プロローグ
『スキル』。それはこの世界に存在する特殊能力である。スキルは通常、16歳で覚醒しその者の能力に適したスキルが与えられる。そして現在、存在するスキルの殆どが過去出現したスキルの劣化版だ。それはなぜか?答えは単純。代を重ねるごとに段々と血が薄くなり適正能力も一緒に低下するからだ。
だが、極稀に過去にない強大な能力スキルが出現することがある。そのようなスキルは『虚無の精霊』と呼ばれる。なぜ精霊とつくかというと、スキルはもともとなんの能力も持たない精霊が人の魂に取り憑き定着して、取り憑かれた者の能力に合わせて成長するからだ。
『虚無の精霊』を持つ者は、人類に降りかかった災いを幾度となく救い『聖騎士』として人々の希望となっていた。暴走した魔物の大災害、魔族との一か月間ぶっ続けでの戦争そして、すべての魔物、魔族を使役する魔王との戦い、これらすべての戦いにおいて『虚無の精霊』を持つものは活躍し勝利してきた。だが、『虚無の精霊』を持つ者の中でも通常のスキルより強い力を持っているからといって、悪事をはたらく者がいる。そのような者は『闇の反逆者』という裏切り者扱いのレッテルを貼られ、すぐに『聖騎士』が処刑の任務に当たる。このように『虚無の精霊』を持って生まれてきた者たちの責任は重大なのである。
そしてこの物語はわずか十歳で『聖騎士』に選ばれた少年ルーグス・プライヤの物語である。