破壊神様好奇心を知る
「知らないってばだから。知るわけないでしょう? 人間の火のつけ方なんて」
「そこ一番肝心なところではないか?」
真顔で当たり前のように言ってくる創造神だが、現状の不毛さに我は愕然としていた。
何もできない奴と何もできない奴が合わさって、虚無が生まれようとしている。
これは由々しき事態である。
「破壊神よ……考えるのです。創意工夫こそが私の最も好むところです」
神ムーブまでしてごまかしに来る辺り本気っぽいのが嫌である。
しかしここまで無力なのは笑えないし、現実問題としてお腹が空いていた。
「だとしても、少々今は緊急を要する。頭が働かなくなってきた。……どうすれば?」
「……詰んだわね。頭から生魚をいってみて、死んだらまた会いましょう」
「見切りが早くないか! もうちょっとなんかないのか!」
神なんだから、もうちょっと頑張って絞れば何か出てくるはずだろう。
絶対めんどくさくなってるだけだとあえてしつこく食い下がってみると、創造神も少しだけ気を取り直したようだった。
「そんなこと言われてもねぇ。わかったわ……じゃあちょっと待ってなさいな! この私がちょろっと聞いてくるわ!」
そう言い残して創造神は消えた。
聞いてくるんかーいっと我は心の中でささやかに思ったが、このさいとても助かるのでぐっと堪えた。
「うーむ、聞いてくるのはアリなのだな。それがアリなら期待できそうだが」
創造神の奮闘に期待したいが出来る限り急いでほしい。
我はぐるぐる眩暈がしてきたので、その場に座り込み肩を落とした。
「さて、これからどうするか」
ひとまず創造神の帰還を待つしかないわけだが、誰も話し相手がいないとなると、それはそれで退屈だった。
我の手には狩りの成果が握られていて、我は暇つぶしに魚達をじっと見つめる。
「……じゅるり」
こう……見ているとお腹の奥にずんと訴えかけてくるものがある。
その誘惑は食欲が大部分ではあるが、別に好奇心と呼ばれていることを我はまだ知らなかった。
「おおっといかんいかん……さて行ってしまったなー。どうするかなー火―火かー おなかが空いたな……」
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