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おいおいおい。駄目だわ、この国


やっぱり貯蓄はしておくべきだな。

徹底した節約をすれば、底辺の冒険者でも出国金『金貨五十枚』を貯められる。

ブラック国家に目をつけられないだけ安いもんだ。


それで、だ。


冒険者を始めるにあたって、どの国に向かうべきか。

A帝国周辺で代表的なのはB共和国、C公国、D連邦、E王国。


B共和国はA帝国とは水面下で対立関係にある。

A帝国の次に勢力をつけ、周辺諸国との同盟に力を注いでいる。


C公国はA帝国と同盟関係にあるが、昨今のコストカット政策をA帝国に迫られているという。


D連邦はドワーフが多いので、製鉄業が盛んだ。故に魔道具の大量生産を目論むA帝国がD連邦になにか仕掛けると噂されてる。


E王国は歴史あるエルフ中心の国家だ。古きを重んじるエルフはきっと、A帝国の魔道具を快く思っちゃいない。


説明を聞けば薄々勘づくだろう。A帝国は近隣諸国と睨み合い続けている。

戦争にしないよう各々立ち回っているようだが、例のコストカット政策や魔道具の流布が影響を齎すのは必須。


そして……

俺は出国したとは言え、元A帝国の人間だ。

C公国以外が俺を警戒しない訳がない。否、C公国も俺を受け入れるかどうか。


なんで、帝国包囲網に関与してなくて、冒険者ギルドのある小国へ向かう。


W国だ。


地図上ではE王国の隣。

近頃、国内にダンジョンが出現した事で、発展途上に入ろうとしている時期らしい。


俺は数日かけてW国を目指した。

道中、ダンジョンから抜け出した野生モンスターを倒し、死骸から魔石を回収する。

魔石はギルドの換金対象だ。手持ちの金はほとんどないから少しでも狙う。


「あ! クソッ」


ただ、俺自身のレベルが上がると魔法攻撃も高まるので『ホーリー』の威力を間違えてしまう。

調整は即座に可能だが、これからを考えると……

何か工夫は出来ないかと思案中だ。


勿体無いというか。

『ホーリー』で魔力を使わない分、余った魔力で経験値稼ぎが出来る筈だ。

とりあえず最初は、A帝国でやったように副業で稼ぐか。


ついにW国が見えて来た。

中世ヨーロッパを彷彿させる世界観だが、入国審査は勿論ある。

小国とは言え手荷物検査もやったが、エルフが魔法陣で検査しているのは驚く。


エルフ連中は魔法陣のスペシャリストなんで使っている事自体に驚きはないが。

このエルフは隣国のE王国から移住して来たのか?

俺の手荷物にある魔法陣の研究資料を不思議に流し見してる。

まあ、エルフ式の魔法陣と比べちゃ変哲な術式だ。

気持ちは分からんでもない。


「身分を証明できるものはありますか?」


そう聞かれ、俺はギルドカードを差し出す。

ギルドカードは全世界共通の身分証だ。

冒険者をやってなくても、身分証としてギルドカードを発行している奴がチラホラいる。


職員がギルドカードの裏面を見て、声上げる。


「え、A帝国から?」


やっぱり小国でも警戒するよな。

こりゃ手続きに時間かかりそうだ。


「随分、遠くからおいで下さったんですね! 長旅お疲れ様でした!」


……は?


オイオイオイ、普通に通すのかよ。ザルにも程があるだろ。

何なんだここは?

マジで発展途上直前か??


色んな意味でヤバイ国に来ちまったようだ……


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