偏愛物語
久しぶりの投稿です。
本当に申し訳ございません。
これは一人の狂った愛を持つ男の物語だ。
とある日本のとある街でとある男が生まれた。
その男の家は大金持ちで何不自由ない幼少期を過ごした。
そのとある男は超がつくほどの天才であった。幼少期から様々な事を学びいとも簡単に上達させていった。
何をやらせても出来た。何をしても成功を収めた。
勉強も運動も株式投資からピアノやゲームに華道まで、何でも出来た。何だって出来た。
そんな彼は20の時にとある女性に恋をした。
その女性は何をしても出来ない人だった。
どれだけ努力しても失敗し、どれだけ頑張ってもミスをする。幸い容姿は良かったが、その余りにも壊滅的な駄目さに、皆離れていった。
その男は何故か狂ったようにその女性に執着を見せた。
何処に惚れたのかは周りの人からしてみれば何も分からなかったが、本人は彼女以上に素晴らしい女性はいないと言い放ち猛アタックを掛けた。
そして、女性をそれを拒んだ。
理由は恐れ多かったからだ。
何でも出来るその男は会社を始め大成功を収めていた。それでいて、優しく驕らない、人格者であった。そんな彼女からしてみれば天に住まうような人間がいきなり惚れたと告白して来たのだ。
意味の分からないドッキリ、もしくは自分が狂ったとしか思えないだろう。
そして、彼女に振られた彼は更に彼女への思いを募らせて、彼女に何十、何百とアプローチを掛けた。
そしてついに観念をしたのか、それとも彼に惚れたのかは分からないが彼女はOKを出した。
そっから彼は何十億と使い、盛大な結婚式を挙げられた。
それを周りの人間は祝福しつつも不思議がった。
何故超がつくほどの天才であるはずの彼がその女性にあそこまで執着するのか分からなかったからだ。
それでも彼女といて余りに幸せそうな笑顔を浮かべている彼に対して誰も何も言えなかった。
それから1年の月日が過ぎた。
気がつけば、彼は彼女を家に閉じ込めていた。
彼曰く、彼女を自分以外の誰にも会わせたくないそうだ。
その代わりに家というか豪邸に全てを揃えた。
彼女が何不自由なく暮らせるように、その豪邸に彼女が必要な物を作っていった。
プールを作り映画館を作りスポーツジムを作り家庭菜園出来るように大きな畑も作った。
そりゃもう何十億とかけて作った、それでいて、何十人というメイドを雇い家事のほとんどをこなさせた。
そして、この辺で当たり前かもしれないが彼女は彼に惚れた、というか惚れていた。
最初は惚れてはいなかったのだが、優しくてイケメンで金持ちで自分に尽くしてくれるそんな存在を惚れないわけが無いというわけで超絶ラブラブになった。
そうして超天才の彼と超ダメダメの彼女というある意味お似合いのような夫婦は末永く幸せに暮らしましたとはならなかった。
彼女は凄く優しくて。それでいて自分に余り自信が無い性格であった。だから、彼が自分に惚れているのが不思議に思ってきたのだ。自分という何の取り柄のない女性に惚れたというのが信じられなくなってきたのだ。そして、彼女は彼が呪われているのではないかと考えた。
自分のようなダメダメ人間に惚れるように誰かに呪われたのではないかと、彼は天才で何でも出来た、だからこそ怨みも凄く買っていた。ありえない話ではなかった。
そして彼女は呪いについて調べていた時に賢魔と名乗る人からネット上でとあるサイト・陰陽連というのを紹介された。
そしてその陰陽連からとある陰陽師を紹介された。その陰陽師というのが世界最強の存在してい気分屋で愉快犯でいつもヘラヘラ笑っている。川岸という陰陽師であった。
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「というわけで、陰晴君に素晴らしい仕事を上げるよ。とある男性についている呪いを吸収して欲しいんだ」
俺はアイツが死んで悲しみに明け暮れながらライトノベルを漠然と惰性で読んでいた日。いきなり川岸のお兄ちゃんに呼び出された、というか転移させられてそう言われた。場所はもちろんいつもの廃ビルだ。
「何ですか、いきなりというか呪いを吸収しろって、僕今少し気分的に落ち込んでいますし、大体その呪い持ちの相手って何処にいるんですか」
まあ、この質問は当たり前だと思う。何故ならこの場には俺と川岸のお兄ちゃんの二人しかいなかったからだ。
「あ。今この場にいるわけないじゃん。というか本人に許可取ってないし」
いつもの様に人を小馬鹿にしたようにヘラヘラといけしゃあしゃあと言い放つ。
