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氷光は希望となりて闇を切り裂く  作者: varugure
2章 天使、ダンジョンを防衛す
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晄のお家-1

 晄達の場所へ全力で向かってから数分、ようやく街の門が見えてきた。

 その門の下には晄達が立っていた。


「あ、暁霞ちゃん、こっちだよー。」

「わかった。」


 晄が大きく手を振りながら呼んでいたから、こっちも手を振って答えた。

 そしてようやく合流することができた。


「暁霞ちゃん、こんばんは! お買い物どうだった?」

「こんばんは、結構良いものがほぼ無料で手に入ったよ。 そっちは?」

「私の方はね、きのことレペルという果実とロズエスという野菜、後はパン・デ・ローって言うやつを買っていたの。」

「パン・デ・ローって、ポルトガルの菓子か。 なんか色々と気になることがあるけど……。」

「先ずは、私のお家に着いてからだね。」


 色々と話したいことがあるけど、それは晄のお家に行ってからということになった。

 しばらくしたらばてたフレイムがようやく合流して来た。


「ハァ……ハァ……つ、着いた。 何で、氷天使は……そんなに元気なんだ?」


 そりゃー鍛え方が違うからな。(そんな事ない)

 まあ、そんなことは置いといてだ。もうすぐ夜になってしまうし、街を出て晄のダンジョンでゆっくりとしよう。

 フレイムに街を出ることを伝えたら、晄のとこに行くのを察してくれた。


 門をくぐってしばらく歩くと、街が見えなくなる所まで来た。

 ここら辺ならそんなに見られることとかなさそうだな。


「だいぶ街から離れたし、ここら辺なら大丈夫じゃないかな?」

「じゃあ、行くよー。 それっ!」


 晄がそう言うと、周囲の空間が歪んでダンジョンの入り口が現れた。

 空間が開いた先は木の枝と葉っぱが集まって一本の道を作っていた。

 晄を先頭にダンジョンに入って行くと、葉っぱの砕ける音と、飛び出した枝が折れる音だけが静かに暗い夜道に響いた。

 木の道は非常に高く、木の枝でできているという理由から怖いと言う人がいるが、そんなことはない。

 木の道は揺れることなく安定して、手すりもあるからな。


 そのまま木の道を進むこと約三分、木の道が無くなり地面に変わり始めた頃、視界が開けて目の前に少しだけ大きなログハウスがあった。

 晄はどこからか鍵を取り出して、ロックを解除すると扉を開け、私達は中に入った。


「「「「ただいまー。」」」」


 その声が合図だったかのように、家の電気が付いて明るくなった。

 帰ってきた私たちに気づき、向こうの部屋から青い髪と瞳を持った美しいお姉さんがやって来た。


「お帰り、晄、小白。 あら、暁霞に洸誠じゃない。 こんばんは。」

「「こんばんは、ミリさん。」」


 私とフレイムは目の前にいるミリさんに挨拶をした。

 ミリさんは晄のダンジョンの守護者で、このダンジョンの管理を晄の代わりに行なっている水の精霊だ。

 通常、精霊は丸い形など単純な形、もしくは本来の姿にだったりするが、ある程度の力を付けるとミリさんのように人型になれる。

 そのような個体を人々は大精霊と呼ぶ。

 まあ、異世界についてよく知っている人にとっては想像通りだったと思うんだけどね。


「疲れたでしょうから、ほら早く上がってお風呂に入って来な。」

「はーい。 暁霞ちゃん、先に入る?」

「いや、私は後でいいや。 晄が先に入ったら?」

「良いの? なら、御先に入っちゃおうかな。」

「お姉ちゃんと一緒に入る!」


 小白ちゃんがそう言って、晄にぺったりとくっついた。


「じゃあ、一緒に入ろっか。」


 晄はくっついてきた小白ちゃんの頭を撫でながら言うと、一緒に浴室へ向かって行った。

 フレイムにお風呂はどうするのかと聞いたら、『自分は最後でも良い』とのことだった。

 ん? 異世界でしかも自分で生成するタイプのダンジョンなのに、何でお風呂で順番に入る必要があるのかって?

 晄が作った浴室が、今の日本の一般の家庭サイズだからだよ!

 まあ、お家となるとね……でかい浴室や温泉より通常のサイズの浴室の方がなんか落ち着くし、そのほうがしっくりと来るんだよな。

 まあ、そんなわけで……諸君、今回は諦めろ。 温泉回が来ない限り、君たちが求めているシーンは来ないぞ!


