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破壊神様察する

「フゴ!」


 破壊神すら恐れさせた、やたら痛いタックルが生まれたての魔物を襲う。


 ポポロスの突進で魔物の群れは面白いように吹き飛んで、強制的に二つに割れてゆく。


「すごいなポポロス! お前こそが地上最強だ!」


「おおおお……こんなに強いのがただの猪なのか」


「違うでしょ? ただの猪じゃないですよ。あれはもっと別の何かです」


「それは……我もちょっとそう思う。あのタックルは痛すぎるのだ」


「え? あれを喰らったんですか?」


 うん。喰らった。あれは消滅するかと思った。


 いやそんなことを考えている場合じゃなかった。


 魔物の勢いをポポロスがくじいてくれたのなら、チャンスである。


「よし! ここは一気に……」


「破壊神様はここで見ててくれ!」


「やり遂げて見せます!」


「おおう……」


 ここは一つポポロスに続いて破壊神パワーをさく裂させようと思っていたわけだが、キーサンとミントが割り込む様に前に出た。


 我は出鼻をくじかれておっとっとと立ち止まってしまった。


 どうやら勢いを取り戻したのは我だけではないらしい。


 ニッとやけに爽やかに笑うキーサンは剣を構えて言う。


「破壊神様といた数日間……楽しかったぜ。それに……感謝してる。俺を認めてくれたこと……だから死なないでくれ」


 そしてミントに至っては涙ぐみながらも、微笑みを浮かべて我を見た。


「私も楽しかったです……。お料理おいしいって言ってくれてうれしかった。でも、無茶はここまでですよ。ここからは大人の仕事です」


「お、おう」


 なんかカッコイイことを言って、飛び出す二人。


 キーサンが先行して、ポポロスが倒し損ねた魔物を次々その大剣で斬り伏せてゆく。


「さぁ掛かってこい! そのために俺はここに来たんだ! 全部まとめて相手になってやるよ!」


「いまこそ! 教会の使命を果たします! 人々を! ……命を守る! 守って見せます!」


 ミントの杖が激しく光り輝き、聖なる光が矢のように飛び出して次々とモンスターを穿つ。


 その姿はさながら救世主や聖者と言った感じだった。


「……」


 完全に蚊帳の外になった我はじっと戦う二人とポポロスを見ていた。


 いや、出そびれてしまったというのもあるが、何かおかしいと我は気づきかけたのだ。


 ほとんど捨て身のような必死さで、キーサンとミントは我の前で戦い続けている。


「うおおおお! 負けるか! ここから一歩も先には通さねぇ!」


「そうです! 私達が守るんですから!」


「……」


 我は、ずいぶんの手のひらを見る。


 ちっちゃい手である。


 そして納得した。


「ああ、そう言うことか! ……なるほどなるほど」


 魔物達は順調に倒されているが、しかし数が減るどころか増えているようにも見える。


 じりじりと押されて近づいてきたキーサンとミントの背中を我はちょうどいいのでトンと叩いた。


「破壊神様!?」


「ダメです! ここはもう! 逃げてください」


「わかったぞお前たち……我を破壊神様なんて呼んではいるが―――実はぜんぜん信じちゃいなかったな?」


 我は眼前に迫る魔物たちをざっと眺めた。


 こう、そりゃあまぁ仕方がないとは思うが、どうにも納得がいかない。


 仕方がないのでこの苛立ちは、丁度いい相手に受け止めてもらうつもりで、我は魔物達の頭を一瞬でもぎ取った。


「「へ?」」


 もぎ取った頭を消滅させるが、破壊神ならこの程度であるはずもない。


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