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強化物語 強化訓練編 

 痛みが僕に襲い掛かる。

 皮膚が破けて血が噴き出していく。

 そのたびに山岸さんのお兄ちゃんの回復術によって体が傷が再生される。否再生されてしまう。このまま死ねれば楽だろうな、なんて考えてしまうほど痛みが酷い。

 僕に痛みが襲い掛かる。そして体中を駆け巡って食いちぎって食い破って暴れまわる。暴れ回ってそのままその痛みがまた無理くり押さえつけられて僕の体を巡回する。

 だけど僕は1時間この地獄を耐えなければならない。そして耐えたら強くなれる、だから耐えろ耐えるんだ。

 そう思うしかなかった。

 ああ。痛い、ずっと痛い。痛すぎる。痛みはずっと襲い掛かる。常に皮膚が裂けて血が噴き出るもんだから声すらまともに出せない、僕からあふれ出た血で前はほとんど見えない。

 普通の人なら発狂していると思う。ただ僕は普通の人よりも少し辛い経験をしている。だから耐えろ。耐えろ。耐えるんだ。行ける気がしてきた。

 ああ。頑張れ僕。頑張るんだ僕。行けるぞ僕。

 耐える。耐える耐え続ける。

 それは今行われている行為が自分を強くする行為だと知っているから。この苦痛を乗り越えれば自分は強くなれると知っているから。

 そして強くなって強くなって自由に好きに生きたいから。

 だから僕は必死に耐えた。耐えて耐えて耐え続けた。


 そして変化は訪れた。


 だんだんと皮膚が破けにくくなり。段々と血が出にくくなってきたのだ。


「お。しっかりと効果が表れているね。思って以上に上手く行ってるね。さあ、ラストスパートだ。頑張れ」

 山岸さんのお兄ちゃんから激励が飛ぶ。

 ありがたい。よし。頑張るぞ。行けるぞ僕。頑張れ頑張れ頑張るんだ僕。

 そうして耐えて耐えて耐え続けていたら。急に痛みが無くなった。


「お。器が完成したね。かかった時間は45分か。想定よりも早かったね。流石だよ。じゃあそうだね次の強化訓練を始めようか。というわけで俺に身体のどこでもいい触れて見な。それが出来たら報酬に俺の編み出した秘技を教えてあげるよ」

 山岸さんのお兄ちゃんはヘラヘラと笑いながらそう言ってきた。つか秘技って何だ?凄くそそられるな。でも山岸さんのお兄ちゃんに触れるか。これまた何とも難易度の高い。だって山岸さんのお兄ちゃんは僕の思考を全て読み取ることが出来るんだぞ。その上僕の何千倍、何万倍の霊力を持った最強の存在。

 いや無理じゃね?


「無理じゃないよう。君がとある技が出来るようになれば可能性はあるよ」

 とある技?何だそれは?いやもしかして、それって頭で考えるよりも先に身体が動くようになる的な技か?


「そうだよう。大正解さ。そういう技だよ。さあ、頑張って使えるようになりな。そうすれば俺の体に触れられるかもね。さあ、頑張れ。頑張れ」

 いや。頑張れって。中々に無茶言いおる。

 普通にきつくね。

 というか。どうやってそんな考えるよりも先に身体が動くなんて出来るんだよ。

 今いきなりやれって言われて出来るもんじゃないだろ。どうするんだよ。どうすればいいんだよ。


「おいおい、最初っから諦めるなよ。ほら頑張れば行けるって。でもそうだなヒントを上げるとすれば霊力に身を任せて見な」

 霊力に身を任せる?

 霊力って僕の身体中を巡っているこの霊力か?


 ・・・・・・・・


 よく分からないけど、取り敢えずやってみよう。

 そうして僕は目を瞑り霊力を感じ取り巡回させていく。そしてそのまま霊力を自分で動かすのではなく霊力自身が勝手に身体を巡ってくように調整していく。

 そうしたら凄く身体が温かくなって、いや熱くなってくる。

 何だろう。凄く不思議な感覚だ。霊力が何もしていないのに身体中を巡り回っている不思議な感覚だ。

 でも。こっからどうすればいいんだ?


