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輝鑑 後世編纂版  作者: 担尾清司
第二部第二話:垣屋続成、丹後への援兵作戦で八面六臂の活躍をするのこと

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第參華(61)章:丹後錯乱 03

  ……なんだ、これ。

「殿、地図を借りて参りました」

「さすがは一色様でございますな、かなり精巧でございます」

「……これでか?」

  眼前の地図、はっきりいってすげぇダメだ。何せ海岸線があるならまだ良い方で、せいぜい村の位置関係があるかどうかだ。と、いうか、なんだ。……せめて地形図くらいは入手したかったなあ……。

「さて、殿。上中下、どの策を使いましょうや」

「……とりあえず、布陣を固める。策については、その後だ」

「は、畏まりました。して、どんな陣に致しましょうか」

「そうだな……」

  少し考えて、手勢の少なさを生かせそうな陣にすることは確定だが、問題は……。

「……うん、決めた。まず、川を挟もう」

「川を挟む陣、でございますか」

「おう。まずはだな……」

  まず、川を背にした横陣を組み、その多くは槍兵とする。まあ、槍兵つっても槍を持った足軽というよりは、その槍で即席の鉄砲柵を作るだけであり、攻撃力はあまり期待していない。で、これがだいたい二、三百人程度。彼達の役割はあくまでも手持ちの槍を斜めに支えて防御するだけだから、特にやることはない。

  で、残りの七、八百人のうち五百人は鉄砲隊。とはいえ、火縄銃なんて時代遅れの骨董品ではなく、歯輪銃とかっていう、火縄の代わりに歯車で着火させる銃。しかも一応は、元込め式だ。まあもっとも、先込め式の方が開発が楽ではあったのだが、元込め銃の方がはるかに発射速度とかが速いしな。

  最後の二、三百人は、一応騎兵部隊。とはいえ、西国の騎兵はそこまで馬格が整ってないし、そもそも馬ではなく舟の方が扱い慣れている連中が多い。これはまあ、瀬戸内海があるし、そもそも東国と違って馬という動物に乗り慣れていないのがデカイ。とはいえ、象とかが無い以上、騎兵部隊が一番強そうではある。……まあ、俺は騎兵部隊がそこまで強くないのを知ってるけどね。示威行為って大事よ。

  つまりは、だいたい陣形としてはこんな感じになる。


  騎  銃 川 槍


  ちなみに、俺が居る場所は騎兵部隊ではなく銃撃部隊だ。なぜか? ……別に、槍で防御したり騎兵で吶喊したりするのは、極論を言えば今まで通りの戦さであるが、銃撃はそもそもが一向一揆相手に行った程度であり、慣れていない者が多い。つまりは、俺が本陣を銃撃部隊に置いたのは、銃の使い方を目の前で見せる必要があるからだ。……とはいえ、俺も銃なんて撃ったことはないんだけど、まあなんとかなるでしょ。

「殿、陣形整いましてございます」

「おう、したら迎撃が開始するまで、その場で待機!」



「殿、敵陣は川を挟んで布陣しておる由に御座います」

「ほう、してどんな陣形だ」

「は、足軽部隊を先頭に三百人、川を挟みよくわからない鉄の棒を持っている者が五百人、そしてやや離れた後方に騎馬隊が二百人といったところでしょうか」

「ふむ……?」

    川を背にする陣形は背水の陣と有名ではあるが、川を挟んだ陣か。……それでは、少数の人数をみすみす分割するようなもの。……相手の大将は阿呆なのか?

「殿、そろそろ隊列が整いましてございます。号令を」

「おう。……総員、矢の援護の下一斉に駆け抜けよ!」


 騎  銃 川 槍      ←武田軍九千六百

 

 以下ないしは以左の陣形図は、一文字百人としてお届けする。


           ←武

          ←武

         ←武

槍       ←武

槍       ←武 魚鱗陣で縦陣、後ろにいっぱい武田軍

槍       ←武

         ←武

          ←武

           ←武


「殿、武田軍吶喊して参りました!」

「おう、よく見えておる。……槍部隊と騎兵部隊はその場で待機、銃撃の支援が絶えるまで踏みとどまれ!」

 ……「丹後若狭逆撃戦」が始まった……。

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