破壊神様遭遇する
南国特有の激しすぎる日差しと抜けるような青空を睨みつけ、我は砂を蹴り上げる。
「どうやって無人島でちやほやされるんじゃい! ものもーす! 物申すぞピピンのやつ!」
我の創造神への文句が止まらない。
しかし応える者もなく、我は仕方なく島の本格的な調査に乗り出していた。
がさがさと植物の生い茂る中を進みながら、我は何度目かになるため息を吐く。
虫とか多くてやな感じだがマッパじゃないだけでも、助かったと言っていいのかどうなのか。
全身黒づくめの衣装は、破壊神をイメージしてのものなら張ったおすのも一興かもしれない。
上下一体のオーバーオールは身の守りという意味では優秀だが、恐ろしく暑苦しかった。
「……いや、まぁ新鮮ではあるか、神だから汗かかないしな」
神だから、汗の香りもフルーティである。たぶん。
しかしどうにもこの身体は視点が低くて歩きにくい。
その上藪をかき分けるのが恐ろしく大変だとくれば、さっそくギブアップも秒読みだった。
「海岸は干物になりそうなほど明るかったのに、森に入ったとたんめちゃくちゃ薄暗い……」
木々が生い茂り、空気もどこか湿っている。
だがそれ以上に不快なのは、自然と感じる肌の上を走るピリピリである。
「……なんだ、このやな感じは」
刺すような気配に、我はつい足を止める。
そこで初めて、ガサゴソと動く自分以外の物音に気が付いた。
「んん?」
まさか人がと期待を込めて我が顔を上げるとそいつはそこに立っていた。
茂みを割って現れた巨大な何かに見下ろされ、我は硬直する。
「……えぇ」
「フゴッ」
視線がぎょろりと動き、吹きかけられた生暖かい鼻息は、すさまじい獣の匂いがした。