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じゃあ、なんすか。副業はしちゃいけないんすか


何と言うか……


W国内の様子は人混み塗れのA帝国とは天と地の差だ。

エルフ以外にもドワーフや獣人、別大陸から来た鬼人までいる多民族国家状態。

事前情報では、世界各地から冒険者が集っているとあったが、ダンジョン関連経由でそのまま移住した奴が増えて来ているのか。


……帝国に比べたら、雰囲気の温度差があって風邪ひくレベルだ。

とにかく、役所に行って冒険者ギルドの登録を済ませたい。

俺が冒険者ギルドの登録と移住検討を話すと、慣れた様子で職員は対応する。


特別な審査があるのかと身構えていたのに、これっぽっちもなく、正式な国籍を取得するには国内で大凡数年間の滞在と働いている事が条件。

条件が大雑把に記載されている原因は、働いた功績によって名誉国民として認められる事があるから。


まあ、名誉国民も滅多に選ばれる事が無い。

普通に二、三年と見積もった方がいい。

ただそれでも、日本国籍よりは大分、ガバ多い程、簡単に感じる。


そして、冒険者ギルドだが……どうやら国から随分、手厚いサポートを受けているようだ。


国の発展にダンジョンが関わっている以上、当然の流れなんだろうが。

A帝国とは、まるで別物。

宿舎が用意されているのはA帝国と同じだが……宿舎は風呂もトイレも整備されているのにタダ。食堂もタダ。国から支給される物資もタダ。低ランクとは言え武器も無料で貸し出し。

……毎月のノルマがない!?

流石にそれは馬鹿が過ぎるだろ!


俺の元居た世界だと「ホワイト企業だ!」と絶賛されそうだが、ここは中世ヨーロッパっぽい雰囲気と時代の異世界だぞ?

このホワイトさは時代に合わない異常さだ。

こんなにも異常なのに、噂を聞かない。逆に違和感を覚える。


裏があるな。これは……下手に信用しない方が良い。


前述の説明を冒険者ギルドの奥にある部屋で職員から聞かされる俺。

これからの俺が住むことになる宿舎の部屋の鍵を渡されつつ、職員が「何かご質問はありますか?」と尋ねる。

俺は真っ先に聞いた。


「すみません。副業は禁止されていますか?」


資料を確認しても、俺が事前に把握したW国の法律にも、副業に関する項目がなかったので確認するしかない。

そしたら、向こうはポカンとした表情で


「へ? 副業??」


「……何も記載がなかったので確認したかったのですが」


「金銭面で問題があるなら、出来る限り我々がサポートしますよ! ジョサイアさんには冒険者の活動に専念しただけるようお願いします」


言葉通じてねえのか? おい??


「そうじゃなくて、副業しちゃ駄目なのかって話です。駄目なら駄目ってハッキリ言って貰って構いません」


「え、ええ~~~~とぉ……その~~……普通に副業というのは難しいのでは」


「何か条件が? 国籍が必要なんですか」


「そぉ~~~ではなくてぇ……ホラ。冒険者の依頼やダンジョンの攻略などを行った後、更にまた副業をするのは体力的にも厳しいかと……」


「じゃあ、副業やっても問題ないんですね。法的に問題ないんですね。分かりました」


「ちょちょちょっ! ジョサイアさん!! 他にもやる事があるでしょう! 冒険者たるもの己を磨く為の修行とか」


「俺にとって副業が()()なんで」


しかし、どこで副業するか。明日までにある程度、考えておかねぇとな。

街並みを確認する限り、衛生面は問題ないようだ。

道中、病院を確認できなかったものの、路上に座り込んでる浮浪者が誰一人いない事から、極端な貧困層はいないらしい。

平民ですら豊だと、病院に足を運べるから俺が経験値を稼ぐ相手が減る。

なかなか面倒な国だ。


「あ……あの~、申し訳ございません。もう一つ、お話がありまして」


おどおど職員が重要な話を切り出す。


「ダンジョンの調査やクエストの受注は、最低四人パーティの方々からとなっておりまして……」


「……あぁ!?」


おい待て!

事前情報にも、資料にも書いてねぇ厄介な情報を小出しするな!!

ソロでやれねぇだと!? 最低でも四人パーティって……冒険者舐めてんのか!??


「『帝国』じゃなくてもソロでやれるのが普通だと思うんですがね」


「しかしですね……昨今、ダンジョンの活性化が多く、ダンジョンから抜け出した上級モンスターの目撃情報も多く。冒険者の皆様の安全も考慮しまして、ソロでの受注は()()()()()……」


「あ、()()()ってことは義務でも禁止でもないと」


「違いますってば!」



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