破壊神様たずねる
コホンと我は咳払いした。
あれだけスキルを見せつけられれば自ずと答えはわかるとしても、本人が秘密にしておきたかった話を自分からしてくれたことは一つ大きな前進である。
「そうか、では大工のキーサン。君の仕事は素晴らしかった」
「いや、まぁ大工は辞めたんだ……嫌になって実家を飛び出した」
「それで教会の船に飛び乗ったんですか? なんでまた?」
密航された方のミントが尋ねるとキーサンはガシガシと頭を掻いた。
「噂を聞いたんだよ。教会が騎士団を連れてとんでもない化け物を討伐しに行くって……俺は大工を辞めた後、冒険者をやってたんだけどな、力も体力にも自信があったからそれなりやれてたんだ。だが実績がなくって、何とかチャンスが欲しくって……その、密航したんだよ」
「それはなんていうか……最初からあんまり印象変わんないです」
「……そう言わないでくれ」
「いやいや、今回の遠征は本当に危険な旅だったんですよ。私も生きて帰れるとは思っていなかったくらいです。ちょっと一言物申したいですね」
しかしミントは思うところがあるのか情け容赦なく、バッサリだ。
ミントはお腹いっぱいになって元気になったこともあって力強く立ち上がり、胸の前に祈る様に手を組んで語りだした。
「この旅は神の意志を代行するための計画なのです。そんな思春期の家出少年みたいな勢いだけで首を突っ込まれては困ります! これは……いうなれば神の試練なのですから!」
「いやでも、逃げ出してるじゃん教会」
「それは……そうですけど。それもやみに已まれぬ事情があったに違いありません! 」
「……いや! 俺だって命かけるつもりで来てるんだからな!? 神の試練だか何だか知らないが要するにすげぇ魔物を倒しに行くってだけだろう! 俺は自分の可能性を試したいんだ!」
何かめんどくさそうな主張をしながら、ピリピリし始めた二人。
我はなんだかなぁと思ったが、そこで我は一つ大きな疑問があった事を思い出して声のトーンが上がってきた二人を制止した。
「ちょっと待て、なんだかよくわからない。そもそもだ……お前達は、えーっと何しにこの島に来たんだ?」
いい機会だからと尋ねてみると、キーサンとミントから、え? 今更?って感じの視線を貰ってしまった。
そんな目をするんじゃない。こっちも結構いろんなことで頭がいっぱいだったのだから。




