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第三十二話 寝たら寝てない人のひどさに気付けました

強者の街、スエム。

此処には闘技場があり、そこで日夜、戦士たちが己の技を競い合い、強さを証明していた。

街並みも武骨で頑丈そうな建物が並び、冒険者や傭兵たちが闊歩している。

石畳が敷き詰められた道は、馬車での移動は少し厳しいかもしれない。

そんな街の中央に位置する場所に、大きな建物がある。

そこがスエムの闘技場だ。


闘技場は、円形の建物であり、中央に円状の舞台が設置されている。

その周りを客席が囲み、観客たちは、ここで繰り広げられる戦いを酒を飲みながら楽しみ、賭け事をし、観戦するのだ。


俺達は、その観客に混じっていた。

到着したころには、昼も過ぎていた程度だったが既に観客の興奮は高まっていた。


「なんとも男臭いところねえ、全部ネズ隊長のだったら最高なのに」

「悔しいですが、同意です」


ラスティとエンが俺の腕に抱きついてつやつやした顔で舞台を見ていた。

周りの野郎どもの視線が痛い。

だが、この二人が俺から離れようとしないのだからどうしようもない。


「ネズ隊長、でも、本当にアイツがここにいるんですか?」

「みたいだぞ。エンが調べてくれたんだから間違いないだろ」

「ふふふ……その通りです。ワタシは有能ですから」


ラスティとエンが睨み合いを始めたが、俺は無視して舞台を見る。

そろそろ、再開されるようだ。


『さあ、お待たせしました!これより、試合を開始します!』


司会の男が声を張り上げる。

同時に、歓声が沸き上がる。


『対戦カードは、この闘技場で現在序列三位である、ドラン選手VS謎の新人、ギュリ選手の対戦です!』

「で、あれがグリっってことです?」


ラスティがそう言いながらギュリと呼ばれた男を見る。

男は仮面をつけているが体つきから見て間違いないだろう。

だが、


「ボロボロ、ですね……グリさんが」


エンが言うように、グリは傷だらけだった。そして、それ以上に気になるのは。


「エン、グリに付いてる黒い輪は……」

「十中八九、呪いのアイテムですね」


グリの両腕両足には黒い輪が嵌められており、見るやつが見ればすぐわかるほどに禍々しい魔力を放っていた。恐らく、動きを制限するものだろう。

しかし、それを気にすることなく、不敵に笑い、対戦相手であるドランという男を睨んでいた。


『それでは試合開始です!!』


司会者の合図とともに試合は開始された。


「いくぜえ!!」


ドランと呼ばれる大柄な男が斧を振りかぶる。

それに対してグリは、無防備に佇む。

次の瞬間、轟音と共に砂埃が舞う。

そして、煙が晴れたとき、そこにあったのは、地面に叩きつけられた大斧だけだった。

ギリギリで躱しグリは後ろへ回り込む。

すぐさま攻撃をしようとしたが、黒い輪から黒い雷が一瞬放たれ、グリの動きが止まる。

その隙に振り向き、再び斧を振るう。

今度は、攻撃ではなく防御に回った。


「くっ!」


受け止めた衝撃により、地面が陥没する。

その一撃だけで、かなりの威力だということがわかった。

グリの表情が険しくなる。

先程よりも速く重い連撃をなんとか捌いていく。


「ちぃッ!ちょこまかと逃げやがってぇ!!これでどうだぁ!?」


さらに速度が上がり、ついに防ぎきれずに直撃する。


「ぐぅあああっ!!」


吹き飛ばされ、ゴロゴロと転がりながらも体勢を立て直す。


「くっ……! まだ、まだまだああ!!!」


さらに追撃を仕掛ける。俺達は戦うグリを背に闘技場をあとにする。


「グリさん、言ってましたね」

「ああ」


吹っ飛ばされた瞬間、一瞬俺達に視線を送り、口を動かしていた。


―  グラを頼んだ、隊長  ―


恐らくグリは、ずっと戦い続けている。

妹を助けるために、ずっと。

だが、それも罠だったんだろう。

それでも、アイツは戦い続けていた。

眠る時間も与えられなかったんじゃないだろうか。

王城での別れ際、元気なアイツではなく、魔人と戦った頃の俺のように疲れ果てていた。

きっと。

きっと、俺達を待っていた。

助けてくれる面子をスロウなら送ってくれると、エンやラスティならその力があると、そして、俺ならなんとかしてくれるだろうと。


「……待ってろよ、グリ。すぐに助けてゆっくり寝させてやるからな」


俺達は、グリの妹、そして、黒蝙蝠の大事な一員であるグラを助けるために、闘技場をあとにした。


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