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第四十七話 寝たら解決しました! しませんでした!

壮絶な三日間だった。


だけど、充実した三日間だった。


後は……、まあ、七光の奴らにうまくやってもらおう。


「大将、やったな」


グリがそう言って俺の横で座り込み、そして、寝転がる。

他の黒蝙蝠の隊員たちも駆け寄ってきてる。


「ああ、お前らもご苦労さん」


すると、感極まったエンとラスティが俺に飛びついてくる。

俺は二人を抱きとめると、出来るだけ優しく頭を撫でてやった。

二人は気持ち良さそうな顔をしている。ただ、ちょっと痛いくらいなので寝れねえ。

俺はそんな二人の頬をむにっと掴み、


「おい、離れろ。強すぎる」

「いやーん♪ 隊長たらいけずなんだから~♪」


ラスティはわざとらしく身体をクネクネさせながら言った。


「ネズ様ぁ……」


エンは目をうるませながら上目遣いで俺を見つめてくる。

俺はため息をつくと、

「わかった、わかった。じゃあ、加減しろよ。ほれ」


俺は手を広げて、エンを迎え入れるポーズをとる。

すると、エンは嬉しそうに俺の胸に抱きついてきた。

俺はエンの背中をポンポンと叩きながら、グリの方を見る。

グリはニヤリと笑うと、どこかに視線を動かす。

それを追うと、


「イリア、プリン、グラ、それに、リタに……クレア」


俺は肉食獣のような目をし俺を取り囲む彼女たちの名前を呼ぶ。


「たいちょぉおおお~、私たちもよろしいですかぁあ?」

「どうやら、ネズ様は、わたくしたち以外にもいっぱいお相手がいるようで…」


イリアとプリンはそう言いながらジトッとした視線を向けてきている。

俺は、ハァと溜息をつき、エンとラスティの頬に唇を押し付けるとちょっと手荒に投げて、そして、両手を広げる。

すると全員同時に飛びかかってきた。パーツごとに抱きしめられ、寝にくい。

だけど、俺はそれを受け止め、抱きしめ合う。

まあ、とりあえず無事でよかったよ。

俺は彼女達とのスキンシップを楽しみながら、 ふと、空を見上げると、大きな月が浮かんでいた。

俺たちの戦いが終わったことを祝福してくれているかのように……そして。


「良い夜だ。こんな夜は、思い切り寝るに限るな」


そんな事を言うと、女たちが目をギラつかせて頷いている。

違う、そうじゃない。


そういえば、王都の方は大丈夫なんだろうか。

他は、帝国軍やら七光やらでなんとかなってたみたいだが……。

俺は、キョンケのやってた映像魔法を使う。


「隊長、いつの間に……?」

「あー、なんか使えるようになってた」


見て寝たら使えるようになっていた。


「もうバケモンだな、大将は……」

「流石隊長です!」


呆れるグリと、褒め称えるグラ。

そんな二人を他所に、俺は王都の様子を映し出す。

すると、 王城を中心に、大きな騒ぎが起こっているようだった。


「なんだ……? 何が怒ってる?」


俺達は映像を拡大してみる。

すると、 そこには、大勢の兵士達の姿があった。

その中心には、マシロがいた。

魔物の死体の山の上で、何か叫んでいるようだ。


『今回の事件の原因は、王家が七光キョンケを追い詰めた事や国の腐敗を招いた事にあると私は考えている! よって、我々は国王陛下に対し反旗を翻す!』


マシロの声は拡声魔法で増幅されているのか、遠くまでよく聞こえていた。

それを聞いた国民たちは動揺している様子だったが、 次第に怒りの感情が高まっていくのを感じた。

その矛先は、マシロの元に連れて来られたユーダケデス王子とクチダケデス王、そして、王族に向いているようだった。


マシロは続けて叫ぶ。


『この国は腐っている! このままでは国が滅んでしまうぞ!! 今こそ立ち上がれ!!』


国民の心は完全に一つになっていた。


『『『『『うおおおぉぉ!!!』』』』


こうして、クーデターが始まった。


「まずいことになったね~」


俺はスロウのその言葉に首を傾げる。


「なんでだよ? まあ、あの直情バカは不安だが、メジマソクとドエムスがいればなんとかなるだろ?」

「う~ん、それはそうなんだけど、僕の予想通りなら、このあとマシロは……」


『そして、次にこの国を統べる者として身を粉にして王国の為に戦ってくれた黒蝙蝠ネズ隊長を推薦する!』

『『『『『うおおぉぉぉぉぉ!!!』』』』』


マシロはそう宣言した。


「はあ!? 何言っちゃってんのアイツ!」


『国王たちを捕らえ吐かさせた際に明きらかになった事実だが、ネズには、高貴なるノア・ダイージの血が……』


なんかめんどくさそうな事をマシロが言っている。

いやだいやだ! もう面倒なのはごめんだ! 俺はそんな重荷まで背負うつもりはねえんだよ!


「お、おい! お前ら行くぞ! いや、俺はもう行くぞ! ついてきたいやつだけついてこい!」


冗談じゃない! 王なんかにされたらまた寝る時間がなくなるじゃねえか!

それに俺が国を治めるなんて、絶対にろくなことにならない。

俺は、みんなの返事も聞かずに駆け出した。


「おい! 隊長! どこに行くんだよ!」

「ああん!? 決まってるだろ!? いい夢見れそうな所なら俺はどこでもいい! とにかく、ゆっくり寝れて、起きたらがんばろうって思える場所だ!」


そう言って駆けだした俺をみんなが追いかけてくる。

ああー! はたらいたはたらいた! 気持ちよく寝れそうだなあ!


「俺は寝る! 寝るんだ俺は! 絶対に思い切り寝るぞ!」


大事なことなので三回言いながら、俺は安眠の地を求め、走り出した。



ひとまず完結となります。


前の部署で、本当に寝る時間もほとんどなくてそれでも心の安定のために寝れない怒りをエネルギーに書いていた作品なので、寝不足故の粗も目立つなあと……汗

いつか、熟睡バージョンとしてもっと丁寧に黒蝙蝠の面々との過去話とかも描ければと思います。


お付き合いくださった読者の皆様、ありがとうございました。


睡眠大事です。皆さんがゆっくり眠れることを祈っております。

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