「いや。それで正解だよ。というわけで鬼火」

 山岸さんのお兄ちゃんがそう言っていきなり超スピードを持つ火を僕に向かって放ってきた。

 当たる。

 そう思った瞬間に身体が意識をしていないのに鬼火を霊力で強化及び保護してある腕で掴み消した。


「今のは一体。いや、もしかしてこの霊力循環状態って勝手に自動で防衛するのか?」

「そう。そんなところだよ。まあ正確に言えばその状態は霊力循環状態ではなく。霊力境地って技なんだけとね。基本的に達人は一部を除き皆、霊力境地と自分の意識で技を繰り出すってのの二つを組み合わせて戦ってるよ。というわけで霊力境地を発動しながら自分で考えて攻撃を仕掛けてみよう。この組み合わせならば俺みたいな相手の思考を読めるタイプの能力者に対してかなりの力を発揮するよ」

 なるほど納得したわ。

 つか。なんだかんだで山岸さんのお兄ちゃん情報をくれるな優しい。


「ハハハ。まあそうだね。ぶったやけ無理に情報を与えずに自分で学べってのは中々に難しいから。そんな非効率な事をするくらいならある程度の情報を与えて上げて教えて言った方が良くない?まあ、もちろん自分で考えるというのも大切ではある。それでも分からないことを考えても極一部の天才を除き出ないんだからさ」

 まあ、言われてみればその通りだな。

 というわけで山岸さんのお兄ちゃんに触れるという課題をこなしてみますか。何やることは凄く簡単だ。この霊力境地の状態で山岸さんのお兄ちゃんに突っ込んで、そのまま攻撃を入れていくだけ。さあやるぞ。


 そうして僕は霊力境地を維持しながら山岸さんのお兄ちゃんに拳を振りかぶりながら襲いかかった。


 そして一切触れられないまま見えない何かにフルボッコにされた。


 いや。一応霊力境地はしっかりと発動できていたし、結構上手い感じに戦えていたと思う。

 その上でマジでフルボッコにされた。

 触れるどころか半径1メートル以内に近づくことすら出来なかった。

 マジでわけわからんが。何か見えない壁のような物に阻まれたりして、一切近寄れない。

 まあ、つまりどういうことかという山岸さんのお兄ちゃんに触れるとかムリーゲやって。

 つか。落ち着いて考えてみれば山岸さんのお兄ちゃん、この霊力境地を使えば触れれることが可能みたいなことは言ってたけど、絶対に出来るなんて一言も言っていなかった。うん。つまり無理だ。勝てないわ。

 まあ霊力境地という凄い技使えるようになったし、秘技ってのは凄く気になるが、諦めよう。


「あれ?諦めちゃうか。まあぶっちゃけ今の君程度の力で僕に触れるというのは無理な話だったからね。君が覚醒とかしても多分無理なレベルのアレだけらね。ハハハ。まあ元々今は秘技を君に上げるつもりはさらさらなかったという訳さ」

 山岸さんのお兄ちゃんはそう言ってヘラヘラと笑う。ヤベえ、少々ウザイわ。


「ハハハ。ごめんごめん。でもいいじゃないか。霊力境地使えるようになったし。さてと、一応今の所の強化訓練はこれで終わりかな。もちろんやろうと思えばまだやれるけど。それは。もう少し強くなってからだね。まあ、君には戦闘の才能がかなりあるからね。すぐに強くなれると思うよ。という訳でバイバイ」

 山岸さんのお兄ちゃんがそう言いながら手を振った瞬間に俺に自分の部屋に戻っていた。


「凄いな。山岸さんのお兄ちゃん。凄すぎるよ。僕もいつかああなりたいわ」

 僕は部屋に転移させられた後。一人そう呟いて笑った。


 ――――――――――――――――――


 彩香氏 陰晴 17歳 男 人間


 特殊能力

 【吸収王の残滓を左腕に宿し者】【嘘審判】


 現在使える技及びその他耐性・能力

 【霊力感知】・・・霊力を感知する。

 【霊力身体強化】・・・霊力を使って身体を強化できる。

 【殺意耐性】・・・殺意にさらされても怯みにくくなる。

 【強者耐性】・・・強者に出会っても怯みにくくなる。

 【苦痛耐性】・・・苦痛に対して耐性が出来る。

 【幻覚耐性】・・・幻覚に対して耐性が出来る。

 【洗脳耐性】・・・洗脳に対して耐性が出来る。

 【霊力放出】・・・霊力を放出することが出来るようになる。

 【霊力境地】・・・霊力には一般的に宿主を守ろうという防衛機能が存在する。この技はその防衛機能を利用した技である。霊力を身体中に循環させて活発化させて敵からの攻撃が来た時に霊力がそれから身を守ろうと勝手に最適な行動を行う。

 ただし。最適な行動といってもパターン化されておりそれを知っている相手の場合は逆に利用されてしまう欠点あり。また、あくまで防衛用であり。攻撃は自分から仕掛けなければ駄目である。

 後。集中力が欠けたり、精神的にダメージが入ったりすると発動できなくなる。

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