破壊神は計画する
「はぁああああ――……」
お腹いっぱい食べた我はかつてない安らぎに包まれていた。
寝そべったままお腹を抱えてぺろりと唇に残った塩の余韻を楽しんだ我は、ガバリと勢いよく跳ね起きて、体を伸ばした。
「ふぅ……堪能した。よし! 決めたぞ!」
「決めたって何を?」
キーサンが不思議そうな顔をしていたがそんなものは決まっている。
我はミントをびしりと指さして重大な決定を伝えた。
「今後もお前を我が料理人に任命しよう!」
「えぇ!? いや私は……」
「まぁどうせ船は戻ってこないし、しばらく顔を突き合わせることになるだろうがな!」
「……そうですよね」
シュンとうなだれるミントだが逃げ出した人間達の装備を一掃されたあの様子では、再びやってくるのは難しかろう。
自分のやったこととはいえ、容赦なく塵にしてしまったものだった。
いなくなってしまった人間は心配しても仕方がないが、そんなことより我々はもっと気にしなければなら無いことがある。
我は決して多いとも言えない人数を見回した。
「そして現状この無人島で生き残るためには協力せねばならんと我は悟った。我は人間の事を知らなさ過ぎたようだ」
それは料理一つとっても明らかである。
ミントの料理を食べた体の反応から見ても、何か致命的に足りない知識が山ほどあるのは間違いない。
「我は人間の知恵に大きく期待している」
ここは人間の力を借り、より効率的に生き残る方法を模索するべきだろう。
我の提案に、キーサンは納得した様子だった。
「まぁ……そうだよな。俺達だけで何かできるわけでもない。まずは生き残ることが先決だよな」
「そうとも! じゃあさっそく……我らにはやるべきことがある」
「何でしょう?」
「何をするんだ?」
素直に我に集まる視線にニコリと満面の笑みを浮かべた我は、実は前々からやってみたかった計画を披露した。
「うむ! 家を作ろうと思う!」
「「家?」」
家、それは人間の住居だと我は知っている。
目指すは誰もがうらやむ素敵なお家だった。