 私達がリビングに入ると、ミリさんが聞いてきた。


「曉霞、洸誠、飲み物を入れて来るけど、何が良い?」

「そうだなぁー、私は緑茶で。」

「自分はコーヒーでお願いします。」


 ミリさんがキッチンに行き、しばらくしたらお茶とコーヒーを入れて来てくれた。

 私達がお礼を言うと、ミリさんは軽いお辞儀をしてキッチンに戻って行った。

 何をするのか聞いてみたら、『夕飯をこれから作ります』とキッチンの方から返って来た。

 そう言うミリさんの手には、きのこと異世界産の野菜と思われるのがあった。

 多分、晄がお風呂に入る前にミリさんに渡したんだろうな。


「氷天使、なんかとても疲れたな。」

「確かに。 ここ最近、結構いろんなことがあったからね。」


 思い返せば――いや、そんなに経ってはいないか。

 精々二・三か月程度だし……まあ、その位の月日にしては結構ハードだったけどな。

 逆に言えば、その位の月日しか経っていないから色々な問題が終わっては無いんだが……。


「そういえばさ、フレイム。」

「何だ?」

「あの創空騎士って何処に行ったんだろうな?」


 私の言葉を聞いたフレイムは、少し考えた。

 しかし、答えが出なかったのか首を傾げた。


「でもさ、創空騎士はさ出来るだけ早めに倒したほうが良いじゃん。」

「そうしたいのは山々だが、現状奴の居場所を掴めていないから何もできないんだよな……。」

「「はぁ……。」」


 創空騎士に対して何も手が打てないのが改めて分かり、私達はため息を吐いた。

 どうしようかと頭を悩ませながら飲み物を飲んでいると、晄達がお風呂から出てきた。


「曉霞ちゃん、お風呂だよ。」

「分かった。」


 私はそう言うと、浴室へ向かって行った。

 浴室に着くと、ステータス画面から装備(下着も含む)を解除して、扉を開けた。

 浴室の大きさは大体一坪くらいの広さで、その中にFRPで出来た白色の浴槽がある。

 目の前には、丁度全身が見えるくらいの大きさの鏡があり、そこに髪と瞳が透き通った水色の羽の生えた少女が映っていた。


 髪は最初の頃と比べると少し伸びているな。

 羽は特に汚れてはなさそうだな!

 肌……絹みたいに白くてもちもちとしている。

 この体、めっちゃ健康だな。

 胸? 今後に乞うご期待だ。

  異世界転移したとかで、多少見た目が変わっているのではないのかと心配だったが、その必要もなさそうだ。

 え、最初に水辺で確認したって? あれはノーカンだよ。

 そこら辺の水辺じゃ細部まで分からないからな。


「おー、ちゃんと自分が作成した通りの見た目になっているな。 羽とか頑張れば動かせるのかな?」


 背中にある羽を動かそうとすると頑張ってみた。

 ……ピクッ……ピクピクッ!

 あ、少し動いた。 にしても、これだけで凄く疲れるな……。

 羽を動かそうとするのをやめ、体も洗い終わると早速湯船に浸かった。


「あー、気持ちいー。」


 やっぱ日本人としてはお風呂が無くちゃ、異世界の宿はお風呂なんて無さそうだったし。ダンジョン最高!

 そういえば、スキルなんかめっちゃ見にくかったな……ちょっとだけ整理するか。

 氷鉋曉霞

 二つ名:氷天使 職業:魔導騎士 Lv:1850 種族:天使 装備:無し

 HP:25860 MP:13500 ATK:3900 DEF:1800 MAT:2000 MDE:1500 AGI:1600

 スキル:鑑定 光滅 調合 崩天 探知魔法 修復 魔力充電・暴走 隠密 飛行魔法 黒鎖etc.

  バフ.遅延再生 硬化 命盾 再生補助・強化 加速空間 身体強化 剛腕 悪食etc.

 デバフ.腐食魔法 耐性弱化魔法 再生阻害魔法 身体弱化 魔力崩壊 鈍足etc.

  魔法.六大属性魔法(火・水・風・土・光・闇) 空間魔法 侵蝕壊魔法 重力魔法etc.

  武術.神剣術 槍術 銃術 盾術

   EX.素材変化 神滅 氷天使 創造魔法 迷宮 時空の指針

  称号:非表示


 まあ、ざっとこんな感じかな?にしてもスキルめっちゃ多かったな……整理面倒くさ!

 確かにこれぐらいになると省略したくなるな……。

 鑑定神さん、仕事がテキトーだと言ってすみませんでした。

 よし、体も温まったし風呂出るか!

 私は湯船から出て、体をふいた。

 その後装備をステータス画面から装備して、リビングへ向かった。

 わー、暖かそうなお家だなー。

 え……大精霊がここを管理しているの!

 氷天使のスキルって魔法と補助が多めで、武術は少なめなんだ。

 にしてもステータスを見るたびに思うんだけど神剣術とか創造魔法とかさ、神の領域をバンバン侵しているスキルだよね。

 何でそういう奴を何個も持ってんの?

――夜食ラーメンがお供な鑑定神


ブクマ、評価有難うございます。励みになります!

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