破壊神様嘘つきを見つける
トンカントンカン
リズミカルに響き渡る金槌の音が心地よい。
そう、金槌だ。
間違いなく大工道具であるこの道具は我製作である。
そして我はのこぎりを作る、カンナを作る、定規を作るー--我作りすぎでは? 破壊神なのに。
いや、我が言い出したことであるから不満があるわけではない。
必要な工程であることもわかる。
だがしかし、ふと時間が出来た時、我破壊神じゃね?という疑問がふと浮かび上がるだけでなのだ。
材料の鉄は船の荷物にわりとあった訳だが、材料さえあれば形を崩すことなど造作もないとは流石に思わなかった。
「なんというか。好き勝手壊せるっていうんでしたら。ある意味何でも作れるのでは? ほら、製鉄だって木工だってある意味石や木を壊して型にはめてる感じあるじゃないですか……なんて」
そんなミントの一言が、プチ産業革の命起爆剤となった。
炎に出来て我に破壊出来ない通りがない。
そして形を整えるということは、無駄な部分を破壊することと同義。目からウロコである。
「うーむ……。破壊と創造は紙一重とはよく言ったものだ。我、創造神でもやっていけるのではないか?」
うん。思っていた3段くらい上手くいっている実感が我、ある。
しかしそうであったとしても、ここまでフル活用されると言いたいことがあった。
「それにしたって……道具多すぎじゃないか?」
「……仕方ないんですよ。キーサンさんは、破壊神様みたいにお手本作ったりできませんし」
「まぁ目の前で作って説明されると納得してしまうのだがな。我もビックリするし」
木材一つ取っても、キーサンは水分だけ破壊しろだの、四角く破壊しろだの色々と注文が多い。
道具もノミや木槌を作ったとたん、コンコンと目の前で見本を作って見せるキーサンの手際は相当によかった。
我も言われた通りにすると、家作りが進んでいるのが分かる。
だから、それを踏まえた上で我は思ったことを口にする。
「奴は職人だ。間違いないなミントよ?」
「はい。奴は職人ですね。間違いありません」
剣を脇に置いてうおおおお!っと大工仕事に励むキーサンは、水を得た魚だった。
「あっ、あの穴ってそういう事だったのか。あんなにぴったりはまる様に加工とかできるもんなんだな」
「いやー感心しますね。私達がやった時は、まとも組み上げる事すらできなかったのに」
言われた通りの加工さえ終わったら、すごい勢いとパワーのキーサンによって、木組みが家になって行く。
ミントの作っている海鮮スープと焼き立てパンの出来上がりを横目でワクワクしながら眺めて、我は続いて板の加工に挑戦中だった。




