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破壊神様人間を見つける

 人間達よ、今我はあなた達の心に話しかけています。


 悪気はなかったのです。ただただ悲しい事故だったのです。だから戻ってきてくれないかね?


 そう水平線の向こうに念じてみたが、拡散された念は受け手不在だった。


 とても恐ろしい事件である。些細な手違いが連鎖的に悲劇をもたらした。


 一つ噛み合っていれば、今ごろ我は現れた人間達と共に火でも囲んで、楽しく食料を頬張っていたことだろう。


「……ちょっといい? なんでこんなことに?」


「……まぁちょっとした行き違いかなぁ」


「ちょっとした?」


「そうだが?」


 創造神がこの惨状を見て何か言いたげだが、我に言えることは少なかった。


 まぁ色々やらかしてしまったが、失敗をいつまでも悔やんでいても仕方がない。


 我がこの後どうしたものかと頭を悩ませていると、岩の陰にそれを発見した。


「んん? おお! 人間ではないか!」


 そこには、なぜか人間が寝ていてぴくぴくしていた。


 女のようだが怪我もなく運が良い。


 ちなみに岩陰にいたおかげかマッパは回避したようだった。


「ひぃ! ブタが! でっかいブタが迫ってきます!」


 そして突然気を失っていた人間は、がばちょと跳ね起きると開口一番叫んだ。


「……豚じゃなくてイノシシだが?」


 我が一応答える。


 そしてポポロスが人間のそばに寄って言ってベロンとその顔を舐めた。


「うー--ん」


 よだれまみれになってもう一回倒れた人間を見て我は感心した。


「おお、こんな寝方もあるのだな。何でこんなところで寝ていたのかと思ったがこういうことか」


 謎が一つ解けたが、また話が聞けなくなってしまった。


 初人間をよく観察しておきたいところだが、そろそろ我のすきっ腹が限界である。


「うーん、どうすべきか」


 人間の調査を優先すべきなのは間違いないが、ここでもう一度目を覚ますまでボーッと待っているのはいかがなものか?


 そこで我はそう言えば、まだ人間達が運び込んでいた荷物が海岸にあったことを思い出した。


 そしてその中にはきっと未知の食べ物もあるはずだった。


「……じゅるり。うーん、ここは荷物の調査を優先すべきではなかろうか?」


 きっと、お腹がいっぱいになればこの後何かするやる気もちょっと沸いてくるはずである。


「……よし! 探すか!」


 我はとりあえずズルズルと寝た人間を引きずって、人間達の荷物にダッシュした。


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