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魔王物語 魔王編

 我が名は魔王・名前はまだない。強いていうならば魔王である。

 我が生まれたのはいつであっただろうか。はるか遠い昔とも取れるし凄く最近ともとれる。不思議な生まれ方をしている。我は常に生まれ続け常に進化し続けている。いや、進化ではないな、変化し続けている存在だ。

 ただ一つ確実なのは我が魔王だということだ。


 我は魔王だ。


 魔を統べる王であり、悪魔や魔物を統べる王であり、ありとあらゆる全ての生物から畏怖される最強の存在だ。

 であるはずだ。しかし、我が本当は何なのかが、我は一体何をするべき存在であり、誰に崇められ畏怖される存在であり、何を成せる存在なのかが我には分からなかった。


 我は魔王だ。


 だが何の魔王だ?

 我以外にも魔王はいる。


 イブリース・サタン・ベルゼブブ・パズズ・マーラ・バアル・アザトース・ルシファー等々


 一口に魔王と言っても魔王サタンなり魔王バアルなり、固有名詞を持ち明確な役割を持った魔王がいた。

 つまり我以外にも魔王がいたのだ。

 じゃあ?我は何だ?

 何の魔王だ?

 分からない、魔王。そう我は魔王だ。それは確実だ。だが本当に魔王なのか?

 我の姿は頻繁に変わった。人に会うたびに非日常的存在に会うたびに姿が変わった。

 ある時は粘液のようなグチャグチャの存在になったり、ある時は2メートルくらいの美男子になったり、ある時は妖艶なる美女になった。

 我は魔王だ。


 魔王であるがゆえに、我を見た者の持つ魔王像というものが我に反映される存在だ。


 我は分からなくなった。我は我が分からなくなった。

 我に性別はない。年齢もない。役割もない。存在する理由がない。

 しかし魔王という存在で存在している。


 だから我は自分のことを魔王としかし言えない。

 だけど我は役割が欲しかった。名前が欲しかった。我という存在を認識して我を認識し我が我であるという形が欲しかった。


 そしてどうすればいいか我は考えた。

 長い時間をかけて考えた。

 いや長い時間は立ってないかもしれない短い時間なのかもしれない。それでも確かなのは我は考え続けたという事だ。

 そしれ我は我の武器を考えた。


 我は魔王だ。

 魔王であるためか魔王が出来そうなことが全て出来た。


 対象を洗脳する能力に対象を強制的に死へと導く能力。対象を自由自在に意思とは関係なく操る能力。制限はあるが時を操る能力。自由に魔法を操る能力。目から光線を放つことも翼を出して空を飛ぶことも出来た。

 手足が何かの拍子にちぎれようが簡単に再生出来だ。

 配下が欲しければ。自由に呼び出せた。

 情報が欲しいと願えば勝手にそれは頭に浮かんだ。探したい人物を出せば一瞬でそいつを我の前に転移させることが出来た。


 そして我は自分の武器及び力を使って何が出来るかを考えた時にとある結論を出した。

 そう自分の力を誇示しようと。

 この魔王たる最強の力を。


 そうして我は自分の目の前に陰陽師に聖職者と呼ばれる強き者を転移させ続け打ち負かし続けた。

 もちろん殺しはしていない。殺したら我のこの力を他に伝えられなくなるからな。

 だけど我の事を忘れられぬように丁寧にいたぶった、四肢を砕き、我の力で再生させてまた砕き、絶望を与え。感情を操作させて負の感情に溺れさせ様々な苦痛を負わせて我の事を忘れなくしてやった。

 そうして何十人、何百人という強き者を打ち負かした、その時だった。

 奴が現れた。

 我をいたぶり、我を子ども扱いし。我に癒えぬ傷を負わせて、我にこの忌々しい封印を施したあの化け物が。魔王であるはずの我よりも圧倒的な力を持ち、魔王である筈の我よりも魔王らしい奴が。


 そいつの名前は山岸・・・・・・・・


 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 ――――――――――――――――――

 今封印されている魔王の記憶それを断片的にそして一部であるが僕は読み取ったというか吸収した。

 そして、開けてはならないパンドラの箱に手を掛けてしまった。

 その瞬間僕は一気に現実へと引き戻された。


 最後の山岸・・・・・・・


 多分それは山岸さんのお兄ちゃんのことだと思うが怖すぎた。正直今山岸さんのお兄ちゃんという規格外の存在に対して恐怖からか手が震えている。

 少なくとも魔王という概念、それも特に完璧に定まっていない色んな人の中にある様々な魔王という概念が集まり生まれた概念的存在であるこの名もなき魔王。

 それを圧倒的で圧倒的で圧倒的過ぎる力でねじ伏せて心の奥底に恐ろしい傷を作る程の何かをした。

 信じられない。

 少なくともこの名もなき魔王は弱くはない。

 いや、むしろ強い。最強と言っても差し支えないレベルで強い。だってあれは魔王が出来そうなことは全て出来るという規格外にもほどがある力を持った存在なはずだから。

 もし今の僕が戦ったとしても一瞬で殺されて終わりだと思う。そのレベルの化け物だ。


 それを簡単に一蹴って。ヤバいな。つかマジで何者だよ。山岸さんのお兄ちゃん。最強の存在か何かかよ?


