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始まりの物語 2

 ――――――――――

 学校が終わり、部活が終わり家に向かってる途中、靄のような人に出会った。

 どういう事と思うかもしれないが、そのまんまだ。本当に靄のような人がいたのだ。

 身体が靄で出来ているような感じで、何ともまあ驚いたことに不安定な感じでぼやけていた。人間の形はしているが今にも崩れてしまいそうなそんな感じだった。


 その靄のような人は雪かきの為なのか、鉄製の雪かき用シャベルを手に持っていた。

 そして、その靄のような人と目が合った。

 その瞬間、靄のような人は僕に向かって鉄製の雪かき用シャベルもとい凶器を振り回しながら走ってきた。


 ・・・・・・・・・・・

「は?」

 余りにも意味の分からない状況に僕はそう呟いた。

 しかし靄のような人は鉄製の十分に人を殺せるほどの威力を持ったシャベルを大きく振り被りながらこっちに走ってきている。

 当たったら確実に大怪我する。最悪死ぬ。そんな当たり前の事実が頭によぎる。


 ・・・・・・・・・・・


「怖い怖い怖い怖い怖い。なんでだよ。僕何かした?いやマジで意味が分からない」

 僕はそう叫びながら全力で走った。

 というわけで僕は今靄のような人から慌てて逃げている。というか逃げるしか選択肢はなかった。そして、暫く本気で走ったら。あの靄のような人の姿は見えなくなっていた。ようは何とか逃げ切れたのだ。僕はそれで一安心をして考える。警察に通報しようかなと。当たり前の話だが僕はいきなり襲われたのだ。何もしてない。普通に犯罪だ。さらに言えばもしも、あの凶器が僕の頭に直撃していたら死んでいた可能性だって十分にある。


 そう考えると立派な殺人未遂まで発展するのではないだろうか。


 いや。流石にそれは大袈裟かな?でも、まあ、どちらにせよ犯罪であり、僕のような一般人がどうこうできるものではない。ここは素直に安全に交番に向かおう。交番は僕のような一般市民の強い味方だ。


 僕はそう思い、最寄りの交番に向かおうとした、その時だった。


 後ろに悪寒が走った。本当に突然に急に走ったんだ。

 そして嫌な予感がしつつも振り向くとそこには、あの。靄のような人がいた。


 ・・・・・・


 怖い。とか、恐ろしいとか。そんなレベルの話ではない。


 何故だ?完璧に見失ったはずだ。

 なのに何故僕の所にたどり着いた?勘か?運か?それとも何かを仕掛けられていた?いや、それは考えにくい。取り敢えずは、まあ、逃げよう。だって逃げるしか選択肢はないのだから?

 え?戦うって?馬鹿言っちゃいけない。文化部で喧嘩の経験とかもない僕が凶器持った相手と戦えるわけがないだろ。


 というわけで僕はもう一度走った。


 走った。

 走った。

 走った。

 走った。

 走った。

 走った。

 走った。

 走った。走った。走った。走った。走った。

 それはもう全力で走った。


 そして、暫く走って一旦後ろを向いて確認する。


 誰もいない。


 今度こそ逃げ切れたかな?まあいい、早く交番に向かおう。というかヤバい疲れた。本気で疲れた。雪道でただでさえ歩きにくいのに。こんなに走るなんて。パソコン部にはきつすぎる。


