第十話 寝たら熱視線を浴びました
俺は、ライカの温もりを感じながら眠った。
朝起きると、目の前には眼鏡をかけて微笑みながらこちらを見ているプリンがいた。
そして、その奥ではリタが眠っていた。
「おはようございます。ネズ様」
「ああ、おはよう」
プリンが貴族らしい美しい所作で挨拶をしてくる。
俺はそれに返せるほどの礼儀正しさはないので、出来るだけ笑顔で返す。
そして、それを見て顔を真っ赤にし、もじもじしているプリンに尋ねる。
「仕事してたのか?」
「ええ。まあ、少し。なんてったってやる気に満ち溢れておりますので」
あれだけ『運動』した後なのに元気だな。
「そっか。それで、状況はどうなってる?」
「はい。催眠なしでギゼインと繋がって罪を犯していた者達の捕縛が完了しました。残りの者は一応、制約をかけてはいますが、全員捕縛すればスィーラもたちいかなくなるでしょうから」
「そうか。ありがとう」
「いえ、お役に立てて光栄ですわ」
俺は起き上がって服を着る。
プリンの頭に手をぽんと置くと、プリンは俺の手を掴み、潤んだ瞳で俺を見つめて、
「では、もう一回戦」
「しないから。次、行くから。しかし、大分しっかり眠っちまったみたいだな。」
「いえ、まだ早朝ですよ。……私は早起きなんですが、夜中にすっきり目覚めまして……どうやら、ネズ様のお傍にいると睡眠が深く短く眠れるような気がします」
もしかして……あの変な魔人のせいだろうか。だとすればありがてえ。
確かに、もう大分眠気がとれてきた気がする。
寝てなかった期間を考えると、ちょっと早い気もする。
いずれにせよ、力が戻っているのはありがたい。
「あと、二日で国を出ないといけねえらしいからな。ほんじゃあ、メジマソクのところに行ってくる。そこにスロウがいるらしいからな」
「お一人で行かれるのですか?」
プリンが不安そうに聞いてくる。まあ、離れるのが名残惜しいってのが大きな理由っぽいが。
俺は、頭を掻き、思い切りプリンの唇に自分の唇を押し付ける。
出来るだけ気持ちを込めて。
「ぷはっ……心配すんな。今の俺は誰にも負けねえし、帰ってくる理由がある。だから、お前らはリタについて此処の後始末を頼む」
「………かしこまりましたぁ。あの……ネズ様」
「あん?」
「落ち着いたら、また続きを……お願いいたしますね?」
プリンが熱っぽい目で俺を見つめ手を取ってくる。
「殿方と、いえ、ネズ様と『寝る』ことがこんなに素晴らしい事だったとは……今、わたくしは幸せに満ち溢れていて……でも、もっともっとネズ様と……」
「うむ! プリン、それについては私も賛成だ!」
がばりとライカが起きて大声で叫ぶ。元気だな。
「隊長と寝た事で、自信が溢れるというか、とにかくやる気が湧いてきております! 勿論、夜戦の方もやる気満々です! さあ、隊長、私とも口づけを交わしましょう!」
こんな事いう奴だっけ? 寝たせいで頭馬鹿になってない?
まあ、夜戦に持ち込まれるくらいならと俺は口づけをライカに。
さっきまで威勢良かったライカが恥ずかしさに小さくなっているのは笑ってしまう。
「そ、そのー……わたしもいれてね。仲間外れにしないで欲しい。っていうか、わたしの耳は地獄耳だからね。よろしく」
リタが起きていたのだろう。そろそろと手を挙げて主張してくる。
リタは、こっちの話を聞く前に、飛びついてついばむようなキスを浴びせて来た。
満足したのか、ぱっと離れるとシーツで顔を隠しながらこっちを見ている。
そして、三人とも熱っぽい瞳をこっちに向けてくる。
や、ヤバい……。
俺は寝たことでどんどん冴えてくる頭から汗があふれ出ているのを感じていた。
正直、寝不足で欲に忠実になってしまったところもあるのかもしれない。
勿論、一度抱いた女をぽいと捨てるつもりはない。
だが、こうなってくると、他の隊員が黙ってないだろう。
そうなると、俺はどうなる? 俺には落ち着いた頃なんて来るのか? 俺に安眠の日は……。
頭を振って、ひとまず考えることをやめる。
「ま、まあ、まずは『黒蝙蝠』全員助けることだ。じゃあ、行ってくるな」
俺はそう誤魔化して、逃げるようにメジマソクのいる東の要塞都市ブタカを目指した。
決して逃げたわけではない。少しでも安眠の時間を確保する為だ。
寝るの大事!
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