「そうだね。俺は最強の存在だよ」

 目の前に山岸さんのお兄ちゃんがいた。

 また、転移したのかと、慌てて辺りを見渡すが。そこはただひたすらにひろがる黒い空間と鎖でつながれた魔王という、さっきと何も変わらない状況だった。

 ということは山岸さんのお兄ちゃんがこっちに転移して来たということか?


「ああ。そうだよ。大正解さ。いや何実はね。元々俺は君をここではなくて別の所に転移させるつもりだったんだよ。それがついうっかりミスってしまってな。ああ。恥ずかしい。恥ずかしい。この俺が転移ミスという初歩的なことをやらかすとはね。マジで恥ずかしい」

 山岸さんのお兄ちゃんはそう少し顔を赤らめなが恥ずかしそうに笑う。


「でもね。一応俺がしたかったことは達成できたから良かったよ。むしろ予想以上の成果を生んでいるね。本当に素晴らしいよ。まずビックリしたのが君が概念的存在を微量ではあるが吸収したことだよ。概念的存在ってのは物凄い大きな存在だ。そんな存在を吸収したら今の君の弱い肉体だったら耐え切れずに弾けると思ったが、そうならなかったからね。本当に凄いよ」

 山岸さんのお兄ちゃんは愉快そうにそう笑う。

 いや、何一つ愉快ではないのだが、これもしかしなくても、マジで下手しなくても僕死んでたやん。


「そうだよ。死んでたね。まあ、その時は俺が蘇らせてたけどね」

 しれっと死者蘇生が出来るっていう凄い情報を頂いたのだが。まあ確かに言われてみれば出来そうだな。つか死んでも蘇れるから無茶してオッケーみたいな考え方で怖いのだが。


「お。勘が良いね。そうだよ俺としては正直蘇らせればオッケーって思ってるよ。だって俺は人が死んでも蘇らせれるんだから。さてと、じゃあまだ君の強化は終わってないからね。ドンドン行こうか」

 山岸さんのお兄ちゃんはそう言って笑った。正直逃げ出したいう気持ちが一杯だが、絶対に逃げられないということが分かってるし。この山岸さんのお兄ちゃんが主導で行ってくれる強化は100%僕の糧になっている。成長になっている。

 つまり必要なことだと思う。だからぐっとこらえて恐怖を飲み込んで山岸さんのお兄ちゃんの強化を僕は受け入れなくてはならない。拒んだら死ぬ。そう頭が理解して叫んだ。


「うん。うん。そうだよ。それで正解だよ」

 山岸さんのお兄ちゃんは僕の言葉というか思ったことに満足そうに頷いてくれる。うん。頑張りましょう。今の僕に残された道は山岸さんのお兄ちゃんの強化訓練(地獄)を受けるしかないのだから。

 そもそも論としてい今こんな魔王の封印場所というヤバい所にいるし。こっから僕を脱出させっることができるのは山岸さんのお兄ちゃんしかいないからな。


「まあ。確かにそうだね。本来君がこんな場所にいるのはあり得ないからね見つかったら、まあ処刑だろうね」

 シレっと恐ろしいことを言うのマジで辞めて欲しい。心臓に悪いし。


「ハハハ。そうですか。あれ?そういえば件の封印された魔王は何処に行った?」

 僕は少し苦笑いをしつつ辺りを見た時に。あの10メートル以上あるバカでかい魔王が居なくなっているという事に気が付く。


「何処にって。ずっとあそこにいるじゃないか?」

 山岸さんのお兄ちゃんがそう言って指を刺した先には体育座りをして何かにというか山岸さんのお兄ちゃんに怯えるように身体を振るわせている少女がいた。

 身長は140センチくらい、紫色のワンピースに身を包み、顔は俯いててよく見えないが何となく絶世の美少女というのは伺える存在。髪は薄い紫色で小さな翼と小さな角が可愛らしく生えている。

 そんなライトノベルやアニメ、漫画。ゲームの可愛いキャラとして出てきそうな魔王?がいた。


 ――――――――――――――――――

 補足説明

 山岸さんのお兄ちゃん

 愉快犯で楽しいことが大好きの変人であり世界最強の存在

 生まれつき莫大な霊力を身に宿し、それに期待された陰陽師であった両親に血のにじむような英才教育を受けて、僅か6歳で世界トップクラスの力を得た。

 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 一部情報公開が出来ませんでした。


 そうして今現在20代である彼はその身宿す世界最強の霊力を扱い、陰陽連・正教会において非公式ながら世界最強の称号を貰っている。

 しかしとある過去の経験から富を好まず権力を好まず自分のやりたいことやりたいようにやる。好きな事をしたいようにする。

 気に入ったものを贔屓して試練を与えて強化させて強くさせてほくそ笑む。

 そんな大分普通の人と価値観のずれた人間?となった。

 で、今現在は吸収王の残滓を宿した主人公こと彩香氏 陰晴を気に入り絶賛強化中。


――――――――――――――――――

 あの封印されてる魔王って何ぞや?

 次回明かされます。

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[一言] ヒロインは魔王の予感 面白かったです
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