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小国の王子、大国に打って出る  作者: Zero
第壱章  幼少編
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第3話【基礎訓練と誰かの落とし物】

第壱章 第3話【基礎訓練と誰かの落とし物】



エーデル大陸歴1512年5月06日 朝 ~タニア王国 王城 ラザド城 外周~


あのあと、オルドから最低でもすべてのステータスが10を超えるようになったら訓練すると言われたので、それまでは基礎訓練として一応城なのでそこそこ広い王城の周りを10周と筋トレをすることとなった。まぁ、隠れて階段を上がったり降りたいの昇降運動もやっていたのだが…。ステータスにさほど影響を与えていない。


ステータスの上昇は経験値、戦闘によって上がりやすく訓練では上がりにくい。そのため実践が一番なのだが、周りに強い騎士を固めてレベリングなんかすれば実力なんてないただのレベルだけになってしまうので、俺は遠慮しておいた。


そして、王城の外周は王城のすぐ近くとはいえ外になるため、護衛に騎士がつけられた。俺が走る後ろを鎧を着ながら軽々とついてくるのはそれはそれで腹も立つが俺のためにわざわざ鎧をつけて走らされてると考えると申し訳なさを覚える。


タニア王国の王都は北に山脈地帯があり、その北方面に下層市民たちが住み、南方面に一般市民が住み、東に商店街や娯楽施設がある。西は貴族や一部の商人が住んでいる。城をかくも城壁と、王都を囲む壁の二段構えとなっており、北から攻め込まれることはなく、西は貴族が住むので防衛も硬い。南や東からくる敵も王都を囲む壁が守るという形となっており、非常に強固な防衛都市である。



そんな風に色々考えながら6週目の北辺りを走っていると子供が大人にけられてるのが目に入った。偽善かもしれないが、今ここで見捨てる事はできなかった。俺はつい声をかけてしまった。


「おい! 何をしている」


驚いてこちらを見る大人。俺の後ろにいる騎士をみて何か言う前に逃げ出す。子供は置き去りにされるが、逃げた大人に手を伸ばしてまるで救いを求めるかのようにしている。


「大丈夫か? おい! やつをすぐに追え!」


「殿下、申し訳ありませんが、それはできません。私は殿下の護衛なので…」


申し訳なさそうに護衛の騎士がそういう。この国の騎士は少なく、王城の周りと言うことで騎士は1名だけ、ここでこいつが離れれば俺1人となり危険を伴う。仕方のない事ではあるが…


「なら、この子供を城に連れて行く、担げ」


「かしこまりました」


どういう経緯があるかは知らないが大人から暴行をされていて騎士を見て逃げるなど碌な事ではないだろう。がりがりにやせ細っているので栄養もまともにとれていないのは見てわかる。


ここまで知って見捨てる事はできない。おじいちゃんには怒られる可能性もあるが、1人も救えなくてこの国を改善するなんてできるはずがないだろう。


王城には北方面には出入り口はなく、西門か東門が近場になり、どちらかというと戻るほうが早いので西門に戻る。門番は騎士が抱えている子供について質問したそうにするがこれでも王子なので止められることはない。


「この子に消化の良い食べ物と身なりを整えてやってくれ、その後に医者に見せよう」


「かしこまりました。お預かりいたします。殿下も湯あみをなさってはどうですか?」


「いや、俺はまだ走り終わっていないから残り4周を終わらせて来る。戻ってきたときに湯あみをするのでその準備を頼む」


「かしこまりました。いってらっしゃいませ」


俺はそういって残りの4周をさっさと終わらせるために急いで外に出る。


走り終わって帰ってくるとメイドにあの子の場所を聞き向かう。


「容態はどうだ?」


入った部屋に王家専属医が居たのでその人に容態を確認する。早めに気付けたおかげがあまり外傷は見られなかったため食事と湯あみをさきにさせたが、今思えば暴力を振るわれてた時点で先に怪我を見せるべきだったかもしれない。


「えぇ、問題ないですよ。まぁ、食事を今までほとんど口にしていなかったようなのでしっかりと食べさせる必要はありますがね」


「そうか、助かった」


「いえいえ、私はこれが仕事ですので」


「殿下、陛下がお呼びです」


怒られる予感を感じながらもおじいちゃんの呼び出しには逆らえないので向かう事にする。その足取りは非常に重い物だった。

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