【実験作】魔族がヘボ過ぎるので魔王にクレームを入れに行ったら、なぜか青い猫型ロボ扱いになったでござる
「クッ……よくぞこの我、魔王軍四天王が一人・『右腕のガルド』を倒したものよ。まさか勇者の力がこれほどまでとはな……」
「ハイハイどうも、俺はフトシね」
「勇者フトシ、単身で魔王軍を倒したとて、魔王マサコ様こそ最強無比にして至高のお方。
貴様であっても勝てはすまい」
「……勝ち負けも、世界の命運もどうでもいいんじゃあァァァァァ!」
俺は、心底呆れて『お椀のカマド』みたいな奴の首を刎ねる。
……コイツですらコレか。
「出てこい魔王! いやマサコ!」
「ククク……よくぞ我の作りし魔獣と魔族の軍団を打ち倒した。我が配下とならぬか? 勇者フトシ」
「断る!」
「世界の半分をくれてやろうじゃないか」
「誰がいるか、そんなもん!」
「なら特別にエロいサキュバスも付けようじゃないか。男の子は大好きなのだろ?」
「そこだぞ、魔王マサコ! おまえ、日本人だろ」
「グッ……な、なぜそれを。まさか貴方も異世界召喚者なの」
「名前で分かるわ最初から! 俺は魔王マサコに文句を言いに来たんだ!」
「な、なんですか文句って!」
「魔物とか魔族、オマエが作ったんだろ」
「そうだ、余が作った」
「ヘボ過ぎる!」
「貴様が強過ぎるだけじゃあないのかしら?」
「違う! お前の地球での仕事言ってみろ!」
「げ、ゲームプランナー……だ」
「だからか。とりあえずオマエ、絵下手過ぎ」
「う!」
「魔獣もゴブリンも、動きが全部一緒!」
「はう!」
「魔獣も魔族も見た目がガビガビで、犬系と猫系の区別すらつかん!」
「ほげえ!」
「ちょっとは頑張った風な女魔族ですら、空気で膨らむお嫁さんみてーだ! どこの初代プ○ステだよって感じじゃねーか」
「う、うるさいうるさい! 素人は一生懸命作ったゲームでも、そうやってすぐにボロクソに言うのよ!」
「ほう、聞いてやる。続けろ」
「ワールドクリエイションのスキルがあっても、作るのは大変なの!
わたしは3Dモデラーでもグラフィッカーでもないんだよ!」
「バトル用のAIはどうなんだ?」
「仮組みのAIを使い回してた、そこまで手が回らなかったんですよ!」
「そうか……一人でやってたのか」
「せっかく異世界に来たんだから、他の異世界転移者や転生者にも楽しんでほしくて魔王になったのに、闇落ちしそう」
「おもてなしの心は大事だぞ!」
「うっさい! ……ああそうよ、どうせわたしの魔王軍はクソゲーなんだ。もう田舎でお見合いでもやろうかな」
「魔王、いやマサコ。なんでアセットストア使わねーの?」
「アセットストアってなに?」
「……マジかよ、ド新人か。そもそもどうやって開発スタジオに入った?」
「大学時代に小説投稿サイトに投稿した小説が書籍化されたから、それ持って行った……んです」
「なるほど、元々シナリオライターね。どのぐらい働いてたんだ?」
「は、半年ぐらい……」
「半年あるならアセットストアぐらい教えとけ! ……いやマサコを責めてるワケじゃないよ?」
「サービスイン前ギリギリだったんで、いきなり現場に放り込まれて……寝る暇もなくて……お肌もボロボロになって……」
「なにも教えられずに使い倒された、と。
アセットストアの概念も知らないヤツがやっていい仕事じゃないわな、魔王」
「なんか、ごめんなさい」
「いいよいいよ。
アセットストアってのは、モンスターのモデルデータとかアイテムやダンジョンや建物のデータとかスクリプト……まあプログラムみたいなモンを売ってるんだよ。」
「え? そんなの売ってるんですか!」
「ゴブリンやオークから大悪魔まで、なんでも売ってるぞ!」
「本当かなあ……本当だ!
ワールドクリエイションにこんな機能があるなんて!」
「いきなりデカい魔王軍とか、そんなのムリだから。
小さいヤツから頑張れ。
魔王城は、ここに有り物のがあるからいいとして。
ここには、ミノタウロスとかデビルを100種類ぐらい詰め込んどけ」
「それだと、おもてなしにならないんじゃ……」
「とりあえずストアで買ったヤツを適当に詰め込んだとバレなきゃ、それでいい」
「ひどい!」
「もう魔王軍はサービスインしてるんだ、まだ出来てないとバレるほうがマズい」
「わたしより悪者っぽい! アナタ何者なんですか」
「勇者だ」
「日本でのお仕事の方です!」
「……家庭用RPGのディレクターだよ。恋愛シミュレーションやシミュレーションRPGも作ったことがある」
「師匠! フトシ師匠と呼ばせてください!」
「あのな、俺は全属性魔法とウェポンアーツしか使えないの! ワールドクリエイションが使えるのは魔王のマサコだけ!」
「やだやだ、手伝ってくれないと死んじゃう〜」
「異世界に来たと思ったら、とんでもねえモンスター新人がアサインされたでござる」
続きを書くべきかどうか悩んでいます。
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