第十八話 寝たら自分の変化に気付きました
そして、情報交換用の金の粒が底を尽き、俺の商売は終わった。
儲けは上々といった所か。
辺りを見ると、至る所で飲めや歌えや大騒ぎが起きていた。
一番最初に会った男は、それなりに名の通った商人だったらしく、与えた金の粒で小奇麗な服を買い揃え、街への買い出しを商売にして懐を潤していた。
名をキンと言うらしい。
「旦那、本当にありがとうございました。旦那のお陰で生きる希望が出てきました」
「そうか、そりゃ何よりだ。それより、キンよお。俺の頼んだ商品は手に入ったか?」
「ええ、ばっちりです」
キンは大分頭の回転が早かったようで、スロウに言われた指示を頼むと、すぐさま動き出してくれた。
「盗賊団のアジトは、此処よりさらに西の山にあるらしいです」
「そっか。分かった。じゃあ、行ってくるわ。いい仕事してくれたぜ」
「お待ちください!」
振り返るとシスター、名をクレアというらしい、彼女が決意に満ちた目でこちらを見ていた。
「盗賊団を討伐に行くのでしょう。わ、わたし、回復魔法使えます! どうか連れて行ってください!」
クレアはそう言って、頭を下げてくる。
正直、俺は回復魔法の使い手を必要としていた。俺は別に平気だ。
だが、これからの事を考えると、絶対に手に入れておきたい戦力らしい。スロウが言ってた。
「分かった。沢山働いてもらうぜ」
「は、はい! 貴方のお役に立ちます!」
妙に潤んだ目でこちらをみてくるシスタークレアに俺は嫌な予感を感じ少し後ずさり、そして、再び貧民街の奴らに向かって叫んだ。
「お前ら! もう一稼ぎしたくねえか!?」
貧民街の奴らが沸き立つ。これだけ飯食えたんだ。もっと貰えるなら欲しいだろう。
「今から俺はこの街を脅かす盗賊団をぶっとばす! もし、その拠点を奪い取れたらそこにあるものはお前らに全部くれてやる! 回復魔法が使える美人のシスターも来てくれる! どうだ! 俺と一緒にもう一仕事しねえか!?」
多少酒が入ってるせいか、大騒ぎとなり始める。
まあ、酔っててもいい。必要なのは数だ。
恐らく、結構な数が盗賊団に煮え湯を飲まされた奴らだろう。
キンも絶対についていくと強い意志で俺を見つめてくる。
そうして、俺達は、貧民街を抜け出して、盗賊のアジトへと向かうことにした。
ただ、キンが装備を出来るだけ買ってくるから待ってほしいと頼んできたんで、俺はシスタークレアを連れて、キンが教えてくれたゼニスの外にある森の山小屋で待っていた。
元は、キンが持っていたものらしい。だが、何故シスタークレアも?
そして、なんでか身体が熱い……もしかして、キンから貰った酒のせいか?
「あの……ネズ、様」
シスターはもうシスターではなかった。シスターの服を脱ぎ捨てたただの女、クレアがそこにいた。おい。
「……何してる?」
「キンさんが、ネズ様はきっと誠実な方なので、報酬だと言えば受け取ってくれると」
おい、キン。前払いはやめろ。あと、酒に媚薬入れただろ。
お前、詐欺じゃねえか! いや、クレアの身体見たらこっちの取り分の方が多そうだと思っちゃったけど!
「身体で、支払わせていただきます。ああ、あと私にシスターの真似事をしているだけでシスターではありませんので、遠慮なく……」
クレアが俺に抱き着いて来る。そして、俺はそれに流されていく。
俺、こんな男だったっけ?
王国は一夫多妻を認めているし、優れた人間が子を残す為に多くの人間と行為をするのもここでは普通だ。だけど、俺は少なくとも、あの戦いまで商売でやっている女しかほとんど抱いたことがなかった。
なんか『寝たい』って欲求がひどいんだが、これって、あの神のせいじゃねえのか……? あの野郎……!
「ネズ様……ベッドはこちらです……」
そうして、俺は『寝たい』という欲求に抗えず、少しばかりの時間クレアと寝てしまったのだった。
数十分後。
クレアは気絶したように眠っていた。俺も少しだけ眠りについた。だが、人の気配を感じ、目覚め、服を着ると小屋を出た。
小屋を出ると、キンがにやにやしながらやってくる。
「ゆうべはお楽しみだったようで」
「まだ夜だろ」
「こちらの準備は整いましたよ」
「こっちも整ったみたいだ」
「ひえ~、お二人ともあれだけ大騒ぎしてたのに、元気ですね~」
恥ずかしそうに出てくるクレアに親指立てているキンを小突き、俺達は盗賊団のアジトへと向かった。
さあ、利子分も全部取り返してやろうか。
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