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第三十九話 寝たら寝れなかった理由が分かってきました

『ドエムスが王国に対し反乱をくわだてているかもしれません』


別れる時にスロウから言われた言葉。

まあ、これだけ腐ってる王国だ。

普通、それに疑問を持つ奴くらいいるだろ。

それがドエムスだったってことだ。

そのドエムスが俺の言葉を聞いて目を見開いている。


「ほ、本当に、ネズなの?」

「ああ、そうだよ。ネズだ。なんか寝たら元気になってな。大分見た目変わってるみたいだが」

「いや、変わってるどころか……違う。元に戻ったのよね。アンタは元に戻れた。そういうことよ」


ドエムスが、悲しそうに笑いながら小さく頷く。

そして、立ち上がると、周りの闘士たちに合図を出す。


「みんな、落ち着きなさい。今からアタシはこの男と話をするから。観客を帰らせて。工作員以外はみんな」


そう言うと闘士たちはキビキビして動きで去って行く。やっぱり……。


「アイツらはお前の部下か」

「そうよ。勿論、何割かは本物の闘士もいるし、逆にスカウトした人間もいるけどね。……改めて、久しぶりね。ネズ」

「ああ。だけど、お前もさっさと話を進めたいだろうし、俺も用事を済ませてとっとと寝たいんでな。ドエムス、お前の反乱は失敗する。お前が反乱軍の数を増やすために、闘技場狂いの振りをして闘士に部下共をどんどん紛らせて増やしてたんだろうが、それでも、失敗する。……ウチのスロウが言ってんだ。間違いないだろう」

「そうか……ふふ、なら、私の予想通りだわ」

「は?」

「失敗しても構わない。それで王国に疑問を持つ人間が現れてくれるなら」


ドエムスは笑う。

まるで、全てを見透かすように。


「死にに行くってことか」

「ま、そういうことね。部下たちは理解してくれてるわ。……アンタのこの前の姿を見て思ったのよ。この国は狂ってるって。調べたら案の定だったわ。このままだと国が滅ぶ。だから、私は死ぬ気で国を変える」


ドエムスの目には覚悟があった。

その目は濁っていない。

本気で変えるつもりなんだ。

だが、こいつは分かっていない。


「アンタは王国を出るんでしょう? なら、気が向いたら墓でも作ってよ。ドエムス、ここではない何処かに眠るとでも墓標には刻んで」


そう言って去ろうとするドエムスを、俺は止める。


「まあ、待て。話は終わってねえぞ」

「何の話があるのよ。アタシはもう行くわ。アンタはアンタで好きに生きなさいよ」

「……はぁー。あのさ、お前、勘違いしてんだよ」

「……どういう意味よ」


本当の敵は誰かってことを。

元々からおかしかった。

七光という精鋭がいたにも関わらずここまで外に苦戦することも。

黒蝙蝠の有能な奴らを迫害することも。

王国が無能すぎる。

何故か。

そう。

何故かだ。理由はあったんだ。

誰もが異常となる理由。


「まず、ちゃんと寝なきゃいけなかったんだ」


それが出来なかったから、悪夢に取り込まれたんだ。


誰もがおかしくなり始めた。

純潔のマシロが、調査を怠るほどに迂闊になっていた。

慈善のギゼインが、見返りを求め性に溺れ洗脳まで行っていた。

勤勉のメジマソクが、帝国を異常なまでに敵視し目につく悪を断罪しようとしていた。

節制のシューセンドが、金に執着し、自分だけが利を得られればと考えていた。

人徳のナルシィが、大衆からの愛に飢えていた。


全員が全員、性格の良いヤツとは言わないが、それでも腐っても七光だ。

王族だってあのバカ王子がいたとしても、これだけの国を回す人間達があんなのを自由にさせるわけがない。


それに、俺の部下に手を出して無事に済むと、思っているのがそもそも異常だ。

こいつらは、俺達黒蝙蝠がどういうヤバい奴らか分かっているはずなのに。


ギゼインの洗脳で黒蝙蝠を大遠征させ、それぞれに黒蝙蝠の隊員を欲しがらせ、そして、王国を崩壊させようとしたヤツ。


「七光の中で、誰とも敵対せずに隠れているヤツがいるなあ」

「ネズ、まさか、アンタ……あのコが黒幕だって言うの!?」


ドエムスの言葉が合図かのようにふわりと魔力の起こりを感じる。


それは闇の魔力。

その魔力は俺とドエムスを狙おうとしていた。

黒い影が俺達に向かって伸びてくる。


「隊長っ!」


それを、グラが【暴食】で喰らう。

残った影は地面に落ち、霧散する。

随分な挨拶だ。


「よお、いきなり危ないことするじゃないか。七光のうちで一番大人しいお前がよ。なあ、キョンケ」

「え? ボクですか? 何もしてませんよお。勝手に、影が攻撃したんですよお」


キョンケ=シンドゥー。

最後の七光。

【謙虚】の魔物使いが、歪な笑みでこちらを見ていた。

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