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小国の王子、大国に打って出る  作者: Zero
第壱章  幼少編
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第4話【王の考え】

第壱章 第4話【王の考え】



エーデル大陸歴1512年5月06日 朝 ~タニア王国 王城 ラザド城 王の部屋~


「ばかもん!!!!」


「申し訳ありません」


王は孫の対応をみて大きくため息を吐く。普通の子供であればそんな風に怒鳴られれば大抵の子供が委縮するであろう所をエルニアは堂々と自身を見つめていた。ワドルフは、そんなエルニアを見て未来を感じるが、だからこそ危険な行為をしてほしくなかった。


タニア王国には本来、エルニアではなく継承権第一位の王子であるエルニアの父親がいたはずだった。エルニアの父親は非常に優秀な人間で、強く優しい人間だった。しかし、そんな父親も魔の森で定期的に発生するスタンピードと呼ばれる魔物の氾濫の主を倒す際に相打ちとなり死亡した。


名誉の死ではあるが、次期国王がいなくなるのは非常に最悪な事件だったと言わざるを得ない。幸いなのが子供がいたことだ。そして、その子供も非常に優秀そうである。だから、外周のランニングを許可したのだ。


「外周を走るのは民の生活を見る事も出来、訓練にもなるからだと言っていたしわしもそう思ったから許可したの。危険に首を突っ込ませることが目的で許可したのではないぞ」


「わかっていますが、目の前に暴行を受けている民を見捨てる事はできませんでした」


素直にまっすぐ言ってくる孫を甘やかしたい気持ちを抑え、しっかりと叱りつけなければと思う反面、自分がダメだったことも理解していそうなので言わなくても良いのではないかとも感じる。


「まぁ、理解してそうだから、これ以上そこについては言わないでおこう。しかし、問題はそれだけではない。あの子をどうするつもりだ?」


「あの子はおそらく親がいません。もしくは、暴行していた者自体が親の可能性があります。引き取って僕の使用人にしてはいただけませんか」


「動物を飼うようなものではないのだぞ…。スラムの子とはいえ人間だ。そこに教育を施すなど簡単な事ではない」


まだ、5歳児なのにしっかりと物事をとらえて発言している。本当に5歳児なのか疑いたくなるが王子が優秀な事に問題はない。特に唯一の王子だ。この子が優秀過ぎて困ることなどない。


しかし、いまだに実権は何一つ持っていない。責任を取るのはこの子ではない。


「責任を押し付ける形となる事は理解しているつもりです。しかし、ここで放置する方が民に対する責任を放棄することだと思います」


「すべてを救うことはできん」


「だからこそ目の前の1でも救おうというのは間違っていますか!」


「目の前の1を殺して100が救えるなら100を救おう」


目の前に手を差し伸べられるものがいてそれを助けようとする心意気は良いがそれでは国が成り立たない。良い子に育ったとは思うがまっすぐ過ぎるのだ。


「あの子が100を救う可能性もあります」


「そんな可能性はない」


「では、おじいさま賭けをしましょう」


「何?」


賭け事など王子としてどこでそんな悪いことを聞いたのだと周りの者を見るが誰もが首を振る。


「彼女のスキルを見ましょう。それでスキルが1つ以上あればあの子を僕の使用人にしてください」


「1つも持っていなければ諦めて捨ててくるということか?」


それはそれで結局責任は取れていない…。子供の浅知恵か。まぁ、それで諦めるのであればそれはそれで良いのだが…。普通、エルニアと同い年程度の子供が何かのスキルを取得していること自体がまれだ。さらに、スラムの子ともなれば持っている方がおかしいだろう。


「では、その賭けに持っていなかったさい、きっぱり諦める事に外周のランニングの禁止を追加する」


「わかりました」


エルニアは自信満々にそう答えた。

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