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恋を知らない女子高生は女教師に恋をした  作者: 星月小夜歌
1-5. 初めてのデートはクリスマスイブイブ
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29. 初めてのデートはクリスマスイブイブ え、私が先生をコーディネート?

 地下街の気になるお店を覗きながらデパートに向かい、そこでも気になるお店を2人で巡っていく。

 藤枝先生が服を買いたいそうなので一緒にお買い物をする。

「このところ原油価格が高騰してて、その影響で学校での暖房費も上がってるの。

 それで学校での暖房の設定温度がまた下げられて。

 この前は暖房の設定温度を勝手に上げたクラスがあって怒られてたわね。

 貴女達も寒いでしょうけれど、寒いのは私達も一緒よ。

 職員室もそんなに暖かくないわ。だから着こまないと寒いのよね……。」

「私も寒いです。特に足元……。つま先……。」

「つま先は冷えるわよね……。タイツの中にさらに靴下履かないと冷たくてつらいわ。」

 学校寒い寒いトークをしながらお買い物。

 藤枝先生のおすすめは無銘一番の綿100パーセントあったかインナー、そして5本指フットカバーをタイツの下に履く、だそうで、私もグレー色のインナーと黒の5本指フットカバーを先生と一緒に買った(流石にこれは自分でお金出した。いくらなんでも申し訳ないから)。ちなみに、白のシャツの下に着て透けにくいのはグレーとベージュらしい。

 無銘一番を出てあれこれ服屋さんを巡っていく。

 藤枝先生のお気に入りだというブランド「Forest Cat」のお店にも入る。

「ねえ琴葉。お仕事で着る服を1セット増やしたいんだけど、ジャケットとスカートを貴女が選んでくれるかしら。」

「それって、私が選んだ服を学校に着てくるってことですか。」

「ええ。やってみたかったの。貴女なら素敵なのを選んでくれると思って。」

 つまり好きな服を先生に着せられるチャンス……いや学校で着るから真面目に選びますとも!

「はい。これは責任重大ですね。心して、選びます。」

「そんなに肩ひじ張らなくていいのよ?」

「いいえ先生からお願いされたんですから私は責任持って先生に似合う服を見つけます!」

「真面目なんだから……。そういうところも好きなのよね。真っ直ぐで一生懸命で。」

「褒め過ぎです!」

「ちょっとは力抜けたかしら? 私の琴葉。」

 今、“私の”って言いましたよね藤枝先生。どこまで私をドキドキさせるつもりですか!

 パフェの時も独占欲がどうとか言ってたし、結構そういうとこあるのかな……?

「力抜けたというか、ドキドキして気が分散したというか……。服、選びはじめますね。まずはジャケットから。」

 藤枝先生、いつも灰色か紺色か黒か、そういう色のジャケットに、それに合うようなスカートって服装だよね。

 その辺は選択肢から外して、せっかくだから今まで見たことない色のを選んでみよう。

 うーん……あ、この冬の森みたいな深い緑のジャケットいいかも! その下のスカートは……裾に白で綺麗な模様(アラベスク模様っていうんだっけこういうの)が刺繍されて黒いレースがついた濃い紺色のウールのやつ可愛いな。紺色のスカートはよく着てるのを1着知ってるけど、上から水色で下の紺に向けてグラデーションになってるやつで、今私が選んだやつとは同じ紺でもイメージが違う。

 頭の中で藤枝先生にジャケットとスカートを着せてみる。うん、絶対似合う!

