第三十三話 寝たらうまいこと見つけられました
闘技場を出たところで、俺達はグリに頼まれたグラの捜索を早速始める。
グリはああ見えても、慎重な男だ。
そんなヤツが見つけられなかったってことは普通では見つけられないような場所なんだろう。
だが、ウチには普通じゃねえ奴が色々揃っている。
「エン、頼むぞ」
「任せてください、ネズ様」
エンは闇魔法でゴーストを呼び出し、グラの捜索を始める。
ゴーストは思念を追うのが得意だ。スロウに言われ事前に用意しておいたグラの持ち物を差し出す。
グラのローブの切れ端だ。ゴーストはその周りをふよふよ暫く漂うと、ちりぢりに飛んでいく。
「見つかりそうか?」
「すぐに見つけ出してみせます」
「隊長、見つかって、アタシが必要になったら教えて。酒場で情報を集めてくる」
そう言ってラスティは酒場へと向かう。
本当に頼りになる奴らだ。俺の出来ないことをやってくれる。
そう、黒蝙蝠は、はぐれもんばかりかもしれないが、だからこそ、俺達は助け合う。
そして、噛みあった時は誰にも負ける気がしねえ。
「ネズ様……見つけました」
額に汗をかいたエンが一匹のゴーストをてのひらに乗せながら呟いた。
「どこにいる? 場所はわかるのか?」
「はい。……どうやら、地下のようですね」
「よし、行ってくる」
「ネズ様、ラスティはどうします?」
「いや、一旦俺が一人で行ってくるから、お前も待機だ。もし、夕方まで戻らなかったら、二人で決めろ。国を出るか、」
「助けに行きます」
エンが俺の言葉を遮って強い目で伝えてくる。
俺は思わず笑ってしまう。
「わかった。ありがとな。じゃあ、行ってくる」
俺は、エンが教えてくれた場所に向かって駆けだした。
そこは、何気ない普通の民家のようなところだった。
だが、エンの言葉に嘘はない。
なら、入るだけだ。
「幻よ……」
俺は、ラスティと寝た事で手に入れた幻術で、そこに侵入する。
中には男たちが三人。
俺の幻術にかかり、幻に話しかけている。
奥にいた男の、さらにその奥に扉があった。
鍵もかけられ厳重だった。が、幻術で騙されている男はいとも簡単に俺に渡してくれる。
扉を開け、念のため鍵を返しておく。
中はそこまで大きくない部屋。だが、ところどころが不自然に隠されている。
「風の流れ、足跡の途切れ、構造……ここだな」
そして、地下への階段を見つける。多分寝不足時代だったらとにかく破壊、だったろうな。
「グリの奴は、グラがいる牢屋に向かってそれが罠で捕まったってところだろうな……」
認識阻害の幻術を使ったまま、静かに地下への階段を下りる。
声が聞こえる。男の怒声だ。
「こんのおデブ! さっさと痩せて戦えるようになりなさいな!」
「ふえええ~! ごめんなさ~い!」
怒声の主は七光の一人、ドエムス。
そして、怒られているのは黒蝙蝠の一員、グラ。
相変わらず、グラはふっくらしていた。
いや、つかまる前より太ってない?
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