破壊神様食事をする
「~~~♪」
ご機嫌な我は煌々と燃える炎に目が釘付けだった。
まぁ予定とは違ったが、何より目の前の成果は嬉しいものであるらしい。
「手順は違うがとりあえず火だ! これそうだよな!」
「えええええ……目からなんか出るとか。破壊神意外と便利ね」
「便利とか言うな。我が努力のたまものだ」
「今までできなかったの?」
「そもそも火が必要なかったからな。この光を破壊神ビームと名付けよう!」
「名前がダサいわ……」
創造神が余計なことを言うが、そんなの我の勝手である。
「わかりやすいのが一番だ。それにかっこ悪くもないはずだ」
「そ、そうなの?」
「まぁそんなことはどうでもよいではないか! さっそく魚を焼くとしよう!」
待ちに待った魚焼きタイムに気が急く。
すでに限界は超えているのか、お腹の当たりがグーグーと音を立てて止まらない。
ここから先はノンストップだ。
我は用意していた木切れについた火を燃え移らせて焚火を作った。
そして取った魚に枝を適当にぶっ差して焼きに入った。
火に突っ込んだだけで、魚はぱちぱちと音を立てて色が変化し、香りが立つ。
その見た目と匂いで、我の口の中には唾液が溢れ、落ち着きが失われていった。
「これでいいのだよな? もういいのか? もういいのだろう?」
「うーん……よし!」
バクリと一口。ちょっとゴリゴリして固いが、ちゃんと口に入れた食事は、相当の幸福感を我に与えた。
「おおおお! これが食事か! いいではないか! 褒めて遣わす!」
「骨は残しなさいよ? 普通魚は身を食べるのよ」
「おお! そうだったか! では三匹目からはそうしよう!」
「……三匹目?」
創造神の呟きは華麗にスルーしたのだが……その数時間後。
「……我、おなかが痛いのだが」
異世界生活最大のピンチはその日、恐ろしく静かに訪れた。




