第二十話 寝たら強くなっていました
「あの、ネズ様。これからどうしますか?」
「そうだな、とりあえず、アジトの宝を頂いていこうかな」
クレアの問いかけに俺はそう言って洞窟の奥に入っていった。その後をクレアや貧民街の奴らもついてくる。
洞窟の中には金銀財宝がたくさんあった。更に、その奥には封印を施された部屋。
俺はそう言って全力の魔力を込めて扉を殴る。
ばきいという音を立てて、扉が壊れる。
こうなれば封印魔法もへったくれもない。
「っていうか、扉が弱すぎだろ。……シューセンドめ、やっぱケチだな」
破壊された扉の奥、その中にはシューセンドのものらしき財宝があった。
「スロウの予想通り、ヤツがグルだったってことだな」
シューセンドが金を出して良識ある商人に仕事を与える。
情報が筒抜けで、商人たちは盗賊に襲われる。
分け前をシューセンドが受け取り、更にシューセンドに従うモラルない商人だけが生き残る。
そうして、溜め込まれた最悪の財宝ってわけだ。
俺はそれらを全て貧民街の奴らに分け与えて行く。
「こんなものですかね」
「だな。さて、お前らはどうする?」
「そうですね、ご提案頂いた通り、最終的にはここで暮らそうかと。」
「ああ、それがいい。これからあそこは大変なことになるだろうし」
これもスロウの提案だ。洞窟の中は金を使ったのだろう。
盗賊のアジトとは思えないほど整っていたし、大勢で暮らしても、ルールさえ作れば問題なさそうだった。
俺はキン達貧民街のメンバーを見る。皆ボロボロだが、希望に満ちた目をしている。
クレアは俺の裾を引っ張ってきた。
俺はクレアを見て微笑む。
するとクレアは頬を赤く染めて俯く。
「あの、私は、ネズさんと……」
「あー、まあ、お前が望むなら止めねえが、暫くはここに居てやってくれねえか。お前の力が必要だろうから」
「はい……わかりました」
クレアは少し残念そうな顔をしたが、すぐに笑顔になってくれた。
「じゃ、また後でな」
俺はそう言って頭を撫でてやると、クレアは顔を輝かせ、
「はい!」
俺はゼニスへと戻った。
ゼニスに戻る途中、大軍を率いた魔導馬車がこちらにやってくるのが見えた。
どうやら事は進んでいるようだな。あれはメジマソクの軍だろう。
俺は、それを見ながら、ゼニスの外で待機していたスロウ達と合流する。
「待たせたな」
「いえー、僕達も隊長が出て行ったのを見計らって撤退した後は、来るまでゆっくりしてました。まあ、ミア・メアは早く帰ってこないかとそわそわしてましたけどね」
「「してないから!」」
ミアメアが仲良く揃って反論してくる。
「まあ、俺なんぞ気にかけなくていいさ」
「「よくないでしょ!」」
なんだ、こいつらめんどくせえな。
「じゃあ、一先ず、待ちか?」
「そうですね、メジマソクとシューセンドが出会ってからですかね」
「じゃあ、ちっと寝るわ」
「ええ、どうぞどうぞ。僕達は十分休めましたし、隊長は少しでも寝て頂いた方が多分いいでしょうから」
スロウの予想と俺の実戦での実験で分かり始めてきた。
アイツが、あの魔人らしき野郎がくれた力は、とんでもないものだったようだ。
だけど、今はゆっくり試している暇はない。
寝れる時に寝て、力をつけ、みんなを救い出す。
ごちゃごちゃしたことはスロウが考えてくれるし、後片付けはライカやプリンがやってくれる。
俺の今やるべきことは寝ることだ。
「なんだけど、お前ら、何やってんの?」
ミアがぱちぱちと座ってる膝を叩いてこっちを見てる。
メアが手を差し出している。
いや、普通に寝るぞ。
今度こそ、マジで。ミア・メアこっち見んな。俺は本気で寝る。
残念そうに見るな、お前ら。
「ん」「ん」
「だああああ! わかったよ!」
ミア・メアの視線に耐えられず、ミアに腕枕をしてもらい、メアに手を繋がれ、眠る。
なんだこれ、いや、まあ、気持ちいいけどさ。
お読みくださりありがとうございます。
また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。
少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。
よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。
今まで好きだった話によければ『いいね』頂けると今後の参考になりますのでよろしくお願いします!
また、作者お気に入り登録も是非!




