破壊神様轢かれる
神々の皆様方。地上の生き物の必死な姿を見て楽しいでしょうか?
この島は割と最悪です。
「ぬおおお!」
「――――――フゴ!!!」
鼻息に押され、我は逃げる。だがそれを追うようにそいつ。巨大猪も走り出した。
「なぜ追って来る! ええいくそ! どうなっているのだ!」
我はただ反射的に足を全力で動かした。
木々をかいくぐりジグザグ走行。小柄な体を駆使して小回り頼みで走り回る。
対して猪はこちらを弄ぶようにただ突進である。
パワーと耐久力に自信があるのか、行く手を遮る木々をメキメキ粉砕する音だけがすぐ後ろで聞こえていた。
しかし所詮は猪か。そのでかい図体と、パワーアピールでロスはあらゆる面で大きい。
逃げ回る事数分。視界から外れることに成功した我は木陰から同じところをぐるぐる回っている猪を見て勝利を確信していた。
「ふはははは! まぬけである! このまま逃げおおせてくれるわ!」
木陰からほくそ笑み、悠々と暗闇に向かって逃げようとしたら、我はバキッと小枝を踏み折ってしまった。
なんていい音!
夜の森に小枝の弾ける音は、よく響く。
「ぶひぃ……」
「……おぅ」
追跡者の足音は、ズンと妙に腹に響く。
目が合って、軽めに挨拶してみたが、再び逃げ出す間もなく我は猛烈な衝撃は我を上空高く打ち上げた。
「あーーーーーー」
天地が何度逆転したかわからない。
「グフッ!」
気が付くと我はざっくりと頭から砂浜に刺さっていた。