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小国の王子、大国に打って出る  作者: Zero
第壱章  幼少編
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第5話【賭けの結果】

第壱章 第5話【賭けの結果】



エーデル大陸歴1512年5月06日 昼 ~タニア王国 王城 ラザド城 医務室~


もしあの子が俺の予想通りであれば、あの子はかならず1つ以上スキルを持っていると断言できる。その予想が外れた時は痛いがそれも人生経験とあきらめが付くほどだ。


さて、まず説明しておきたいのが、この世界は人間以外の他種族も存在する。


動物と似たような能力を持ち、体の一部が動物化した獣人種


世界樹を守るために神が生み出したハイ・エルフから生まれた森人種(エルフ)


火と鉄の神が生み出したハイ・ドワーフから生まれた土人種(ドワーフ)


創造神が生み出した天人から生まれた人類種


人間の中で魔力が飽和し変化した魔人種


世界を守る役目を持つ龍が生み出した竜人種(ドラゴニュート)


これらの6種族が世界に存在し、


天界を守る役目を持つ天使種


魔界を守る役目を持つ悪魔種


そして、神と言われる創造種


の3種族が外界と呼ばれる外に存在している。これは世界の歴史として存在し、神託として下っている物だ。


6種族は基本的に変化しないが、外界に存在する3種族にはなる事ができる。英雄と呼ばれる様な存在や、大罪人と呼ばれる様な存在がそれぞれの種族に進化する事となる。そのため、3種族は超越種と呼ばれ、寿命などの概念がなくなる。


さて、なぜここでそんな種族説明をしたかというと人類種以外の種族は基本的に最初から何かしらの能力を持って生まれる。そのため、その能力を生かす方向で考える。もちろん、人間は幅広い選択肢から自由に選択できるため、お互いに良さ悪さはあるだろう。


大人が子供を本気で蹴った際、普通は怪我をするだろう。それが、食事がほとんどとれておらず栄養がない子供ならどうだろうか? 死んでもおかしくないはずだ。


なのに、あの子は別段問題がなかった。スラムでは、あぁいうことは日常茶飯事とはいえそれでも頑丈過ぎるだろう。そして、蹴られても尚手を伸ばす余裕があった。


それらの事情から俺はあの子が竜人種か魔人種、獣人族のような耐久の高く、尚且つ、身体的に見にくい場所に特徴を持つということから竜人種か魔人種のどちらかだと考えた。


竜人種なら最初から竜化を覚えており、魔人種なら魔法系統のスキルを持っているはずだ。


「この子か…」


おじいちゃんは、そもそも子供好きだ。子供が好きだからこそしっかり叱る時は叱る人だ。だからこそ、自国での虐待など許容はできないだろう。


「だ、だれですか…」


「意識が戻っていたのか」


あの状態からだから目を覚めないと思っていたのでステータスを確認するアイテムで確認するつもりだったのだが…。やはり、人類種ではないだろうな。傷もほぼ治っているように感じる。


俺は、警戒している子の頭をなでる。不用意に近づいたが、同年代だからか、暴力が日常だからなのか目を瞑って耐えるように身構えている。ゆっくりと優しくなでて抱きしめる。


「もう大丈夫」


心の底から思う。あの時、伸ばした手は俺に向けたものではなかった。向けたものではなかったが、求めたものは救いだったならその手を取った俺はこの子に救いを与えなければならない。


抱きしめた子はゆっくりと俺を力強く掴み返し、涙を流し始める。


泣き止むまでに少しの時間がかかった。泣き止んだ後も俺の服をしっかりと握っているがこれを無理にはがすつもりは周りの大人にはないようだ。もちろん、俺にもだが…。それだけ、不安で恐怖を小さな体にため込んでいたのだ。それを周りが見てしまっている以上誰もとめることはないだろう。


この状態なら、おじいちゃんも最悪はこっそり助けるだろう。


「賭けは賭けだ。その子のステータスを確認するぞ」


おじいちゃんが近づこうとしてびくりと驚き俺の後ろに隠れるようにする。


「ごめんだけど、少しだけステータスを見せてくれないかな?」


俺は目を合わせて聞いてみる。すると、その子はゆっくりと頷きステータスボードをよこしてくれる。


☆★☆★☆★☆


名前:ミリア

称号:なし

職業:孤児

年齢:6歳

総合レベル:1

 メインクラス:【戦士Lv1】

 サブクラス:未開放

ステータス

HP :15/21

MP :0/0

STR:12

CON:22

AGI:5

DEX:6

INT:12

POW:16

LUK:2

スキル

【自己回復Lv2】【頑強Lv1】【苦痛耐性Lv2】

加護

【戦神の加護】


☆★☆★☆★☆


「これは一体…」


スキル自体は複数持ち、さらにステータスも同レベルの俺よりも高い。種族は基本的にステータスボードには表示されない。おじいちゃんが持ってきた鑑定の水晶ならステータスが表示されない代わりに種族なんかもわかる。そちらにかけるしかないだろう。


「これに手を置いてくれぬか?」


おじいちゃんは、怯えさせないようにゆっくりと水晶を差し出す。


☆★☆★☆★☆


名前:ミリア

種族:半竜人(ハーフドラゴニュート)

職業:孤児

性別:女

年齢:6歳

犯罪歴:窃盗

レベル:1

ステータス:F

スキル

【自己回復Lv2】【頑強Lv1】【苦痛耐性Lv2】


☆★☆★☆★☆


「半竜人だったのか…」


道理で竜化のスキルを持っていなかったわけだ。ハーフは力が弱くなる。竜人は本来強靭な肉体に頑強な鱗を持つ。竜化することにより全ステータスが上昇し、ブレスなどの攻撃や空を飛ぶことができる。この子、彼女か、彼女にはそういった優位性はない。頑強のスキルは持っているので頑丈な人間の子供くらいだろう。


「さて、おじいさま、賭けは僕の勝ちですね」


「はぁ、わかった。わかったが、今後このような事はするなよ?」


「善処します」


おじいちゃんは大きなため息を吐きながらもメイドに何かを指示してそのまま部屋を退出していった。


「さて、君に聞きたい。俺とこのまま来ないか。あんなところに戻るよりも俺と一緒に」


目を合わせ彼女に問いかける。彼女は俺の服をさらに強く握り目に涙をためながら頷いた。

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