「は?一体どういうことですか。僕だって暇じゃありませんし。帰っていいですか?」
僕としては帰って悲しみに明け暮れながらも、ライトノベルを読んでいたい気分だったからそう少し感情的になって声を荒げてしまう。
「あ。成功した場合の報酬を言ってなかったね、1000万円だよ」
「謹んでお受けさせて頂きます」
俺はそう言って川岸のお兄ちゃんに頭を垂れた。金の力は偉大という事だ。
「そうか、やる気になってくれて嬉しいよ。さてと、じゃあ。この魔法陣に手を突っ込んで貰える?」
そう言って山岸のお兄ちゃんは俺の前に魔法陣を出してくる。つか?この人陰陽師だよな?魔法陣ってどちらかというと聖職者とか魔術師の分野なんじゃ。まいっか。この人は何でもありの人だし。
取り敢えず手を突っ込も。
「よし。突っ込んだね。じゃあ俺は今から君の腕の空間に術式を掛けるね。隠密術式・透明化っと。後は適当に空間を繋いでっと。ほほいのほいほいほいのほい」
山岸のお兄ちゃんは相変わらずふざけてるとしか思えないような呪文の唱え方をして魔法陣をどこかの空間につなげた。
「じゃあ、後はいつもの要領で近くにいる呪いを吸収して。まあ、呪いといっても。正確に言えば怨霊を媒介にして生み出される強力な呪いだから。非日常的存在にカテゴリーされるから多分簡単に吸収できるはずだよ」
「なるほど。分かりました。では行きますね」
僕はそう言って左腕を通して近くで感じる怨霊もとい呪いの気配を探り見つける。そしてそのまま左手で触れて吸収した。
「一応吸収しましたよ」
僕は魔法陣から左腕を出しつつそう言った。
「うん。オッケー、完璧。やっぱり君の力は凄いね。僕がこの人に取りついている呪いを祓おうとしたら勢い余って呪いに取りつかれている人間事殺してしまいそうだったから。いやあ、ありがとうね。じゃあこれ1000万ね」
山岸さんのお兄ちゃんはそうヘラヘラ笑いながら僕にずっしりと重く大きな紙袋を渡してくれる。
中を除いたら万札の束が10入っていた。
わお。凄いな。いやはや陰陽師って本当に稼げるんやな。
「まあ、今回の依頼は結構美味しい依頼だったからね。流石にいつもこんな稼げるわけではないよ。まあ、それでも普通に働くよりは何十倍も稼げるけどね。楽だし」
「あ、そういえば僕もう帰ってもいいんですか?」
「ああ。いいよ。君の仕事はもう終わったし。後は俺がやっとくよ」
「そうですか。それではありがとうございました」
僕はそう言って頭を深く下げてからルンルン気分で家に帰った。
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「さてと、一応仕事は終わりっと。でもあれだな。彼に取りついていた呪い。あれ、怨霊型・呪術・媒介魔血狂・不幸・不運だったな。あんなもの普通の人間が受けたら絶対に何をしても失敗して不幸になるレベルだぞ。それにかなり強力な呪いだから。多分ずっと倦怠感に襲われて身体も重くなるだろ。それこそ普通の人なら歩くのが苦しく感じるほど。それなのに、そのはずなのに呪いを受けていた、この人たった2年で年商一兆二百億円の会社を作り上げ、スポーツ面でもオリンピック選手に並ぶ程と言われている超天才だよな。ハハハ世の中には凄い存在がいるものだな。まあ俺の方が凄いけど。さてと、じゃあ依頼人に報告の手紙を転送術で送りますか。ほほいのほいっと」
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そうして依頼人である彼女の元に手紙が転送された。
それを見て。少し驚きつつも、流石陰陽師と思い、手紙の内容を確認していく。
「旦那様に取りついていた呪いは、しっかりと祓いました。しかしながら取りついていた、呪いは不幸にさせる呪い。仕事を失敗させるといった。不幸・不運の呪いであり。恋愛系の呪いではございませんでした。多分ですが依頼人様の旦那様は心の底から依頼人様を愛していると思われますので安心してください」
彼女はその手紙を見た時、何故かそれを100%信じることが出来た。
もちろん普通は信じることは出来ない。ただ山岸が手紙の内容を信じられるように簡単な呪絵を仕込んでいた。もちろん人体に害はない。
そしてその結果、手紙の内容を100%信じた彼女はそっと手紙を机の中に仕舞い。愛する彼の為に不器用ながらも夕ご飯の支度を始めるのだった。
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そうして仕事を終えた超天才である彼が妻のいる家に帰って来た。
