破壊神様訂正を求める
我は瞬時に左手にオーラを収束。拡散して飛ばした。
ヒューンと小さなゴルフボール大の黒い光は四方に散って行く。
そして着弾と同時に、周囲を巻き込んで弾けた。
次々に立ち上る闇色の柱。
蹂躙される魔物たち。
そこに情けも容赦もなく、確実に我が名を体現できたと我は自負していた。
「ふむ、こいつはいい。破壊神ボンバーと名付けよう」
新必殺技によって一瞬で目の前の魔物は消え去り、我はキーサンとミントを振り返る。
「おかしいとは思っていたのだ……。妙にモンスターが出たら前に出てくるし。そこのキーサン……我の印象、簡単に言ってみるがいい」
「……破壊神を自称する……ちょっと痛い不思議な力を持った子供です」
「ち、ちょっと痛いとか言ったか? まぁいいか……そっちのミントは?」
「えっと……その……創造神から見出された……子供です。破壊神とか言っちゃう辺りはかなりやばいと思いましたが、将来的には勇者も夢ではないかと」
「そ、そんなにやばいか? 我としては大人も子供もお姉さんも名乗ってくれて構わんのだが? ……違うな。完全に間違っている」
我は深々とため息を吐く。
見た目で判断するなとは言わないが、今までさんざん力を見せたのは何だったのかと物申したい。
まぁ子どもにしか見えないだろうけど、我は断じて子どもではないのだから。
「なめるな人間。我は破壊神ポポロ! 終末と破壊を司る神だ!」
「「は、はい」」
それにここで死に急がれては予定が狂う。
へにゃへにゃとその場に尻もちをつくキーサンとミントの出番は、まだここではないのだから。
大切な矯正も終わって、さてと我は魔物どもを見る。
大層な数ではあったが、まだ少ないとも言える現状は面白くなかった。
我は泥の量から見てもっと津波のような攻勢を予想していた。
ポポロスが先行していたとはいえ、キーサンとミントの二人がかりでも捌けるレベルで収まるとは思えない。
実際まだ泥の状態のゆがみは沢山あったが、それは波が引くように一気に凝縮していった。
「ぶひぃ!」
ポポロスが吼える。
その声はいつになく悲壮感にあふれていて、これから起こる現象を教えてくれているようだった。
我は目を見張る。
「ふむ……これはすごい」
雑魚の魔物をほどほどに生み出した泥の塊は、大きな球体へと姿を変え、砕けたのだ。
「――――――!!!!」
殻を割り、そうして生まれ落ちたものは、世界を呪うように絶叫する。
聴く者の魂を引っ搔き回すような産声と共に邪龍は誕生した。
見上げるほどの巨体に、黒光りする真っ黒な鱗と羽。
見開かれた赤い瞳は、真っすぐこちらを向いている。




