :検索
残り個体数:4匹 (絶滅危惧種!)
あ……、あっぶな。
危うく絶滅させるところだった。
反省、反省……。
「いいのですか? こんなに大金をもらっちゃっても。」
「おう! いいぜ、むしろこれでもまだ安いほうだからな!」
え? これでもまだ安いほうなの?
やばいな、このウサギ。
こいつだけで金銭問題解決じゃん。
(っていうか、だれがこんな道中で狩ったウサギが高価に売れて、しかも絶滅危惧種だって思うんだよ!)
「あ、あの、色々とありがとうございました。」
「いや、いいってことよ。 むしろこっちが感謝したいぐらいだぜ。 こうして生きている間にオプティミラーラビットの肉を実際に見ることが出来て、本当に嬉しい。 また何か肉を買いたい、売りたい、と思ったら遠慮なくここに来てくれ。 次来たときはサービスしてやるぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
ちょっと予想外なこともあったが、楽しかったな。
また機会があったらここに来ようかな。
さて、まだやることはいっぱいあるんだ。
休んでいる暇はない、次は冒険者ギルドに行くか!
ちょっと―、あのウサギを絶滅させないでよねー。
自分の夕飯として凄く重宝しているんだから。
べ、別に絶滅寸前なのは私のせいじゃないもん!
本当だもん!
え? じゃあそのお腹は何だって?
た、食べ過ぎて太ってないから。
本当だもーん!!
――自称無罪の駄目鑑定神