 ところで藤枝先生の服のサイズ……私がおおよそこれだとSっぽくて、藤枝先生は私より少し背が高いからMかな……? とりあえず試着してもらうか。

「藤枝先生! 出来ましたよ! 試着室行きましょう!」

 選んだジャケットとスカートを右手に持って、左手で藤枝先生の右手を引いて試着室へ向かう。藤枝先生に服を渡して、試着室の前で待つ。少しのち。試着室のカーテンが開く。

「どう……?」

 私の選んだ服を纏った藤枝先生がカーテンから現れる。

 か、可愛い! 私の選んだ服だから半分くらい自画自賛だけど、目の前の藤枝先生は上品で綺麗で素敵。そしてサイズの目測も合ってたみたい。ほっ。

「すごく、似合ってます。可愛いです。」

「そりゃあ、貴女が選んでくれたんですもの。貴女なら私に合うのを選んでくれると信じてたわ。」

「今、先生は深緑のカーディガン着てますけど、学校で深緑色を着てるのってそういえば見たことないなって思って。このスカートは刺繍とレースが可愛くて藤枝先生に似合うだろうな……って。」

「選んでくれてありがとう。これ一式買うのと、ほかにもちょっとここでお買い物するわね。貴女もついてきて。」

「はい。」

 藤枝先生が向かったのはアクセサリー売場だった。

「うーん……。」

 品物を見定めているみたい。

「これね。」

 藤枝先生が手に取ったのは、紺と緑のタータンチェック柄に金のリボンでアクセントが入ったシュシュだった。そのシュシュを藤枝先生は私の髪に合わせる。先生の手が私の首筋を撫でながら私の髪を掬いあげる。私は首筋にぞわぞわするような不思議な感覚を覚え、髪を触られてどきどきする。

「似合うわ。これ、私からのクリスマスプレゼント。この間のブックカバーのお礼。会計したら渡すわね。これだったら学校でもつけられるでしょう。」

「え、先生からのプレゼントですか!! 嬉しいです! ありがとうございます! 先生からのプレゼントなら、毎日だって着けます!」

「流石に夏にはちょっと暑そうかなそのデザイン……。冬向きだもの。まあ、またその頃になったらまたデートで服選んでちょうだい? 今、貴女に選んでもらった服も夏には着られないし。その時にまた夏用のをプレゼントするわ。」

「じゃあつけられる間は毎日つけてきますね。」

「まあ。じゃあお会計してくるわね。」

「私も行きます。」

 藤枝先生とレジに向かい、お会計についていく。

「あ、そのシュシュだけ別で包装してください。」

 シュシュだけ別の小さな袋に入れられて、藤枝先生が買ったものの入った紙袋を受け取って、「Forest Cat」でのお買い物が終わった。

 お店を出て。

「はい。さっきのクリスマスプレゼント。」

「あの……。早速、着けていいですか?」

「あら。うふふ。嬉しいわ。タグを切るハサミなら、はい。」

「さっと出てきた……! お借りします。ありがとうございます。」

 藤枝先生は鞄から携帯用ハサミを出してくれた。使わないときはコンパクトに刃がしまえて小ぶりのペンケースにもしまえる優れモノで、これも無銘一番で買ったらしい。すごいな、無銘一番。

 藤枝先生からハサミを借りてタグを切って、元々髪に着けていたシュシュを腕に着けて、藤枝先生からプレゼントされたシュシュを髪に着ける。

「藤枝先生からの、初めてのプレゼントで嬉しくて……! 早くつけたかったんです!」

 はちきれそうに嬉しくて、後頭部についているシュシュが藤枝先生によく見えるように少し顔を横に向ける。

「良く似合ってるわ。良かった! 琴葉、まるで子犬のように嬉しそうにしてくれるから、可愛くて甘やかしたくなっちゃう。」

 藤枝先生が私の頭を撫でながらシュシュに触れる。

「子犬……。」

「そのくらい愛情表現が可愛くて、まるで貴女の後ろでブンブン揺れるシッポが見えるみたいだもの。褒めてるのよ?」

 子犬、子犬。それなら、とことん子犬みたいに甘えちゃいます。

 覚悟しててください! ここだと人目があるのでやりませんけど!

「? 琴葉? なんだか妙に張り切ってない?」

「うふふふふふふふ……。あ、そろそろクリスマスマーケット行きません?」

「そうね。そろそろ暗くなり始める頃かしら。降りていきましょうか。」

 人がいっぱいの都会でデートだけど、人目を避けて2人っきりになったら、子犬のように貴女に甘えちゃいますから。

 秘かな甘い企みが、私の中で始まった。

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