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輝鑑 後世編纂版  作者: 担尾清司
第二部第三話:垣屋続成、但馬へ帰還し初めての論功行賞を行うのこと

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第悟貮(82)章:上洛作戦(仮題) 00

 続成の論功行賞は、画期的なものであった。いや、非常識といった方が正しいか。後に政豊や宗続が聞いた際に政豊は呵々大笑し、宗続は憤怒し、政忠に至っては卒倒したと言われるその方法とは、まあ言ってしまえば金銭の代わりに勲功を評された数値を使い、「御恩」の対象である土地や権益を競り落とす行為であったのだが、その儀において続成は非常に手際よく処理し、そして落札の叶わなかった者にも補填や繰越処置を行うことによって満足させることに成功していった。つまり、それは……。

「よし、備前福岡の座独占権を手に入れたぞ!」

「此方は吉井川の運行・治水権だ!」

「ちっ、張る札を間違えたか、三石近辺の林業権はあまり旨くない……」

「備前長船の製鉄権か……。考えようによっては面白い権益やもしれぬ」

「して、殿。功札の余った者はいかがなさいましょうや」

「換金か次回論功行賞への数値繰越かの権利を選ばせる。換金は数値につき一律の比率に相当する金か銀を予定しているが、数値繰越は今のところ期限は決めていない。確り考えて選ぶがよかろ」

「ははっ」

 ……権益を地域別、項目別に分けたものの、功札という擬似通貨による入札制である。戦場で得た功績をポイント制の点数に換算して点数分の功札を配り、より高い札を上げたものの権益とする制度だ。

 後に語るに曰く、「談合とかが心配だけど、公正感を与え、なおかつ商業的勘働きを培うにはこれが一番、なんだろうとは思う。尤も、戦場での功札換算が最も難しい役所(やくどころ)だからそれは潔癖にするしかないが」とのことであり、後に、「日本軍は功績で競りをしている」という噂の出所はこのあたりにあったようだ。

「うへえ」

「殿、お疲れ様でございました」

「自分で発案したこととはいえ、これやるのは割としんどいな」

「しかし、皆が満足した以上、今後も続けるべきかと」

「わぁってるよ、だから必死こいて考えて開催したんじゃない」

「それはそうと、次の議題でございます」

「ぁによ?」

 そして、垣屋続成に降りかかってきた次の課題はといえば……。

「……と、いう次第にて」

「……案の定か」

「いかが、なさいましょうや」

 ……前にも書いたとおり、足利義政は垣屋続成が嫌いであり、足利義視もまた、垣屋続成を疎んじていた。当然、伯父と確執があったとはいえ、父も伯父も嫌っている人物を義材が好こうはずもなく。それが意味する所とは、つまり……。

「……軍事動員かけっぞ」

「殿、まさかとは存じ上げますが……」

「何、ちょっと大規模に御所巻きをするだけのことよ」

 ……京洛は室町より、垣屋続成に討伐令の是非が議題に上ったと続成が聞き及んだ際に続成が起こした行動は、弁明ではなく開き直りとも言える軍事動員であった。

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