 取り敢えず歩こう。何、交番までそこまで距離はない。


 大丈夫だろう。


 てくてくてくてくてくてくてく


 僕は歩いた。疲れたからいつもよりもゆっくりと歩いた。

 そして、交番の前にたどり着いた。

 僕は交番に襲われた話をしようとした時、ふと、またというか、またもやというべきか、後ろから嫌な予感がする。


 僕はそっと後ろを振り向くとそこには靄のような人がいた。

 だけど。今回は恐れなかった。何故なら。交番の目の前だからだ。

 この靄のような人がどういう目的で僕に襲いかかって来たかは不明だが、しかし、まあ、警察の前では無力であろう。

 だって警察は生身の人間では絶対に抵抗できない拳銃を持った、僕のような善良な市民の超絶強い味方なのだから。


 そして、案の定靄のような人は僕に襲いかかって来る。でも目の前には警察がいる。

 これで後は警察がどうにかしてくれると思ったら。


 何の反応もなかった。


 そう、何の反応もなかったのだ。


 僕が今こうして、雪かき用の鉄のシャベルという人を殺せる凶器を持った人に襲われそうになっているのに警察は何も反応しなかった。


 否?どちらかといえば気が付いていなかった。


「ん?どうしたのかね?君?何か落し物でもしたかい?」

 僕に向かって警察の人が暢気にもそんな事を言ってくる。


 これは確定だ。

 理由は分からないが、警察の人にはこの靄のような人が見えていない。

 いや、違う。警察の人だけではない。常識的に考えれば、雪かき用とはいえ鉄のシャベルを持った人がそれを振り回して走ってるんだ?普通の人は疑問に思うのではないか。というか、恐れて警察に通報をしてくれるだろう?まあ、海外とかだったら分からないが。ここは日本だ。素晴らしき日本だ。礼儀正しく平和愛好者であり時間を遵守する日本人の国、日本だ。

 それなのに通報がなかったのだ。その時点でおかしいのだ。有り得ないのだ。

 つまり、一体全体これはどういうことだ?僕にだけ見えてるって?何だそれは?僕は何かしらの超能力にでも目覚めたという事か?となると思い当たる節なんてあの朝の黒色の球ぐらいしかないな。

 そんな事を考えていた時だった、ふと、前を向くと。僕の眼下には鉄のシャベルがあった。


 僕は慌ててそれを右に避けた。

 がしかし、避けきれずに左腕に激突した。


 普通ならばクソほど痛い。そのはずだ。なのに痛みはなかった。むしろ左腕が熱くなり力が溢れるような感覚が来た。


 そして、僕の左腕をしっかりと捉え当たったはずの鉄のシャベルは半分ほど欠けていた。

 まるで、何かに喰われたかのように。

 いや、違う。何かにじゃない。喰ったのは僕の左腕だ。

 そう。僕のこの左腕が鉄のシャベルを喰った、いや、吸い込んだんだ。吸収した。


「はっはっは。はっはっはっ、ハハハハハハハ」

 急に笑いがこみ上げえ来た。


 何故って?だって笑えるだろう。僕は多分今人間を辞めている。

 当たり前だろう。こんな得体の知れない靄のような人が持った鉄のシャベルを左腕が吸い込んだ、いや、取り込んだんだ。


 そして、その結果僕は力が溢れている。こんなことが人間に出来るか?


 否、否、否、否、否、否、否。

 出来るわけがない。


「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」


 僕は笑った。

 何故って?僕はこういう非日常を望んでいたからだ。

 僕はこういう展開を望んでいたんだ。

 少々名前が独創的なぐらいで、基本的に他の人と変わらない人生ともこれでおさらばだ。

 さあ、楽しくなるぞ。これは。嗚呼。本当に愉快な気分だ。最高の気分だ。今日は人生で一番幸せかもしれない。


「おい、急に笑い出してどうした?大丈夫か?」

 警察の人が心配してくれる。ああ、そういえばここは交番の前だったな。


 まあ、交番か。善良な市民には必要だけど、今の人間を辞めた僕には要らないな。いやまあ、普通に事件に巻き込まれたら頼るだろうけど。うん。警察万歳・交番万歳。つか何だろう今凄くテンションが上がってるな。分からんけど。自分が自分じゃないみたいだ。まあいいや取り敢えず交番の人に謝ろう。


「すみません。何でもありません」

 僕は交番にいた警察の人にそう言った。

 そして僕に向かって欠けた鉄のシャベルを持って襲いかかって来る靄のような人の首を左腕で掴んだ。

 その瞬間、靄のような人が薄くなっていく。

 そして、それに比例するように。僕に力が溢れて来る。

 力が溢れて来る。力が溢れて来る。力が溢れて来る。初めての感覚だ。

 病みつきになりそうだ。

 例えるなら。何だろうか?


