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輝鑑 後世編纂版  作者: 担尾清司
第三部第一話:決起(設置用略題)

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第悟悟(85)章:平安京炎上(中)

「殿、本気で命ずるのですな?」

「おれが今まで本気で無い事があったか?」

「……確認のため聞いただけで御座います。皆、これより我等は京洛を奪う! 京洛だけで繁栄していた栄華を奪い取り、抵抗するなら焼き尽くせ!」

 ……要するに、京洛近辺に限定するとは言え、垣屋続成初めての掠奪戦争であった。以後、垣屋続成は「敵対的地域」や「敵対的勢力」に限ってとは言え、度々この手の「掠奪命令」を行った。裏を返せば、本「掠奪命令」以外での掠奪を禁じたのだが、逆にそれが兵にとっては許可さえ得られれば掠奪を公的に認可されることとなったので、奮起したという。

 そして、京洛は地獄に落ちた。


「しかし、殿。本当に宜しかったので御座いますか」

「恐らく、皇族の方々は最早京より脱出しているだろう、《《細川政元が日本人であるならば》》皇族を連れて此方を声高に非難しつつ、圧迫を図るはずだ。場合によっては錦旗を使うかもしれんが、そんなことに怯むなとは言い聞かせておけ。いざとなったらおれが一芝居打っても構わん」

「……まさか、殿」

「ああ、細川政元が皇族を連れて京洛を落ち延びるのは想定済みだ。だからこそ、京洛のありとあらゆるものを奪う。価値あるものをあらかた奪い去った後は、炎によって《《浄化》》する。

 皇族を拉致し、公方を擁立した細川方はありとあらゆる手段でこちらの正統性を揺さぶってくるだろうが、それに屈しなければこちらの勝ちよ」

「……なんと」

「案ずるな、但し皇族の男子だけは殺さずに奪い返せ。それを天皇として擁立できるなら、「あとはなにをやってもかまわん」。

 兼ねての手筈通り、全てを奪い尽くせ!」

「……ははっ」

 垣屋続成の考えた青写真は以上の通りだが、つまるところ、彼はなんと細川政元が皇族や公方家などを連れて京洛を脱出することを前提とした策を立て、京洛の、つまりは葛野郡や愛宕郡を初めとした各地を、《《端から皆殺す気》》で挑んだのだ。だが、それは別に純軍事的なものだけではなかった。彼が京洛を焼き払う理由とは……。

「それに、こういう土地は一度更地にせねば、因習の続く場所など百害あって一利なし、だからな」

「……殿?」

「気にするな、独白だ」

「……ははっ」

 ……垣屋続成は、間違いなく近代の魁であった。否、そんなちゃちなものではなく、正しく星の統一者であった。さすがにそれは美称に過ぎよう、という声もあるかも知れないが、垣屋続成が天下統一を果たし、世界進出を開始したからこそ、この遊星は大日本帝国の統治下にあるのだ、それでも彼が皇統を重視したのは、日本人の限界だったのかもしれないが、それは措こう。

 何せ、垣屋家は今でも「天下筆頭者」の地位を世襲しているのだから。


 山城国一揆の類いは、この非常時に於いて一応は機能した。否、それは機能したという意味に於いては、これ以上無い程理想的であった。何せ、今まさに京洛は焼かれんとしているのだ、団結力は理想的な程に固まった。

 だが、こと垣屋軍相手に団結したのは間違いであった。何せ、彼等は近代兵器を組織し、公家をも殺すことにためらいのない人間で構成されていた。つまるところ、たとえ公家がのさばろうと、国一揆が迎撃しようと、それは蟷螂の斧以外の何物でも無く、迎撃した端からある者は銃弾によって斃れ、ある者は空襲によって焼け、ある者は投げた印字ごと砕かれた。

 それはまさに、地獄絵図であり、また同時に呵責無く攻撃を繰り返す垣屋軍の精鋭を以てしても後代、弾薬神経症になるほどであったという。たとえ、銃砲で武装して防弾着を着こなす装備を持ったとしても、彼達も人間である、眼前の光景を忘れることは、難しかった。だが、退役を志願した者は意外なことに、治療を受け復帰したという。

 ……ここに、細川政元共の運命は極まった。

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