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第四十三話 寝たら仲間が帰ってきました

「行くぞ! お前ら!」


黒蝙蝠の隊員全員との久しぶりの一緒の戦闘に嫌が応にも気持ちは昂る。

俺達は魔物の大軍へと突っ込んでいく。

魔物共も俺達が動き出したことに気がつき、雄たけびを上げ、一斉に襲ってくる。


先頭を走るのは俺だ。

まず、最初に狙うのは……。

魔物の大群の先頭で、一際大きな体格をした魔物。

そいつに向かって駆け出し、跳躍する。

そして、空中で体を捻り、拳に魔力を纏わせる。

そのまま、大振りに殴りつける。


ゴバァン!! 巨大な音と共に、殴った場所を中心に衝撃波が広がる。

その衝撃で周りの木々が薙ぎ倒され、地面が揺れる。

一撃で魔物の軍は混乱に包まれる。


スロウの付与がかかった状態で初めて放つ全力の一撃に自分自身でも驚いた。

そして、同時に、寝た女たちの影がちらつく。


それを振り払うように頭を振って、着地した瞬間、足に魔力を込め、地を蹴る。

たったそれだけで、遠く離れていた魔物との距離を詰める。

一瞬で魔物の軍のど真ん中に躍り出た。

突然現れた俺に、魔物達は反応できず、ただ、呆然と俺を見つめている。

俺はニヤリと笑い、剣を抜いて我武者羅に振りぬき、魔法を放ち続ける。

中心部で起きる混乱に魔物達の意識は完全に散らされているようだ。



「グリ!」

「おおよお! 大将!」


グリが青紫の髪をなびかせながら凶悪な笑いを浮かべ駆け抜けていく。

グリの体からは魔力が溢れ、グリが通った道の草木は全て枯れ果てていた。

グリは、目に付く魔物を片っ端から殺していき、あっという間に魔物の群れを減らしていく。

グリの進行方向に数体の魔物が立ちふさがる巨大な魔物を視界に捉えると、


「おい! 闘士共! てめえらの武器を寄越せぇえ! こっちに向けて投げて来い!」


グリの言葉を理解し、近くにいた闘技場の闘士達が剣や槍を投げてくる。

それらをグリは、掴み取り、力任せに魔物に投げつける。

投げた剣が魔物の身体を貫き、槍が突き刺さっていく。

グリは笑っていた。

魔物を殺し続け、その返り血を浴びながら、嬉しそうに笑う。

更に、地面に刺さった武器を抜いては魔物に向かっていく。

どんな武器もグリは使いこなし、圧倒的な力で敵を屠っていった。

その姿はまさに戦場の死神そのものだろう。


とはいえ、グリの攻撃で全てを殺せるわけではない。

異形の化け物どもも倒れずに残りの黒蝙蝠の隊員たちへ向かってくる。


「さあ、来い! 化け物共、お前たちの相手は私だ!」


騎士らしい凛々しい姿で魔物を睨みつけるライカが立ちはだかる。

ライカは腰から細身の剣を抜き、構える。

剣は魔力を帯び、刀身が伸び、剣先が鋭利になり、刃渡り三メートルほどの巨大な魔法剣へと姿を変える。

突っ込んでくる魔物の群れを、横薙ぎに払う。

斬られた魔物が上半身と下半身に分かれ、二つに分かれて倒れる。

次に縦に振り下ろして魔物の軍勢を真っ二つにする。

魔物達が次々と切り裂かれ、断末魔を上げながら絶命していく。

それでもなお次々と襲いかかってくる魔物達に、ライカは眉一つ動かさず冷静に対応する。

迫り来る魔物達の攻撃を軽々と受け、魔物の首を撥ねる。

胴体だけになった魔物を踏み台にして高く跳躍し、上から魔物を叩き切る。

淡々とそれを繰り返していたライカに対し、今度は集団で魔物共が襲い掛かる。

ライカは巨大化した魔法剣の刃を盾のようにし、前へと進む。

それだけで魔物達はぐいぐいと後ろに押され、魔法剣から放たれた雷撃によって徐々に絶命していく。

俺は敵の中心部から戦況を見て、思わず口元が緩んでしまう。

俺の自慢の部下達は強い。

本当に頼りになる。


「ライカ! よくやりました! 次はエンのフォローを!」

