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氷光は希望となりて闇を切り裂く  作者: varugure
1章 天使、草原を旅す
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事情徴収

 朝日が眩しいな……でもこの床暖かくて気持ちいいな。

 にしてもなんか、周りが騒がしいな……。 何があったんだろう?


「うーん、何の騒ぎなんだよー。 って、え! 何事!」


 目を開けると、目の前に門で会った衛兵さんと、たくさんの野次馬がいた。

 目の前のこの状況に驚いて固まってしまった。

 ちなみに、なぜか私はベンチの上で横になっていた。


「目が覚めたか。 ごめんね、突然こんな状況になっていたら驚くよね。」

「いったい何がどうなって、こうなったんですか?。」


 困惑している私に、衛兵さんが何でこんなことになったのか説明してくれた。


「このような状況になったのはね、一日中寝ていた君たちが心配だったのもそうなんだけど……一晩で消失してしまった宿屋についてなんだ。」

「消失してしまった宿屋……もしかして、あれのことかな?」

「なんか知っているのかい?」

「はい、一昨日のことなんですけど。」


 私はあそこで起きたことについてできるだけ詳しく門番の人に伝えた。

 そういえば、フレイムはどこに……いた。

 ベンチで爆睡しているな。

 寝ている姿がなんか、仕事で疲れてそのまま座りながら、寝てしまった会社員みたいだ。

 もしかして、あいつが私をベンチまで運んできてくれたのかな?

 後でお礼を言わないとな。


「なるほど……宿屋の人は皆殺しにされていて、そこで君たちは犯人と闘ったのか。」

「はい、そうです。」

「道理でこんな傷がついているわけなんだね。」


 え、傷がついている? どこなんだろう、あー、腕の方か気づかなかったな。

 傷口を見てみると少し青色に腐食し、えぐれていた。

 侵蝕か……最悪だ。 再生できないんだよね、これ。

 傷口を切り取らないとだが……。


「今、『回復魔法』を使える人を呼ぶからちょっと待っていてください。」

「いえ、大丈夫です。 この傷はこうしないと……。」


 そう言いながら、私は剣で自分の腕を傷口より上のところで勢いよく切断した。

 切断したところから大量の血しぶきが舞った。

 にしても結構痛いな、こうやんないと治んないとは分かっていても、もうやりたくはないな。


「っちょ、何をやっているんですか! 危ないですよ。」

「……これ、治らないんで。」


 野次馬の方から悲鳴が聞こえていたが、きっと私のことだろう。

 さてと、この腕を『再生魔法』で再生してと……これで完了。

 ついでにフレイムの方は、何も傷が無かった。

 やっぱりあいつ、めちゃくちゃ私を狙っていたよね?


「はぁ、それは分かったけど……できるだけ人前でやらないでください。 騒ぎになっちゃいます。」

「でも、もう騒ぎにはなっているんじゃない?」

「それもそうだけど……。」

「あれ、今何時だ? な、何だこの人の集まりは!」


 衛兵さんと話していたら、フレイムが起きたみたいだ。


「おはよう、フレイム。 いきなりですまないが……君に失踪事件の容疑の疑いがかけられているから、事情徴収をさせてもらう。」

「は? え、なんか俺悪いことしたん?」

「いや、そんなことないよ。 容疑の疑いはかけられてないし、ただ宿屋の出来事を聞きたいだけなんだ。」

「私はちょっとからかってみただけだ。 あ、あとはベンチまで運んでくれてありがとな。」

「は、はぁ……からかっていたのか。 それはともかくだ、事情聴取くらいならいいけど。」

「ご協力感謝します。 では、さっそくですが……。」


 フレイムも一昨日のことを、私よりも詳しく説明した。


「なるほど……彼女と言っていることがほとんど同じだから、それで間違いなさそうだな。」

「あの、もう行ってもいいでしょうか?」

「ああ、行っていいよ。 怪我をしないよう、気を付けてくださいね。」


 私たちは衛兵さんと別れ、今日はどうするか話し合うことにした。


「なあ、今日はどうする?」

「小銭がちょっと少なくて不便だから、なんか依頼を受けて貯めに行くのはどう?」

「確かに小銭が少ないな。 でも腹が減ってきたから、まずはなんか食べに行こうよ。」


 食べに行くか、どっかの屋台に行けば……。

 いや、肉屋で買った鶏肉があったはずだ。


「じゃあ、外に行って料理をするぞ!」

「え、何か食材あるの?」

「鶏肉と、野菜があるな。 鶏肉の野菜炒めなら作れるが……。」

「塩と胡椒はお前の『創造魔法』で作るとして、鶏ガラはどうすんの?」


 鶏ガラか……確かにどんなものかは分からないから作ることは難しそうだな。

 なんか鶏ガラの代わりになりそうなものあるかな?

 あ、骨が入っている。 魔石を採る時に一緒に採っちゃったのかな?


「鶏ガラの代わりに、竜骨使うのはどう?」

「いいとは思うが、どうなるかは分からないぞ。」

「多分大丈夫だよ。 じゃあ、さっそく行くか。」


 街の外に出て、虫が食べ物に入ってこないよう『創造魔法』で家を建てた。

 食材を取り出したり、『創造魔法』で作ったりしながら材料をそろえた。

 後は、竜骨からだしを取ってだのなんだのをやって完成した。

 塩と胡椒はすごいな……入れるだけでなんかおいしくなったような気がする。


 食べてみると、竜骨からとっただしは……どの動物とも似つかない味がする。

 でも、すごくおいしいな。 なんか、すごく濃厚でまろやかなんだけど……後味がさっぱりとしている。

 これが竜は捨てるものがないと言われる理由か……。(多分違う)

 他の部位がどんな味なのか気になるな。


「竜って……おいしいな。 今度見かけたときは、狩ろうかな。」

「これは……今まで食べたものの中で一番うまいな。」


 他の食材もおいしかったが、竜が圧倒的にうまかったとだけ言っておこう。

 さて、おいしいご飯を食べ、腹も膨れたことだし……。


「依頼を受けに行くぞー。」

「おー!」

 おいしいご飯を食べて元気いっぱい!

 さあ、お前ら、仕事の時間だ!

 私か? 当然ここで見ているだけだよ。

 あーそうだ、ちょっとイベント周回をしないとな。

――今日も仕事をサボる鑑定神

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