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小国の王子、大国に打って出る  作者: Zero
第零章 プロローグ
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第1話【プロローグ】

第零章 第1話【プロローグ】


エーデル大陸歴1507年5月03日 早朝 ~タニア王国 王城 ラザド城 医務室~


「陛下!! お生まれになられました!」


「本当か!」


白いローブのようなものを羽織った恰幅の良い女性にそういわれて白く長いひげを蓄えた威厳ある老人は非常にうれしそうにそう大きな声を上げる。


「はい! 元気な男の子です。母体のメリア様も元気ですよ!」


女性の後ろからおぎゃおぎゃと赤子の鳴き声が聞こえてくる。それは元気の良いもので、老人は顔をくしゃくしゃにして涙を流す。


彼はタニア王国現国王、アルドリア7世、正式名称をワドルフ・フォン・アルドリア・グーファ・タニアだ。そして、恰幅の良い女性はタニア王国で最も多くの子供を取り上げた優秀な助産師だ。そんな助産師でさえ大きく喜ぶようなほどの大変だった出産を経て、子も母も無事に生まれた事を国中で祝った。


5月03日タニア王国第一王子エルニアが誕生する。


☆★☆★☆★☆


地球 西暦2030年5月2日 深夜 ~日本 東京 某所~


日付が日をまたぎそうな夜更けに仕事をする2名の男性がいた。


「桂木部長~、無理ですよ。諦めて明日やりましょ~」


「馬鹿! 先方にどう報告すんだよ!」


桂木立夏(かつらぎりつか)とあるIT企業で部長を務める男だ。そんな男に軽薄そうな男が呻きながらあきらめを促す。真面目を表したかのような人間性の桂木は入社して早くに部長へと就任した。それに、責任を持ちしっかりと仕事をこなしていたが、隣の男、宵越辰巳(よいごしたつみ)は正反対のような男、そんな彼がやらかした問題の解決をするためにわざわざ残業をして作業していた。


「よし、とりあえず俺の方は修正が終わったぞ。宵越は終わったか?」


「全然っすね!」


「お前喋る暇があるならやれよ!!」


桂木が起こるのも無理はない。宵越は入社して最初からずっとこんな調子で仕事をやらないのだ。いや、やってる風に見せてはいるのでやっているんだと思っていたからこそこんな事態が発生していた。


「いや~向いてないんっすかね~」


「とりあえず、半分かせ。残り半分が終わるまではお前は帰るな!」


「うわ~、今時そんなんパワハラっすよ!」


明らかに仕事をしていない宵越が悪いのだが彼は悪気など一切感じていないようで悪態をつく。そんな宵越にイラつきを隠せない桂木だが、怒っても仕事は減らないので無視して黙々と奪った半分をやる。


【_a___a t__u_k__e ku__ai d__eka __us_a s__a!】


「つっ」


「大丈夫っすか?」


「問題ない」


桂木が頭痛のような、ノイズ交じりの耳鳴りを聞いて眉間を抑える仕草をしたことに気付いた宵越が心配そうに尋ねる。桂木は問題ないと手で押さえ仕事をするように促す。


桂木は、その日からこのような何かを伝えようとしているであろうノイズ交じりの音と共に激しい頭痛に襲われていた。明日が終われば休みになるため休みに病院に行こうと思いながら仕事を進める。


日付が変わり終電もなくなったであろう頃に仕事は終わり、桂木はどうやって帰ったものかと悩んでいた。とりあえず、会社から出て近くのホテルでも探そうかと立ち上がり扉を開けた瞬間前のめりに倒れこんだ。


後ろで宵越が手を伸ばして助けようとするがその手は、吸い寄せられるようにししまる扉に遮られることとなる。そこで、桂木の意識は途切れた。

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