プロローグ 1
昔、ある世界ではある言い伝えがあった。
──『ヴェルムメギアの地に太古から存在する塔が目覚めし時。彼の塔に導かれし者は集い、幾千ものの道が開かれ、終わりなき旅が始まるだろう。塔の嘆きは誰にも聞こえず、破滅の道へと進む時もあるだろう。抗え、世に生きる人々よ。希望は常に正義と共にある。』──
彼の文が刻まれているすぐ下には、誰かが文を刻んだ跡があった。
『希望も絶望も、何も変わらない。アレは ではない。■■はアレに捕らえられ、存在ごと消し去られたんだ……。クソ、何が救いだ。我々から全て奪っといて。もしかしてアレは、■■■■■■を超えて を消し去り を作り替えようとしているのか?気をつけろアレの狙いは恐らく 空間を を することだ。我々の唯一の希望は■■■だ。ああ、どうかこの に ―――』
何者かによって意図的に消されていたり、長い年月が経っているのか消えかけている文字が所々ある為、解読不能だ。
──とある古代遺跡探索者
今日も一日が始まり、人々は学び、働く。
いろいろな出来事や出会いがあり、仲が深まったり、喧嘩したりする。
そして、いつかは別れがやって来る。
それが私達にいい影響か、悪い影響か、どっちを与えてくれるかはわからない。
だがそんな世界で人々は今日という日を迎えて生きている。
そんな中、私、氷鉋曉霞は大学での学業を終え、今はゲームをしている。
ゲームは偉大だ。
なぜなら自分が本当にその世界に居る気持ちになれるし、色々な人と協力したり、対戦したりできるから様々な人と出会える。
他には集中力や反射神経など、自分の能力をより高めることもできる。
本当にゲームって偉大だな。
え? 怖いところもあるって?
もちろん、そのことも分かってはいるさ。
誹謗中傷やストーカーなど、ネット等が絡んでいるとよりそういうことが起こりやすくなることもね。
まあ、何事にも犯罪やいじめはあると思うよ。
誰かの心に悪意や恐怖、欲望等がある限りね。
ちなみに今、世界中でVRMMOが注目されている。
数年前まではまだ実現していなくて空想上のゲームだった。
だが、3年前、ついに実現したのだ。
そんなVRMMOの中で特に今、人気があるのが私が今やっている「クラムルード・オンライン」というゲームである。
あ、レアアイテムがドロップした。
これで今必要なアイテムは全部そろったかな?
「よし、今日のノルマ完了。 あれ? もうこんな時間!」
時計を見るともう21時になっていた。
時間が経つのは本当に早いなと思いながらゲームからログアウトをした。
そして、私は作り置きしておいた夕飯を冷蔵庫から取り出して電子レンジで温めることにした。
「とりあえず、今日のノルマは一応終わったけど、今回のイベントアイテムをまだ集め終えてないからやることやって、続きをしないと。」
『チーン、出来ました。』
温め終わった音を聞いた私は、レンジの中から夕飯を取り出して、それをテーブルに置いた。
「いただきます。」
うん、やっぱり忙しいとき(だいたいゲーム。 たまに課題。)は作り置きしておくのに限るね。
夕飯にしてから少し時間が経ったとき、自分の背後から何かの影が伸びていることに気が付いた。
(あれ? 誰か後ろにいるのか? いや、後ろには窓とか何も無かったはずだ。 扉は私の視界に入っているからそこから入ってきたわけじゃあなさそう。)
そして、私は影をよく見てみることにした。
(随分とこの影細いな。本当に人間なのかな? え、ちょっと待って。何か近づいてきていない!)
恐怖を感じ、私が後ろを振り返えると、そこには暗闇が広がっていた。
中央には細長いものが薄っすらと見えた。私はすぐにやばいと感じた。
「誰かッ――。」
助けを呼ぼうとしたが、すぐに闇に飲み込まれてしまった。