「プリン~、グラの防御付与は終わったよ。ちょっとラスティの所数が多いかも~」

「であれば、私が援護をします! スロウさんは、前衛組の回復を!」


プリンとスロウが前線で戦っているライカの後ろで魔法陣を展開する。

魔法陣からは氷柱が現れ、魔物の足を凍らせ機動力を奪っていく。

スロウの指先から紫色の魔力の靄が生まれ、ライカ達を包み、魔法に対する抵抗を上げる。

動きを予測しそれに合わせて、的確にサポートしているようだ。

二人とも、いつも以上に力が溢れているのが分かる。


いつも個人行動が多いエンも今日は全体が見えている。

先程見せた魔力付与されたゴーストたちが縦横無尽に暴れ回っている。

寝た効果というべきなんだろうか、エンの元々持っていなかった属性魔法や連携力のアップは。

エンの周りを飛び回るゴースト達の数も種類も増えているように見える。

ふよふよと浮かんでいるものからスケルトンやゾンビまでいる。

そして、その数と連携力は、今までに見たことがないほど強力になっていた。


「ふふ……悪霊たちの祝祭ゴーストフェスティバル


エンがそう呟くと、大量のゴースト達が異形の魔物達に向かっていく。

ゴースト達は、魔物の肉体を通り抜け、魂だけを吸い取るように攻撃していった。

ゴーストの攻撃を受けた魔物は全身の穴から血を流し、苦しそうな表情を浮かべ、悶え苦しみながら倒れていく。

そして、その魔物達にそのまま入り込んだゴースト達は魔物の身体を操り暴れはじめる。

どんどん膨れ上がっていく死者の行進は止まることなく進み続ける。

混沌とした空間を見つめながらエンは嗤っていた。


「さあさあ! かかってらっしゃいな!」


そう大声で叫んだのは、ラスティだった。

異形の化け物に対しても臆さず、むしろ挑発するように叫ぶ。

両手を広げて、楽しそうに笑みを見せるラスティの周囲には無数の魔物が集まっていた。

ラスティは、魔物の大群の中心で踊っていた。

魔物の攻撃を避けつつ、優雅に舞うラスティの姿はまさに妖精のようであった。

だが、その姿とは裏腹にラスティの周囲に集まる魔物の数は増えていく。

そして、どんどんと倒れていった。

ラスティの周りに浮かぶ蝶に魅せられて。

あの蝶達には、恐らく麻痺や睡眠、毒といった効果があるのだろう。

ラスティに近づく魔物達は、近づけば近づくほどに鱗粉を吸い、弱っていく。

やがて、動けなくなった魔物達はラスティの細剣によって切り裂かれていく。

それは正に死の舞踏会。

ラスティが踊る度に、美しい花びらが舞い散るように命の花が咲いていく。

ラスティは美しく笑いながら、踊り続けた。

お代は命。ラスティが踊り終えた後には魔物どもの死体の山が生まれていた。


近づいてくる魔物どもは一掃されたが、息つく暇なく魔物達の魔法やブレスが襲う。だが、それらはいとも簡単に『喰われて』しまう。

グラの魔法によって。


「げふぅ、ごちそうさまでした」


グラはそう言うと、食べた魔力を元に巨大な魔法陣を作りだす。

魔法陣が完成すると、そこから七色の槍が無数に現れ、魔物達に向かって飛んで行く。

七つの魔法の槍は、まるで意思を持っているかのように動き回り、次々と魔物を貫き倒していく。

貫かれた魔物達は、虹色に染まった光に包まれ消えていく。

そして、残った虹色の光はグラの元へ集まり、再び魔法の槍となって飛んでいく。

喰うものがなくなるまで。

何度も何度も放たれ、喰って、生まれ、放たれ、喰って、生まれ、放たれた。


黒蝙蝠の蹂躙。


残ったのは、たった一人。キョンケだけだった。



お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。

よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。


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