「ただいま。マイハニー」
「お帰りなさい。貴方って、あ」
彼女が帰って来た夫に向かい小走りをする。そして何もない床であるはずなのにつまずきこけそうになってしまう。
「ほい。キャッチ。コラコラ危ないぞ」
それを優雅に受け止める夫。その姿はまるで王子様がお姫様を抱きかかえるようだった。
「ありがとう」
「いいよ。チュ」
そして彼は彼女の頬にキスをする。
「今日も可愛いね。愛してるよ」
「私も愛してますよ。あ、そうだ。一応夕ご飯作って置きました」
「そうか。それは楽しみだ。じゃあ早速頂こうかな」
「はい。じゃあ一緒に食べましょうか」
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「今日も美味しいよ。マイハニー」
「そうですか。もっともっとお料理上手く作れるように頑張ります」
彼女の作る料理は不味くはないが。不器用なのもありそこまで美味しくはなかった。しかし。彼は心の底からの笑顔を見せて美味しそうに食べ進める。
そうして料理を食べていた時だった。基本的に自分の妻である彼女の賛辞がほとんどの彼が珍しく会社の事を話し出した。
「あ。そういえば今日、いきなり身体が軽くなって会社が上手く行き始めたんだよ。もちろん、今までも上手く行ってはいたが。運に助かられるということは一度もなかった。それが急に運というか天が味方についてくれたのかのように、上手く行き始めたんだよ。いや。もう本当に驚きだよ」
それを聞いて、自分のお祓いが役に立ったのだと思い。嬉しく思い。頬がニヤける。
「ん?どうしたんだい。急に笑顔になって。いや。もしかしマイハニーが解決してくれたのかい?」
超天才である彼にとっで自分の妻の表情を読み、そう予測するのはたやすいことであった。
そして、更に思考を巡らせて。何故自分が今まで身体が重く。運に恵まれなかったのかを考えた時に。呪いという物ではないかと予想をした。
「いや。待ってくれマイハニー。もしかし私は呪われていたのではないか?」
「どうして。分かったのですか?」
「分かるさ。いや。今まで気が付かなかったのだが、落ち着いて冷静になって考えてみれば。私は半年ほど前から身体が重くなり、仕事の運が回ってこなくなった。もちろん私が優秀であるから、そこまで問題にはならなかったし。偶々だと思っていたがしかし、今考えると私を怨む者は多いし、呪いをかけてきそうな人にも大いに心当たりがあるからな。しかし。そうかマイハニーが私の為に呪いを解いてくれたのか。やっぱりマイハニーは私の女神だ。天使だ。私の中でマイハニー以上に素晴らしい女性はいないよ」
そう言って食事中ではあるが。抱きしめて軽いキスをする。
「恥ずかしいです。それと。あのう私が呪いを解いたというよりも専門家の山岸さんという方にネットでお願いして解いてもらいました」
「そうなのか。でも。マイハニーが私の為に行動してくれて、そのおかげで呪いが解けたのは事実だろ。だからマイハニーのおかげさ。ありがとう」
「いや。そんな。私の方こそいつも愛してくれてありがとうございます」
「コラコラ。そんなお礼なんていいよ。私は心の底からマイハニーが好きで好きでしょうがないのだから」
そう言って更に強く抱きしめて唇に熱いキスを交わす。
そこから二人は軽くイチャイチャした後。ご飯を食べ直し、一緒にお風呂に入りイチャイチャして、彼が特注したキングサイズのベットの上で思う存分イチャイチャしました。
そうして二人はいつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
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因みにこれは蛇足ではあるが彼女が解呪に当たり山岸に支払った金額は1億円である。
そういえば彼女の容姿について詳しく説明をしていなかったから説明をしよう。
黒髪・黒目で顔立ちは少し幼くあどけなく、おっとりとした感じ、そして身長は140センチ、胸はGカップである。
ようは一言で簡単に言うならばロり巨乳だ。
それでいて頑張り屋さんだけどミスをするドジッ娘だった。
つまるとこ何が言いたいかと言えば。彼は超天才の彼はドジロリ巨乳が好きだったのだ。大好きだったのだ。
彼女以上に素晴らし女性がいないというのは彼の心からの言葉であり。彼にとって彼女はドジロリ巨乳の彼女が心の底からの好みだったのである。