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破壊神様途方に暮れる

 我は頑張った。


 とりあえず木材で家の形を決めるという方針はわかりやすい。


 最初から完璧を求めるのではない。答えがないなら最終的に理想に近づけていけばよいのだ。


 だが我は甘かったようだ。


「うーん」


「何というか……瓦礫ですね」


「ガレキはひどくないか?」


 言っては見たものの叫ぶ元気もない。


 だがそんな我らの瓦礫を見て、キーサンが唖然とした表情を浮かべていた。


「いや……もうすこし地面を平らにした方が……良くないか?」


「地面を平らに? もう平らではないか? 何かあるか?」


「……」


 そしてまた我は頑張った。


 こう、何が悪いのかわからなかったが二人の助けも借りて、全体的に四角くはなった気がする。


 ごろりとその辺に転がる丸太を前に、我はうまくいかずに指でぐりぐりいじっくった。


「……出来ないのだが!」


 進歩はかろうじてあったと言えなくもない。だが、ただそれだけだ。


 これは家ではないと、我の心が叫んでいた。


「……大きな薪?」


 ミントの漏らした一言が我の小さな胸を深くえぐる。


「燃やすのか!? せっかく拾ってきたのだぞ! もっといい感じに組めるはずだろう!? 我が見た家はもっとこう……がっちり組まれてたぞ! ロープとか必要じゃなかった!」


「いえ、これしか固定の方法が思いつかないので、こんな重くて硬いもの、適当にパズルみたいに扱うの無理ですよ……」


 へとへとのミントと共に、我もこれは何か根本的に間違っているんじゃないかという気になって来た。


「やっぱり、もうちょっと小さく作るとかしなくちゃダメなんじゃ……」


「ポポロスが入れなかったらダメだろう!」


「そ、そうですね……」


 そりゃそうだろう。ベストフレンドが入れないとかありえない。


「破壊神たるもの、妥協は敵だと思うのだが……思うのだがー! これはそもそも実現不可能なのではないだろうか?」


 あっちを支えているとこっちが立たない。明らかに腕が足りない。


 落っこちて来て頭を打った回数は数えたくなかった。


 だがそこでどうにも不機嫌そうにこちらに向けられる視線に気が付いた。


 なんとなくそちらを向くと、基本的に黙っていたキーサンが、でっかい薪を見てブルブル震えていいた。


「どうしたのだキーサン? 食あたりでもしたか? アニサキスバハッたか?」


 そうたずねるとキーサンはガシガシと自分の頭を掻いて叫んだ。


「あーもう! 見ていられない! 俺が! やるよ! やらせてください!」


「……なに?? お前何も知ら無いんじゃなかったのか?」


「あんたらより知ってることがよく分かった!」


「あーうん」


 否定できない。


 やってくれるというのなら、我、お手並みは拝見する所存である。


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