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第四十二話 寝たら起きた時の事も考え始めました

「悪夢だと……?」


うっとりと異形の悪魔を眺めながら呟くキョンケを俺達は見つめる。


「そう、悪夢です。人が寝ている時に見る夢はその人の願望や不安を映し出す。こいつらは、そんな人間の心に取り付き、夢の中へと入り込む。そして、夢を喰らい、成長し、また新たな人間へ取り付くのです。ふふ、素晴らしいでしょう」

「ちっとも素晴らしくねえよ。お前、自分のやってる事わかってんのか?」

「もちろんです。王国の人間を餌として僕は強くなるんです。誰よりも、誰よりも。それに、僕は夢の中で皆さんの願望を叶えてあげたりもしたんですよ。欲望に忠実な夢を。それによって現実でも同じように振舞ったのは、彼らが腐っているからですよ」


キョンケの瞳には狂気の色が見える。

完全に狂っている。

どうしようもないくらいの歪みを感じる。


そして、キョンケは笑いながら異形の化け物を生み出し続ける。

その数はどんどん増えていき、俺達に襲い掛かり始める。


「ど、どういうことですぅ?」


大魔法を展開させながら、グラが呆然と呟く。


「要は、だ。アイツは、なんかの力で、王国の人間の夢の中に入り込む力を手に入れた。そんで、クソ真面目な奴らには悪夢を見て眠れないようにして、アホどもには誘惑の多い夢見せて現実をごちゃまぜにさせて、どっちもとにかく寝れなくさせておかしくさせたってことだろ!」


回復を終えたグリが異形の魔物を潰しながら叫ぶ。


「はっはっは! その通り! 大正解だ! 僕の中で黒蝙蝠が一番怖かったから、徹底的に追い詰めたつもりだったんだけど……まさか、最後の最後まで抵抗されるとは。苦肉の策で追放までしたのに。部下を助けるだけじゃなくて、わざわざ国まで助けようなんて酔狂ですね」


キョンケは愉快そうに笑う。

それが、無性に腹がたった。

俺は、全力の一撃で周りの化け物どもを吹き飛ばし、キョンケを睨む。


「冷静になりゃ分かる事だったんだよ。だけど、気付けなかった」

「気付かないままでよかったのに」

「勿論、見過ごす事も出来た」

「そうすればよかったんですよ」

「でも、この国には俺の大切な人間が多すぎた」

「でも、嫌いな人間だっていっぱいいるでしょう」

「救えるのは俺だけだと思ったんだ」

「可能性があるのは貴方でしょうね。だから、早くいなくなってほしかった」

「俺は救うぜ。俺に救えるものがあるなら」

「出来ませんよ」

「いや、やる」

「やらせませんよ」

「俺はやる」

「そうですか」

「絶対に俺はやるんだ」

「何故三回言うんです?」

「大事なことだからよ。……ここで、俺がやらずに、この国滅んじまったら……」


あの奴隷のガキども、ドワーフ三姉妹、キン達……今まで出会ってよくしてくれた奴ら、俺が出て行ってもアイツらは此処で生きていく。

それを見捨てていったらよ。


王国を出て、ゆっくり安眠できる日を迎えても。


「寝覚めが悪くなるだろうがぁああ!」


大量の異形の魔物達と俺は向かい合う。


「その通り!」


声が聞こえた。もう随分と久しぶりな気がする。

いや、本当はそんなことなくて、一日二日程度なんだが。


「来たか、お前ら」

「ええ、おまたせしました~」


ライカの凛々しい声とは真逆ののんびりしたスロウの声に笑ってしまう。

ああ、そうだ。いつもこうだった。


その二人と一緒にやってきたプリンが仰々しく俺に礼をし、

その後でニッコリと微笑む。

そして、彼女は口を開く。


「ネズ隊長。大変お待たせいたしました。黒蝙蝠、全員揃いました」


全員、揃った。

なら、もう。


「負ける気しねえな。スロウ!」

「はい~」

「先を予想しながら全員の補助及び敵の牽制任せた」

「はいはい~」


【怠惰】のスロウがのんびりした口調で、だけど、頭はフル回転させているのだろう。

目を見開きながら魔物の大群を見ている。


「プリン!」

「はい」

「戦闘中の指揮はお前に任せる! スロウと協力しながら俺達を使いこなせ!」

「仰せのままに」


【傲慢】のプリンが恭しく礼をし、魔物共の方を向いてを馬鹿にしたように鼻を鳴らす。


「ライカ!」

「は!」

「後衛を狙う奴らを切り払え! お前の騎士の魂見せてくれ!」

「承りました! 黒蝙蝠に刃を向ける愚かなる魔物共に我らの剣を!」


【憤怒】のライカが剣を掲げる。


「エン!」

「はい……!」

「遠慮はいらねえ。どんどん弱らせてくれ」

「はい、ネズ様の敵はワタシの敵、全部全部近づけさせないから」


【嫉妬】のエンは大量のゴーストを呼び出しながら妖しく笑う。


「ラスティ!」

「はいはーい♪」

「魔物の軍を攪乱させてくれ、魔物相手でもお前なら出来るだろ」

「勿論。隊長見ててね、アタシの舞を」


【色欲】のラスティが色とりどりの魔力を漂わせながらふわりと跳び上がる。


「グリ! グラ!」

「おう!」「はいぃいい」

「遠慮はいらねえ。昔みたいに好きに暴れろ!」

「おお!」「はい!」


【強欲】のグリ、【暴食】のグラ、ずっと昔から一緒だった二人にはこれで十分だろ。


「黒蝙蝠ぃいいいいい! 思い切り暴れろ! これが終わったら間違いなく、ゆっくり寝れるぞ!」

「「「「「「了解!」」」」」」

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