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全然わからない、俺は雰囲気で冒険者をやっている


「大丈夫。先輩」


ミディアから突っ込まれた。

俺は普通に生活しただけで特に何も……やっていないんだが。

そのつもりだったが、ミディアから鋭い指摘を受ける。


「ここの冒険者は話を聞かないA帝国でも、常識を知らないW国でもない。だから先輩は普通に、好きにダンジョン調査をしていればいいのに。貢献ポイントだって、先輩独りのペースでも余裕で達成できる筈」


……確かにそうだ。

否、普通に俺はA帝国で僅か一日だけやってたダンジョン周回なんざ、Cランクでも余裕に十周・ニ十周できる自信がある。……なのに。

何故、()()()()()()()()()()()()()()()()()


確かにいればアイテムボックス分、素材回収は楽になるが『シールド』と『ファミリアー』を組み合わせた運搬用の箱に素材をぶち込めば、何も問題ない訳で。

……()()()()()()()()

あのクソ神の影響なのか? サポーターを育成するような行為に走ってたのは……


俺は溜息ついてミディアに聞く。


「お前は、最近どうしてる」


「一昨日。Bランクの昇格ラインに到達した。……先輩、私とパーティ組んでBランクダンジョンにいける? 昇格ラインに到達したら、入ってもいいって許可された」


「……ああ。悪くないな」


ダンジョン調査を気分転換にするなんて、馬鹿げているが。

今の俺にとっちゃ、重要だった。

俺達が調査に入ったBランクダンジョンは土と闇、二つの属性系統の場所。


出現するモンスターは『エタルスターチュ』『チタンゴーレム』……魔力を無力化させる銅像『レクタースターチュ』と『ゴーレム』それぞれの上位互換が鈍い動きながら大量に奥より現れる。

コイツらは、強いより()()が似合う。


滑りやすい液体洗剤を混ぜた『クリーンウォーター』を奴らにかける。

移動手段が二足細工の『チタンゴーレム』と飛び跳ねて移動する『エタルスターチュ』。

どちらも滑らせて、身動き取れにくくすればいい。

奴らの頭上を俺はヘルコヴァーラの杖で飛び『チタンゴーレム』はホーリーカロン、『エタルスターチュ』は魔法を無力化させるので杖で薙ぎ払い、破壊する。


俺とは別方向で、物理攻撃の効かない『レーユイ』という霧状のモンスターの群れを威力高め、広範囲攻撃の『メテオブレイク』で片付けるミディア。

奴には、奥にまだ『レーユイ』が13体残っている事と、次に来るモンスターの群れの数と方角を伝える。

短い返事で、ミディアはさくさく対処していく。


ヘルコヴァーラの杖の花の精度は段々と良くなっていて、杖の花を複数飛ばし、俺達の戦闘中にホーリーカッターで鉱石をカッティング。

宝箱も回収。

植物もシールドで根ごと回収する事も可能だった。

ただし、モンスターに手出しされないよう、俺達が戦闘でモンスターの注意をひかせる必要がある。


俺は基本、後衛で索敵、素材回収、遠距離攻撃を担当。

ミディアは前衛で勇者らしく魔法と物理攻撃交互の対応を迅速にしていく。

休息でミディアの剣の状態を確認したり、奴の疲労を回復し……二人だけで十分調査はできた。

いや……これでも余裕がある。

ソロでBランクダンジョン調査は出来そうだと、俺は確信を得る。


何よりこの雰囲気、最盛期のA帝国でのダンジョン周回を思い出せる感覚だった。


「……悪かったな。今日は。俺の付き合いで」


「ううん。先輩は()()()()()()()()()()、安心した」


「いつも通り? どこが」


「よくよく考えたら、先輩っていつもあんな感じに使える人の世話してたから。私の時と同じ」


………。


「先輩の趣味?」


「ちげーよ」


否定したが、否定しきれなかった。

ただ、あの……ショーシ?って奴のハーレム集団とは縁切りたいな。

はぁ……クソ神のせいで、自分自身がよく分からなくなる。確かにミディアは有望な人材だから確保しただけで、他の奴は――………


俺達がギルドへ帰還する途中、青年が大声を張り上げて周囲の人々に何かを配る。


「号外! 号外!! 『バッカウゼン博物館』から『スリンゲルラントの槍』が盗み出されたよ!! ()()()の仕業らしいぞ!」


……スリンゲルラント、の槍!?

確か天変地異を引き起こす災害武器指定されてる、っていう。

しかも『怪盗R』。

巷で活躍するようになった義賊の真似事する馬鹿には、俺とミディアは心当たりがある。

ミディアは冷たく言う。


()()()は先輩の恩知らず」


どさくさ紛れに俺は号外を受け取る。

まるで、どこかの義賊みたいに自身の痕跡たるRマークのカードを残して、何かを盗んだり。

政治家の裏金を盗み出し、町中にばら撒いたかと思ったら。

どっかの国の機密事項を、そこの敵対国に渡したり。その動機も「これでどうなるか見てみたいから」と愉快犯めいた発言をしたという『怪盗R』。


恩を仇で返されてはいないが……こんな風になっちまうと、誰が想像ついた?

クリストフ達の事なんて、お構いなしってかよ。

だが、腹に立ってない。

逆に折角教えた知識が水の泡になる方が、俺としてはウンザリする。


ギルドでダンジョン調査結果と納品をしていると、周囲には俺が色々と教え、出世したサポーター達が意気揚々と別パーティと共に行き来する。

俺には目もくれてない。

ミディアは「アイツらだって先輩が居なかったら」とボソボソ言う。


別に恩義がどうとか、俺は考えちゃいない……


だけど、趣味か……

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