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小国の王子、大国に打って出る  作者: Zero
第壱章  幼少編
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第1話【記憶の整理】

今回は説明回です。

第壱章 第1話【記憶の整理】


エーデル大陸歴1512年5月05日 昼 ~タニア王国 王城 ラザド城 エルニア私室~


5歳になった瞬間前世の記憶を思い出した。宵越がどうなったのか、仕事はどうなったのか、親はどうなったのか。前世について考えれば考えるだけ切りがなかった。


しかし、今世の記憶や思い出もあり、自分の誕生日を祝ってくれる今の母親とおじいちゃんには悲しい思いをさせたくないと思ってなんとか耐えた。しかし、次の日からずっと考え込んでしまった。


あふれ出る思い。戻りたい思いはもちろんある。思い残したことがとても多いから…。でも、戻れるとも思わないし、戻れる方法を探ろうにも簡単ではないだろう。


魔法やスキルがある世界。数字で能力が見える。これは非常にありがたい。自分がどの程度能力があるのかわかりやすく成長しやすい世界。しかし、そのためか貧富の差が元の世界よりも激しく技術の発展も乏しい。


本来、動力は馬や牛などの動物を使った力から水の流れ、風などの自然の力を利用したものになり、それらを上回る力を欲した結果として蒸気機関や電気の力を利用されるようになった。しかし、この世界では魔力がそもそも存在している。そのため、動物や自然の力はまだしも技術として蒸気機関や電気の力を開発するに至らない。それら不確かな物よりも身近に魔力と言う強力なエネルギー源があるからだ。


そのため、水車や風車はあれど鉄道などの技術はなく、銃などの遠距離武器もない。時代的にいえば中世程度だろう。しかし、一部技術は近世レベルだと言える。それは魔法の力によるものだ。例えば上下水道。これは既に存在する。正しくは下水を完璧にろ過する技術が存在するため、常にきれいな水が流れているからそれを組めばよい。他にも、キッチンなどは火力を調節しやすくなっている。これは、魔導具と呼ばれる物のおかげだ。下級市民には、持っていないものも存在するが、それでも市販されている。


そういったどこか偏りがある世界で最も歪なのが魔物と魔王の存在だ。魔物は動物の中でも魔力を持つものをそういうらしい。そして、それらを従える者を魔王と言う。最初、テイマーのような存在ではないのかと思ったがどうやら違うらしい。魔物を使役する人間はもちろん存在する。テイマーや従魔師などと呼ばれる存在なのだが、それらは多くても100も使役できない。しかし、魔王はその存在自体に魔物が服従する。テイマーなどの別の主が存在する場合は例外だが野良はすべてが魔王の命令に従う。そのため、危険度が非常に高く、魔王が現れれば勇者などが召喚され各国の討伐軍と共に討伐するそうだ。


さて、そんな世界だがなぜ帰還が不可能なのか? 勇者が召喚されるなら送還の技術もあっていいはずだろう。しかし、ないのだ。そもそも、召喚された勇者が送還された事が。召喚勇者は基本的に召喚した国に従属させられ、魔王討伐後に暗殺される。魔王という強大な力を倒せるだけの力を持つ勇者は危険だからだ。そのため、歴代13人いるうちの8人は魔王討伐後暗殺、7人は魔王討伐時に戦死している。そして、1人は行方不明だそうだ。


その行方不明の勇者、彼は30年前に召喚されて魔王討伐後に逃走、合えば何か聞けるかもしれないが、その1人の勇者は各国が探しても30年間見つかっていない。そして、各国が探しても見つけられないほどの人物を各国とは比べ物にならないほど弱い国が見つけれるはずがあるわけもなく。


まず国土、国土の7割が山岳地帯。残り3割も森林地帯であるし、その森林地帯も魔の森と呼ばれる魔物が多く住む危険な森だ。金属の生産が盛んで、他国に輸出して足りない食料などを賄っている。


都市も王領は王都と近くの都市1つ、貴族が3名いてそれぞれが国境と魔の森に隣接する場所に領都を置いている。軍事力も低く、絶望的な国だ。現国王のおじいちゃんは優しい良い人だが、王としては現状可もなく不可もなく。いや、現状を鑑みれば悪いとさえいえるだろう。平時であれば賢王だろうが、この国の状況は狂っていても変化させられる王が必要だ。


こんな国が他国に飲み込まれないのは飲み込んでも旨味がない。どちらかと言えば危険度が高いからだ。魔の森と隣接し、食料は別の場所から輸送しなくてはならない。


だが、一番の理由はいつでもつぶせるからだ。まず俺はこの国の現状を変えるしかないだろう。


5歳児に何ができるのか…。父親はいない。継承権は第1位であり、おじいちゃんの次の国王は俺だ。それまでに出来るかぎり策を考えなくては…。そして、成長しなければ…。


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