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破壊神様テクニカルになる

 我はキーサンのこねくり回した赤い土の板を前に精神を集中する。


 そして力を開放した瞬間、黒い炎が燃え上がり、粘土板の水分という水分を破壊して、焼き固めた。


 炎を消しそのうちの一枚を手に取った我は、叩くとカンと甲高い音のするそれに満足して頷いた。


「また一つ新たな必殺技を編み出してしまったな。すべてを燃やし破壊する炎……破壊神ファイアーと名付けよう」


 炎ごときに破壊できて我に出来ないはずはない。


 面目躍如の一作である。


 我は出来上がったそれを綺麗に積み重ねて、悦に入った。


「素晴らしい。何でこう少しずつ作った完成品を並べると、妙に満足感が得られるのか」


「まだ完成しちゃいませんがね?」


 そう言って、やってきたキーサンに我はなんだか慌ててしまった。


「わ、わかっているとも。それで? これは何に使う?」


「屋根だよ。しかし、焼くのも魔法でなんて、破壊神様も大概だなぁ」


 やはりそうか遂に屋根か。雨風しのげてこそ家というものだと我思う。


「厳密にいえば魔法ではない、神の奇跡といったところだ。まぁなんやかんややってみれば出来るようになるものだな。しかしすごいのはお前もだ。なんかノミとか言うのを作ってからこっつんこっつんやっていただろう?」


「ホゾ穴あけたりとかのことか?」


「たぶんそれだ。なんであんなにぴったり合う? 何か……お前にも能力が?」


「いや、キッチリ計れば後は……勘?」


「……う、うむ。勘か。我もそう言うとこあるからわからないでもないが」


 漠然としているが、ある程度熟練した技術というやつははたから見ると何で出来るのか不思議に感じるのが常だということなのかもしれない。


「いや、破壊神様にそう言うこと言われてもなぁ」


「なんだ?」


「そうだなぁ……じゃあこの木、材木にしてくれません?」


「いいぞ! なれたものだ!」


 我は原木に集中して、書いてあるラインを頭の中でなぞる。


 そして指先にオーラを集中すると、オーラがぬるりと形を変えて、原木に触れた。


 完璧にラインをトレースして、消失する木の皮と余分なパーツ。


 つるりと綺麗になったら、最後にオーラをいい感じに四角く変化して、スコンと穴を開ければ完成である。


「どうだ! 早くなっただろう!」


「……ハハハ。いや、そういうとこなんですがね」


 納得とは程遠い表情のキーサンだったが、そこはお互い様だった。


 しかし素所不明の者同士、そろそろ勘ぐっても仕方がないことは心得ている。


「じゃあ、壁と床もお願いしますよ。流石に板材は難しいんで」


「ふふん任せておくがいい。頼られるのは悪くない気分だ」


 単純作業は訓練にもなる。特に真っすぐ壊すのは実に爽快だった。


 うっかりミスして何本かダメにしたのはウォーミングアップということにしておいた。


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