 ・・・・・・・・・・・・・


 分からない。こんな感覚初めてだからな。

 始めて自慰行為に走った時や。美味しい食べ物を食べた時。ガチャで神引きした時。テストでいい点を取った時。

 今まであった様々な感情、喜びや快楽等。

 その全てを軽く超えるような感じだ。

 ああ、ああ、ああ、あああああああ。


 そうだな、やったことはないが、ドラックに近いような物かもしれない。

 自分が何でもできるように錯覚を覚えてしまうほど万能感を得た。快楽を得た。そんな感覚だ。

 そして、その素晴らしい快楽を味わっていたら靄のような人は全て僕の左腕に吸い込まれた。


「君、本当に大丈夫なのか?何か凄いニヤけていたが」

「ああ、すみません。ちょっと思い出し笑いをしてしまい。いやもう、本当に大丈夫ですから」

 僕は警察にそう、言い訳をして走って家に帰った。

 ――――――――――


 家に帰った後僕は。自分の能力を調べた。

 まずは服を脱ぎ裸になり。鏡の前で自分の身体を見た。

 別に変態ではない。ただ、人間を辞めてしまった僕の身体に表面的な変化がないか調べたかっただけだ。

 結論から言えば変化はなかった。

 特に色が変色していたりとか。身体が大きくなったりとか、してるかなと思ったがマジで一切なかった。何も変わってない。何なら体重も朝測った時よりも少し減ったぐらいで変化はなかった。

 次に左腕の強度を探ってみた。

 結論から言えば普段と変わらなかった。


 つねったら痛いし、叩いたら痛い、机にぶつけてみても痛かった。

 何なら少し赤くなった。

 ただ、というべきなのか、まあ、実感はしにくいが、少しだけど身体能力が上がった。ような気がする。

 あくまで気がするだ。もしかしたらもっともっと、靄のような人を吸い込んだら実感出来るくらい身体能力が上がるかもしれなが、いまいちよくは分からない。


 まあ、取り敢えずはこんな所だ。

 その後は靄のような人を探しに向かうか悩んだ。

 あの靄のような人を吸い込んだ時の快楽はかなり凄かった。


 まあ、ただそれは今の所ではあるが中毒性はなさそうだ。何故なら、もう一度味わいたいとも特に思わないからだ。いや。正確に言えば味わいたいと思うがそこまでして味わいたいうというわけではないという感じだ。

 何だろう例えるなら、自慰行為に走って、賢者タイム中に頭では自慰行為が気持ちいいと分かってるがしようとは思わない感じだ。

 だから、まあ、僕が靄のような人を探す理由はこのまま靄のような人を吸い込み続けたら身体能力が実感出来るくらい上がるのではないかという可能性に基づくものだ。


 というわけで、靄のような人を探しに行くか行かないか悩み始めた。


 ・・・・・・・・


 で、悩んだ結果。探しに行くのは止めた。何故なら急に面倒になったからだ。それと時間も遅いし夜暗くなれば両親も心配すると思ったからだ。

 というわけで、僕はいつものように部屋でライトノベルを読み始めた。

 因みに読んでいるのは、現実世界の学園もの、かつ、主人公が能力者という設定のものだ。

 何故読んでいるかという、今の自分と重ね合わせたからだ。なんてことのない、ただそれだけの理由だ。

 しかし、こうやって自分と重ねながら読んでみると中々どうして、イライラする。本当にイライラする。

 何故そこで情けを掛けるとか、もっと強くなるために努力しろよとか。後そんなに女の子が群がるかよ。後好意に気がつけよ。もしくはハーレムでやり過ぎだろう。

 後妹が美少女でお兄ちゃんと仲がいいとかあるかボケのクソカスが。それに能力が想像以上強いのに。その能力を100%生かし切れていない主人公に対して心の底から腹が立つ。


 以上


 というわけで、読むのは止めた。

 普通に今期アニメをやっているライトノベルを読み漁るわ。

 というわけで、今期のラノベを読み漁った。面白かったです。うんやっぱりラノベは最高だぜ。

読んでくださりありがとうございます。よろしければブックマーク・ポイントをお願いします。作者のモチベーションが上がります。多分。

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[一言] 主人公がラノベに対して思ってることまんま自分がラノベに思っていることで笑った
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